私の血族は昔から、女性に差はあれど霊感があるようです。
そのため、私自身も、よく見えるわけではないものの、見る時があります。

そんな私が今まででトップを争う怖かった体験は、ある秋のこと。
それは、私が一人暮らしをしていた時のことでした。

その日、私は特に用事もなく、貯まった家事などをし、1日を終えようとしていました。
何だか疲れた。そう思い、携帯片手にベッドに横になっていました。

そのまま、どうやら寝てしまったようで、夢の中にいました。その夢で、私は幽霊を見て、怖くて飛び起きました。
内容は割愛させて頂きますが、兎に角怖くて怖くて、友人に電話しようと携帯を持っていた手を持ち上げた瞬間でした。

多分、金縛り。しかし、携帯を持った手は動く。
やばい、と感じました。何となくですが、このままだといけない気がして携帯で連絡をしようと操作をします。

ところが、視界がテレビの砂嵐を白くしたような、靄のようなもので見えません。
それも、携帯を操作しようとしている手の周りだけ。部屋の奥は見えるのです。

指先の感覚だけで、助けを呼ぼうとした瞬間、お腹の辺りがずっしりと重くなりました。
しかし、先程述べた靄のようなもので近くが見えず、何がいるのかは分からない。

何となくです。女性がいるような気がしました。
そして、逃げ出したいのに動かせない体に泣きそうになっていると、首を絞められました。

もうだめだ、そう思い部屋の奥を見ると、お婆さんが立ってる。そこから火事の煙のようなものが充満し、体が途端に熱くなる。
それは、首を絞められていることより苦痛で、お婆さんがゆっくりと近づいてくる度に増す。

必死でした。
その時、動かないはずの体が僅かに動き、それでも体に重いものが乗った感覚のまま、お婆さんがいる場所と反対にあるベランダに這って行きました。