91 無名さん
「京子、」
自由時間の朱子学のあと、鈴のついた紐を引いて鈴を鳴らして合図を送り、出入り口である「御錠口」の開錠をさせ、大奥に入る。
「…………寝ているのか?」
「…………ん、」
…………やはり寝ていたか。
「…………京子、」
「…………綱…吉?」
「…………上様!おはようございます!」
寝室には案の定、側用人…………隼人が居た。
「おはよう、」
朝の洗顔後、大奥に入り将軍家先祖代々の位牌がある「御仏間」で御台所と一緒に礼拝をする。
「…………早く終わってくれないかな、」
なんて思ってしまうのは君のせいだ。
「…………上様?」
「へ!?」
突然隼人に呼ばれるものだから、驚いてしまうのも何ら不思議ではないだろう。
「上様?」
「…………な、何でもないから!」
「…………ああ、」
朝10時頃に大奥で御台所及びお目見え以上の奥女中と朝の挨拶をしたというのに。
京子に早く逢いたいだなんて考えるのは、いけないのだろうか?
「…………綱吉?」
ああ、護衛の武にまで勘付かれてしまったじゃないか。
昼食を食べたら、午後1時頃から中奥にて政務を執らなければならないのに…………。
「…………おい綱吉。これから未解決の案件を入江さんから出されるんだからな」
隼人が読み上げた未決済の案件に対して、決済あるいは再考の指示を与えなければならない。
…………なのに。
君に逢えない時間など、早く過ぎ去ってしまわないかな。
はあ、どうしたらこの時間が過ぎ去ってくれるのだろうか。
政務とか、早く終わらないかな。
「…………上様、政務とか早く終わらないかなとか考える前にやってしまってください?」
「…………!?」
「口に出しておられましたので」
「…………あ、」
うわあああああああああああ!
もしかして、将軍失格かなあ…………!
今宵もまた鈴を鳴らして、銅塀を開けさせる。
夜伽を命じるわけではない。政務中に逢えなかった寂しさをどうしても埋めたくて。
「…………京子、」
「…………綱…吉?」
「もしかして…………将軍、失格かな、」
「…………それって、綱吉が、ってこと?」
「ああ、政務中もさ、この時間が早く過ぎ去ってしまわないかな…………とか、思ってしまうんだ」
「…………大変なんだね」
>>76の小説はこれで全部だよ!
自由時間の朱子学のあと、鈴のついた紐を引いて鈴を鳴らして合図を送り、出入り口である「御錠口」の開錠をさせ、大奥に入る。
「…………寝ているのか?」
「…………ん、」
…………やはり寝ていたか。
「…………京子、」
「…………綱…吉?」
「…………上様!おはようございます!」
寝室には案の定、側用人…………隼人が居た。
「おはよう、」
朝の洗顔後、大奥に入り将軍家先祖代々の位牌がある「御仏間」で御台所と一緒に礼拝をする。
「…………早く終わってくれないかな、」
なんて思ってしまうのは君のせいだ。
「…………上様?」
「へ!?」
突然隼人に呼ばれるものだから、驚いてしまうのも何ら不思議ではないだろう。
「上様?」
「…………な、何でもないから!」
「…………ああ、」
朝10時頃に大奥で御台所及びお目見え以上の奥女中と朝の挨拶をしたというのに。
京子に早く逢いたいだなんて考えるのは、いけないのだろうか?
「…………綱吉?」
ああ、護衛の武にまで勘付かれてしまったじゃないか。
昼食を食べたら、午後1時頃から中奥にて政務を執らなければならないのに…………。
「…………おい綱吉。これから未解決の案件を入江さんから出されるんだからな」
隼人が読み上げた未決済の案件に対して、決済あるいは再考の指示を与えなければならない。
…………なのに。
君に逢えない時間など、早く過ぎ去ってしまわないかな。
はあ、どうしたらこの時間が過ぎ去ってくれるのだろうか。
政務とか、早く終わらないかな。
「…………上様、政務とか早く終わらないかなとか考える前にやってしまってください?」
「…………!?」
「口に出しておられましたので」
「…………あ、」
うわあああああああああああ!
もしかして、将軍失格かなあ…………!
今宵もまた鈴を鳴らして、銅塀を開けさせる。
夜伽を命じるわけではない。政務中に逢えなかった寂しさをどうしても埋めたくて。
「…………京子、」
「…………綱…吉?」
「もしかして…………将軍、失格かな、」
「…………それって、綱吉が、ってこと?」
「ああ、政務中もさ、この時間が早く過ぎ去ってしまわないかな…………とか、思ってしまうんだ」
「…………大変なんだね」
>>76の小説はこれで全部だよ!