私の母は介護施設で働いています。職業柄人の死に携わる事があるからなのか、よく不思議な体験をしているようです。

これは、その中でも一番最新の話。

母の職場は二階建て老人ホーム。1Fは認知もなく比較的自立型の方、2Fは認知などで要介護の方が入所しています。

ある日、2FのNさん(男性)が食事中突然意識不明になり、救急車で運ばれました。
それまでは何も問題はなく、元気に過ごしていたのに。結局、亡くなってしまいました。

そして数日後…その男性の家族の方が、藍染め和柄の女性物のきんちゃくを持ってきたそうです。
『Nさんの車イスにくくりつけられていたが、本人のものではない』と。

母含めスタッフは不思議に思いました。そのきんちゃくは、1FのMさん(女性)のものだったからです(車椅子は個人で使っているし、普段1Fと2Fはスタッフ以外行き来することはできません。きんちゃくが車椅子にくくりつけてあることは誰も気付かなかったようです)。

まあここまではたいして気にもとめなかったそうです。

しかし、返ってきたきんちゃくを持ち主Mさんに返した後、Mさんの体調が急変し病院へ。しかし、原因不明でホームに返されたのです。

その約一週間後、同じ1FのKさんが心臓麻痺で亡くなりました。Kさんはとても元気でどこも異常なく、スタッフの誰も予想しなかった死でした。

そして亡くなった後の部屋の片付けをしている時に、あのきんちゃくがタンスの上に置かれているのをスタッフが発見しました。
日ごろから各自の持ち物はスタッフがきちんと把握し、他人の持ち物を盗む入居者さんもいない。なぜMさんのきんちゃくがこんなところに?とスタッフも疑問に思いましたが、きんちゃくはまた持ち主のもとへ。

しかしさらに3日後、今度は1FのBさんが意識レベルの低下と低体温で救急搬送され、現在も意識不明の重体。Bさんもそれまで何も問題なく元気に過ごされていたそうです。

そして翌日、Bさんの部屋を掃除している最中…またあのきんちゃくが置かれていました。

ここまでくるとスタッフも不気味がり、そのきんちゃくは没収して事務所におかれたままなんだとか。

スタッフも誰もそのきんちゃくを触っていません。でも気づいたら、他の入居者さんのもとにあるのです。
しかもその入居者さんは必ず亡くなるか、急変している。