83 無名さん
有坂たんも結構クドイよな

郡が浴室へと向かい、ひとりリビングに残さ れた名前は羞恥に震える体をどうにか止めて、 これからの行動を考えなければと熱を持った頬 を両手で包み込みながらソファに沈み天井を仰 ぐ。神様に助けてもらいたいが、何度必死に呼 んでも来ないことは良く知っていた。 うう、と小さく唸り声をあげながら名前は連 夜仕事で疲れている夫に髪を乾かせていた自分 を殴りたくなっていた。まったく、それくらい 自分でやればいいものを自分という人間は本当 にずぼらでだらしがない女だ。どうして自分の 面倒くらいみられないんだ。自分で自分が嫌に なる。もっときちんとしていればこんなことに もならなかっただろうに。そう猛省しつつも、 こんなことになってしまったものは仕方がない と名前はソファから起き上がり僅かに出ていた 涙を指で拭った。