私は当時マンションに住んでいました。そのマンションの裏には大きな林がありました。
そこでは首吊りや薬などでの自殺者が多く、大人達からは近づくな、と言われてました。

ある時、友達が『林に入ってみない?』と言ってきました。
私も好奇心旺盛な時期で、一緒に入ることになりました。

林に入る道は少し坂道になっていて、進むに連れて体がすごく重くなっていったんです。

〈あ…男の霊がいる〉

私は瞬時に理解しました。ここはきちゃいけない、と。

「ねぇ…戻らない?」

しかし、友達は、

「なんで〜?入り始めたばっかりなのに?」

友達は聞きませんでした。私は諦めて、知らんぷりして進むことにしました。

体はさらに重くなり、頭痛や吐き気を増しました。友達も私の異変に気付き、

「大丈夫?戻る?」

と聞いてきました。

「いや…大丈夫」

何故私はそんなこと言ったんでしょう? 大丈夫じゃ無いのに。肩が重い。

ゆっくり振り返ると、さっき見た男が肩に乗っていました。

「きゃぁぁ!」

悲鳴をあげたのは私ではなく、友達でした。

急いで友達の方へ行くと、少し道と外れて空き地がありました。そこの一角を指差し、友達は震えていました。

「あ、あ…あれ」

彼女が指差した先には、ヤバそうな薬瓶がありました。そして…

「血、じゃない?」

そう、その横には血がたくさんありました。

そこから私と友達は逃げ帰りました。近くの公園に着いたとき、私の携帯と友達の携帯が同時に鳴りました。

〈非通知〉

そう記された電話に出る気はしませんでした。