80 無名さん
花火がベンチからいなくなって、豊玉のラフプレーに対する俺の怒りを鎮めてくれる奴はいなくなった。
いつもなら、花火が声を掛けてくれる。いや、むしろ花火を一目見れば大抵気持ちは落ち着いて自分で立て直すことができる。
花火がいることで俺は、普段から実力以上のプレーをすることができていた。
だけど精神的支柱を失った今は  崩れ落ちて行く、一方。
ああ なんてザマだ。
自分で行けと格好つけておきながら、こんなことになるとはな。
花火。お前が3年間一緒にいた俺より流川を選ぶのも、当然だ。
「予想された徹底マークに意地になって無謀な攻めを繰り返す主将」
花火
「全国制覇とは口だけの目標かね」
いつから俺は、お前がいないとこんなに駄目な男になったんだろう。
お前といられるのも、後たった半年なのに な。
「 流川!! 」
「        」
安西先生のぐうの音も出ない叱責に(桜木を除いて)控室が重い空気に包まれる中、戻って来た流川 そして、花火は。
県大会後から、こっちが柄にもなく仲を取り持とうとしたってずっと妙な空気だったのに。
一目で 分かった。控室で、きっと全てが解決した。俺 他人の力なんて 微塵も借りずに。と。
「花火さんっ!エロキツネに控室で何かされませんでしたかっ!?」 
「 されてないわよ」
「いっ、今間がありませんでした!?」
「あーもううるさいわねされてないって言ってんの!!」
「あ、慌ててる・・! こんのエロ!エロキツネ!!その目もしかして花火さんに抵抗されて負った怪我じゃねーだろうな!?」
「 ・・・ 」
「いてっ!痛い花火さん無言で殴らないで!!!」
「 ・・流川、後半行くつもりか?」
「 当然 」
「こんな目なのに、どれだけ言っても聞いてくれないの・・」
「大丈夫だから。花火さん」
「 流川・・」
「心配ないから。俺を信じててほしい」
「 ・・バカ。言われなくても信じてるよ」
「 うん 」