高3の夏、夜中に友達(Tとする)と単車でとあるダムに行ったんだ。
そのダムは良く地元連中が夜中の溜まり場に使ってて、いくら騒いでも通報されない場所だったんだ。

ただ、自殺があったなんて良く聞くような曰く付きという点だけを除いてね。
でも「見た」って聞いた事は無かったね。実際そう言うの信じて無かったし。あの体験をするまでは…。

単車に2ケツして行ったんだけど、ダムの近くまで走ってきたらTが急に「なんか言った?」って言ってきた。
俺は「言ってない」と返し、単車を飛ばしていつもの場所に着いた。

着いてからもTが「なんか聞こえね?」とか急に挙動不審になってきてね。
俺はからかってんのか? と思いつつも「きこえるねぇ…」とか言ってノッてやったんだけど、どうにもTの様子がおかしい。何かにビビってるって感じ。

そしたら急に顔真っ青にして言うんだよ…。

「今すぐ帰ろう」

その時のTの様子は普通じゃなかったね。
俺もなんかそこにいるのが気味悪くなって帰る事にしたんだ。

んで、ダムからの道から本道に合流する辺りで聞こえちゃったんだよね。
男の叫び声が。

時間は夜中の3時過ぎ、辺り一面山で俺達は単車で走ってんだよ?
それなのに耳元で叫ばれたようにハッキリ聞こえてきた…。

もう2人して絶叫しながら飛ばしてT宅へ。
帰ってケータイ開いたら着歴。2人に同じ番号から同じ時間に着信はいってんのよ。

もう無理って感じで速攻で酒煽って潰れて翌朝。