僕には、付き合って5年の彼女が居ます。とにかく、いたずらが大好きな彼女に何度もやられたので、今度は自分が仕掛けてやろうと思い…

昔、社会現象を巻き起こした“リング”を観ながら、呪いのビデオを見終わると、かかってくる電話を再現して脅かしてやろうと思い、会社の同僚に頼みました。

まぁ、すぐにバレる事を前提にですけどね。


しばらくして、リングの、あのシーンになりました。

ピリピリ…

僕の携帯じゃなく、彼女の携帯が、鳴りました。

非通知? 慌ててDVDを止め、相変わらず鳴り続ける携帯。

「ねぇ、私、非通知拒否してるのに何で鳴ってるん?」

微妙な空気が流れ、

ピリピリ…

僕の携帯も鳴りました。

「あ、鈴木からだ」

頼んでいた同僚からなので、彼女にネタばらししようと思い出ました。

「もしもし…」

「……………… あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…
ごごぉ…う゛う゛う゛う゛…」

ああ、演技してるのかと思い同僚に言いました。

「もういいよ。彼女にバレたから。悪いね。それにしても迫力の演技だわ。凄いな」

僕は言いました。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…
う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛…
たすけ… て
ギギギギ…
コ、ロ、ス …」

なんだか同僚の声とは違い慌てて電話を切りました。

その間も、彼女の携帯は鳴りやまず。僕らは、二人で顔を見合わせました。

すると、彼女が、真っ青な顔して指を指します。

「どうした?」

「クローゼット… なんか動いた」

隙間が、少し開いているクローゼットで何か動きました。

目をこらして見ると、長い髪の毛のようなのが、スルスルとクローゼットから出て来て。

僕らは、そこで意識を失いました。


次の日、同僚に電話をすると、僕の携帯はずっと話し中で、繋がらず、昨日は寝たそうです。