88 無名さん
今日から世間では『花の高校生』なんて表現される筈の明るい門出の日だというのに、当の本人である彼女の気分はひどく落ちていた。

「花だなんて、縁起でもない……」

ひとつ大きな欠伸をしてから目を擦り、彼女は寝巻きに手をかける。

「花は散るものだというのに」

その布が、自分の触れた所からあっという間に青色の花弁になって舞い散ってゆくのを、花筐は暗い瞳で見ていた。

花は愛でるものだよ馬鹿野郎あと旬があるから花の高校生って言われるんじゃないの?