>>72「痛だっ!」
その声は意外と廊下に響いた。
ハッと顔を上げると各々の視線が突き刺さる。名前 は恥ずかしさのあまり、痛む膝小僧の腫れを見ながらうっすら涙を浮かべていた。
クスクスと聞こえる笑い声が更に羞恥を煽る。ああ、もう、痛いし、痛いし、恥ずかしいし、痛いし、今日は本当についてない!!心の中で愚痴をこぼして、早く保健室へ逃げ込んでしまおうと思ったとき、視界の上の方からにゅっと何かが現れた。向くとそれは手のひら。……誰の?
腕の先、視線を上げる。そこにはクスクスと少しの笑みを零しながらも手を差し伸べてくれている俺司がいた。