89 無名さん
もったいないから晒すお
本日の天気、青天。そよ風に吹かれ、桜の花弁が散る。
穏やかな日差しの中、鼻歌交じりで花壇のチューリップに水をやるのは着物を着た女性。
しかしその女性は左頬に大きな十字傷と左腰に刀を差していた。
「……き、起立!!」
「お」
教室から号令の声が聞こえて、女性が顔をあげる。
聞き覚えのある声だ。
――ふむ、今日の日直は渚殿だったか…
軽く思案していると如雨露(じょうろ)に入っていた水が無くなった。
花の水やりも終わったし、旧校舎に戻るかと踵を返す。
「れ――い!!」
元気な声と、本物にはほど遠い、少し間抜けな銃声。
聞こえてくる音に女性は苦笑を溢した。
――嗚呼、今日も良い天気……生徒達も、今日も元気でござる。
彼女が教室へ向かうと、生徒達が辺りに散らかったBB弾をせっせ片付けていた。
その片付けに教師の軟体生物は参加せず、ニヤニヤと笑いながら様子を眺めている。
見かねた女性が教室のドアを開けた。
「手伝うでござるよ〜」
突然乱入してきた女性を見て、生徒達が一斉に彼女の名前を呼ぶ。
『心先生ッ!?』
心と呼ばれた女性は頭に三角頭巾、身体には割烹着、両腕には箒と塵取りを持っていた。
今まで生徒達の様子を見ていた軟体生物が女性に向かって頭を下げる。
本日の天気、青天。そよ風に吹かれ、桜の花弁が散る。
穏やかな日差しの中、鼻歌交じりで花壇のチューリップに水をやるのは着物を着た女性。
しかしその女性は左頬に大きな十字傷と左腰に刀を差していた。
「……き、起立!!」
「お」
教室から号令の声が聞こえて、女性が顔をあげる。
聞き覚えのある声だ。
――ふむ、今日の日直は渚殿だったか…
軽く思案していると如雨露(じょうろ)に入っていた水が無くなった。
花の水やりも終わったし、旧校舎に戻るかと踵を返す。
「れ――い!!」
元気な声と、本物にはほど遠い、少し間抜けな銃声。
聞こえてくる音に女性は苦笑を溢した。
――嗚呼、今日も良い天気……生徒達も、今日も元気でござる。
彼女が教室へ向かうと、生徒達が辺りに散らかったBB弾をせっせ片付けていた。
その片付けに教師の軟体生物は参加せず、ニヤニヤと笑いながら様子を眺めている。
見かねた女性が教室のドアを開けた。
「手伝うでござるよ〜」
突然乱入してきた女性を見て、生徒達が一斉に彼女の名前を呼ぶ。
『心先生ッ!?』
心と呼ばれた女性は頭に三角頭巾、身体には割烹着、両腕には箒と塵取りを持っていた。
今まで生徒達の様子を見ていた軟体生物が女性に向かって頭を下げる。