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その夜。

時間も0時になり、部屋に戻って寝なくてはならなくなった。

嫌だ。気持ち悪い。しかし、もう高校3年生にもなって部屋で寝れないのも恥ずかしい。仕方なく部屋に戻った。

ちなみに切れた手首は、本当にスッパリと切れていたせいで、痛みもなく、出血も激しくなかった為、絆創膏を貼っただけだった。

部屋に戻ったが、電気を消して、目を瞑る気になんかなれるわけがない。そこで当時付き合っていた、Aという彼女に電話をかけることにした。

ちなみにAは相当な怖がりである。今日あったことを話し、彼女の反応を楽しみ、少しでも気味の悪さを緩和しようとしたのだ。

それが間違いだった。

私「もしもし」

から始まり、「体験した一連の話1」の話しを一通りした。すると、

A「えー…やめて!!やめて!!」

と予想通りの反応が。何か楽しくなってきた。

しかし、そのうち 

A「いや!!本当に何なの?怒るよ!?やめてよ!!イヤ!!イヤ!!」

私「もしもし?もしもーし?聞こえてる?」

A「やめてってば!!いい加減にして!!」

「あー、これは聞こえてないな。電波がおかしくなったかな」と思い、一度切ることに。

すぐにかけなおす。

A「あー…良かった。聞こえたー」

私「何があったの?」

A「最初怖くて嫌だってずっと言ってたじゃん?けど途中から私君の声が全く聞こえなくなったの。そしたらだんだんと、カツ…カツ…って。ハイヒールで歩くような音がして、怖くなってすぐ電話切ったんだ」



A「…で、かけなおしてたんだけど、ずっとツー…ツー…って話し中で。だから私君もかけなおしてくれてるのかなって思って、少し待ってたの。そしたら私君から電話かかってきたー」

あれ? 電話切ったのは私からなはずだ。しかも直前までAの「いい加減にして!!」という言葉を聞いていたのだ。

Aの話とはずいぶん食い違いが生じる。私が聞いていた「いい加減にして!!」とは本当にAの声だったのだろうか。