実際に私が体験した話です。

私には八ヶ月前から付き合っている彼がいます。ここではタロウとしておきます。

タロウと私の関係は良好で、喧嘩らしい喧嘩もありません。ただ唯一問題があるとすれば、一年前に別れた彼の前の彼女が今だに未練があるらしく、頻繁にタロウにメールや電話をしてくることでした。

三ヶ月ほど前のある日、いつものようにタロウとの電話を終え、横になりました。時間は1時ごろだったと思います。横になるとすぐに眠くなり、いつのまにか寝てしまいました。

私は元々眠りが深く、一度寝てしまうと大抵のことでは起きません。それなのに、その日は、夜中に突然目が覚めました。

窓際のベッドにうつ伏せで寝ていたのですが(体の左側に窓)、体の右側の毛穴が全部開くような感覚で無理矢理意識が覚醒させられたような感じでした。

あ、やばい

感じたことのない感覚に、私は瞬間的にそう思いました。ざわざわとゆっくり、右腕の方からその毛穴が開く感覚が、背中の方へのぼってきました。

体の右側に、何かの気配を感じる……そして、その直後です。ガッ、と何かが、私の首を後ろから鷲掴みにしました。

息がとまり、体が跳ねたけれど、金縛りで自由には動けない。すぐに、その何かは離れました。けれど金縛りはそのまま、気持ち悪い感覚はどんどん広がっていき、足に感じたり上体に感じたり。

何分そうしていたかはわかりませんが、しばらくすると、少しその感覚が和らぎました。でも、金縛りは続いたまま。このままいなくなれ!そう願っていたら、首から上にまたあの感覚が走りました。うつ伏せのまま、目を動かしても何も見えません。

けれど、その直後。ものすごく大きな甲高い耳鳴りがして、それが近づいて来ました。そして、それがピタリとやんだ瞬間です。