65 無名さん
「アンタねぇっ!
いくら蘭が人気者だからって
僻んで困らせることするんじゃないわよ!!」
『ねぇ…
さっきから何を言ってるのか
さっぱり分からないんだけど』
「ふんっ白々しいわよ
自分の胸に手を当てて考えてみたら!?」
『大体心当たりも何も…
蘭とは何もないはずだけど
…それより、手、離してくれない?
私、体調が悪いんだけど』
そこまで言っても
園子は手を放してくれない
「へぇー…
蘭が皆から預かった給食費、
隠したくせにしらばっくれるんだ」
そこで私の体がぴたっと止まる
『え、何…
私が蘭たちの給食費をとったって言うの?』
私は無表情に園子を見つめる
「えぇ、それしか考えられないじゃない!!
アンタと違って蘭は良い子だし、優しいし
人気者だし!アンタはそんな蘭のことが
目障りで困られてやろうって、皆から集めた
お金を隠したんでしょ!?」

それだけ言って自分の教室に戻ろうとする園子
いつの間にか蘭と工藤くんはいなくなっている

『…言いたい事言って
すっきりした?』

その言葉に再び足を止めた園子は
私のほうを見る

「はぁっ?」

『…これさ、公の場で、
私がしたことじゃないって証明されたら、
名誉毀損で立場が変わるのは、そっちだよ
あ、名誉毀損って言っても分からない?
つまりね、立派な犯罪になりえるってこと』

私は首を傾げて園子に問う
園子のの表情に変化はない

『…鈴木さんは、大財閥のお嬢様だよね
だからって、私生活までお嬢様らしくしろ…
なんて言わないよ?
まだ10歳だしね。けど、何度も言うけど
鈴木って名前は大きいんだよ。

そのうち財閥の名を背負うように
なるんだったら、そう言う事はやめた方が
いいと思うよ

大人の世界ってそう言うものだと思うから
自分の発言一つで、いろんな人を振り回す
ことがあるってこと、学んだ方が
いいと思う』