63 無名さん
ナイスバデー()だからブレザー着たくないやだやだ
からの

「うるせぇ!くそモブ共が!!」
ブチッ
頭の中で何かキレる音がした。いつもの私ならここまで短気ではない。しかし日々の寝不足と心労のせいで、猫をかぶっていたことを忘れ、いとも容易く堪忍袋の緒が切れてしまった。
ガタっと音を立て席を立ち、つかつかと目標の人物に近づく。話の中心物である爆豪はいつもと違う雰囲気に、訝しげな視線を向ける。口を開こうとする前にずいっと近づく。
「な!なんだてめぇ」
鋭い視線をむけられながらも1歩1歩と、距離を縮めればそれに伴い爆豪は後ろに下がる。爆豪の背中に壁が当たったことを確認し、トンっと顔の横に手を置き、逃げ道を少なくする。所詮世間一般で言う壁ドンのような体制に周りからは黄色い声が上がる。
「っにしやがる!」
何も言わずにこのような体制にされて不気味に思ったのだろう。多少顔を赤くしながらも威嚇してくる。
そんな爆豪を気にすることなく、私は壁に着いた腕を肘まで壁につけ、さらに爆豪との距離を縮める。その際に足の間に、自身の足を滑り込ませることも忘れない。周りから今度こそ本当にキャー!という声が上がっているのが聞こえた。そんなことが気にならないくらいに私は頭に血が上っていた。
「っな・・・!」
「うるさい・・・。これ以上騒ぐなら・・・。」
空いた手で前髪をかき上げ、彼の顎を掬い上げる。
「物理的に口、塞ぐよ?」
目から視線を離さず顔を近づけ言い放つと、鋭い視線を向けていた彼の表情が徐々に何が起こっているのかわからない表情に変わり、耳の先まで赤くなるのをみて満足した。
身体を離し、席に戻ろうとすると爆音が背後で聞こえた。
「何しやがる!このクソモブ女!」
そう叫び、手を伸ばしてきた彼の手をとり、引っ張り体制を崩してやる。その拍子に近づいてきた彼の唇にもう片方の人差し指で塞ぐ。
「次、やったら本当に塞ぐから。」
「・・・・・っ!!!」

かっちゃんどんだけ身体鍛えてると思ってるんだよ
目立ちたくないやだやだはなんだったんだ