友人の話より抜粋。


ある日、奇妙なチェーンメールが送られてきた。

差出人は中学の時の部活の先輩だった。

内容はこうだ。

『ねー、お父さん見て見てー、蟻がいっぱいでならんで行進してるよー。

すごいねー、お父さん見て見てー、ねーお父さん、見てってば。

今日ねー、幼稚園でユミちゃんが転んじゃったんだー、痛そうでした。

今日のごはんなにかなー、ミチ、ハンバーグがいいなー、ねーお父さんはハンバーグ好きですか。

そうだね。

↑三日以内に五人に転送しなさい』

なんだかよく意味がわからなかった。

特に怖い文章でも無い、「死ぬ」や「呪う」などのフレーズも無い。

ただ途中から語尾だけが敬語になるのが、何故か無性に不快な感じを受けた。

怪訝に思い転送はしなかった。


一週間くらい後だったろうか、チェーンメールのことなどとうに忘れていた。

夜電話が鳴り、「公衆電話着信」 怪しんだが誰かが充電でも切れたのかと思い、出てみた。

電話先では幼い少女の声がこう言った。

「ねー、お父さん見て見てー、蟻がいっぱいでならんで行進してるよー」

なんの事か始めわからなかった。

「すごいねー、お父さん見て見てー、ねーお父さん、見てってば」

ようやく事態に気づき電話を切ろうとするが切れない。

「今日ねー、幼稚園でユミちゃんが転んじゃったんだー、痛そうでした」