熱帯夜。それは、ある種の風物詩なのかもしれない。
しかし、冷房も無く熱を逃がす術のない私には、生憎不眠以外何も与えられず。

眠るに眠れない為、昼に借りたDVDを見返す事にしました。
内容は、ありふれた海外ラブムービー。深夜に一人、そんな物観てるなんて寂しいな。まあ、それは良いとして。

私には少し変な拘りがあってですね。元来映画が好きなのもあって、本編が始まる前の予告をしっかり観ないと、納得いかないんですね。
しかも、これも拘りで暗い部屋で大音量じゃないと、本当ダメで(マンションなので、イヤホン使用なんですがね)。

さて、十数分の予告をだらだら観て、もうすぐ本編へ。
…と、言う時。後ろから何かが落ちるような音がしたんです。

洗面所の方だったので、どうせブラシか何かが落ちたんだろ、なんて決め付けて、無視しようとしました。
正直、夏の夜真っ暗な中、一人で水場に近付きたくなかったのもあります。

それなのに、また不審な音が耳に届き。しかも、今度はやけに小さな音。
水に濡れた雑巾を床に叩きつけるような、そんな音がどこか遠くでする。確かに音は遠いのに、感覚としては耳の側で。

おかしい。仮にもイヤホンをしているのに、何故微かな音が大音量を退かすのだ。

私は、DVDの効果音なんじゃないかと、リモコンを手に一時停止ボタンを押した。
しかし、それでもその音は先程より少し大きくなって、届いたのです。

イヤホンを外して、恐る恐る振り向きました。
すると、そこにはただの暗い部屋しかなかった。

何だよ気の所為かよ、と再びテレビに向き直った時。
足首に何かが触れた気がした。それは、髪の毛が触れたかのような微妙な接触度ではありましたが。