この話は僕が中学生の春の話。
両親が亡くなり、親戚の家に引越して新しい環境に慣れない頃、とても優しくしてくれた猫屋敷に住んでいる片目がない婆さんがいた。
僕はよく婆さんの家に行って御飯を食べさせてもらったりしてて、婆さんの家に行く度に「綺麗な目をしているねぇ、羨ましいねぇ」と、いつもの優しい口調で言う。褒められたと思い素直に喜んでた。
新しい環境にも慣れ、学校にも友達が出来た。何気なく新しく出来た友達に片目の婆さんの話しをしたら、友達は一気に顔色を変え「あんまし、あの家に行くな」と強く言われた。
僕は何故こいつはこんな言い方するんか?と疑問に思ったが友達の反応と空気の重さに聞けなかった。友達に忠告された後で若干行きにくかったが、婆さんの家に行ったんだ。
時刻は夕方。庭に顔出す。婆さんの膝の上、猫の目がキラキラとして僕を見つめる。
婆さんは「〇〇かい?」と死角から入ったにも関わらず分かったようで、よくわかりますね、て言ったら「猫が見てくれるのよ」と優しい声で言う。
やけに猫の目がキラキラしてる。友達の言葉が過ぎる。今日は家で御飯を食べますね、と言い僕は猫の視線から逃げた。
思い込みに過ぎないとは思ったが、なかなか行く気にはならなかった。行かない日が続いて夏が来た。
そういえば最近猫を見てない、この前まで一日に数匹は見かけていたのに。取り留めもない事なのに今でもあの時の不自然さを思い出す。
ちょっとした胸騒ぎ。婆さんの家に行こうと思った。
玄関で声をかける。静かだった。猫屋敷のくせに、猫一匹も出てこない。嫌な感じ。
庭に回り込むと酷い臭いがした。猫のフンの臭いは前々からあったが、もっともっと嫌な臭い。
肉の腐った臭い。大体は予想がついた。半分開いた窓から覗き込む。中にあったのは、大量の猫の死骸と婆さんの姿。
生きてるか死んでるか分からなかった。大人を呼ぼうと走ろうと思ったが転んだ。
→
両親が亡くなり、親戚の家に引越して新しい環境に慣れない頃、とても優しくしてくれた猫屋敷に住んでいる片目がない婆さんがいた。
僕はよく婆さんの家に行って御飯を食べさせてもらったりしてて、婆さんの家に行く度に「綺麗な目をしているねぇ、羨ましいねぇ」と、いつもの優しい口調で言う。褒められたと思い素直に喜んでた。
新しい環境にも慣れ、学校にも友達が出来た。何気なく新しく出来た友達に片目の婆さんの話しをしたら、友達は一気に顔色を変え「あんまし、あの家に行くな」と強く言われた。
僕は何故こいつはこんな言い方するんか?と疑問に思ったが友達の反応と空気の重さに聞けなかった。友達に忠告された後で若干行きにくかったが、婆さんの家に行ったんだ。
時刻は夕方。庭に顔出す。婆さんの膝の上、猫の目がキラキラとして僕を見つめる。
婆さんは「〇〇かい?」と死角から入ったにも関わらず分かったようで、よくわかりますね、て言ったら「猫が見てくれるのよ」と優しい声で言う。
やけに猫の目がキラキラしてる。友達の言葉が過ぎる。今日は家で御飯を食べますね、と言い僕は猫の視線から逃げた。
思い込みに過ぎないとは思ったが、なかなか行く気にはならなかった。行かない日が続いて夏が来た。
そういえば最近猫を見てない、この前まで一日に数匹は見かけていたのに。取り留めもない事なのに今でもあの時の不自然さを思い出す。
ちょっとした胸騒ぎ。婆さんの家に行こうと思った。
玄関で声をかける。静かだった。猫屋敷のくせに、猫一匹も出てこない。嫌な感じ。
庭に回り込むと酷い臭いがした。猫のフンの臭いは前々からあったが、もっともっと嫌な臭い。
肉の腐った臭い。大体は予想がついた。半分開いた窓から覗き込む。中にあったのは、大量の猫の死骸と婆さんの姿。
生きてるか死んでるか分からなかった。大人を呼ぼうと走ろうと思ったが転んだ。
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