5年ぐらい前の話。当時、私はある工務店の従業員だった。

その工務店では地元では中堅クラスのハウスメーカーから仕事を受けていて、私はそのハウスメーカーの新築工事の大工として働いていた。

そんな中、そのハウスメーカーで沖縄に進出するという計画があり、私は他の大工3名。ハウスメーカーの現場監督2名、高所作業員(雑用)6名。その他諸々、数人と沖縄に行くことになった。

なぜ沖縄に?と思うだろうが。沖縄の住宅は基本的に鉄筋コンクリート造で、向こうには木造大工がほとんどいないらしい。

ただ、大工は私含め4名。それぞれが、地元にも新築物件を担当しているため2週間の沖縄滞在。その後は他の大工と交代といった感じだった。

初めての沖縄で仕事ながらもワクワクしながら那覇空港に到着しそこからレンタカーでビジネスホテルへ。いやここが問題だった…

これでもかってぐらいに古ぼけたビジネスホテル。そこに十数名で宿泊。私は一切、霊感の類いはないし古く薄暗いそこにも何ら違和感はなかった。

最初の1週間は何事もなく過ぎ、追加で4名の大工が来た日のこと。

その4名は別館に宿泊したが、夜中に4名が4名とも白い着物を着た長い髪の女が天井からぶら下がっているのを見たらしい。怪異はそこから始まった。

まぁその日は無事に仕事を終え、晩飯から飲み屋を経由しキャバクラで疲れを癒し午前2時ぐらいにホテルに戻った。

部屋へ戻るが、まだ5月だってのに妙に蒸し暑い。眠れないので窓とカーテンを閉めて就寝。ウトウトし始めた頃、赤ん坊の鳴き声が聞こえたがそのまま寝た。

しかし隣のマンションとはおそらく3m以上は離れている、しかも窓は締切。はたしてあんなにハッキリ聞こえるものか? と思ったのは地元に帰ってからのこと。

そして次の日の朝、廊下を挟んだ向かいの部屋にも怪異が起きていたと聞いた。