61 無名さん
>>60
第7話「破壊の右手」

…ザッ!

「 Σ!! 」
オレがいなくなったら、残された弟はどうなるのだろう。
今更どうしようもない後悔が、頭のどこか奥底で湧き上がった時。
項垂れるオレの目の前に、一人の少女が立ちはだかった。
雨に濡れる金砂の髪。
鎧で隠すように纏った蒼い衣。
そう…。
彼女のその姿は、まるで…
「はあぁぁぁっ!!」
「………!!」
…騎士のようだった。
「サーヴァント、セイバー。召喚に従い参上した。マスター指示を。」
鎧姿の少女が何かを降り下ろす動作をすると、男はそこから二、三歩飛び退いた。
風が、少女の手から巻き起こっている。
不可視の…、武器?
いやいやそれより、今のってオレに言ったのか?
サーヴァント?セイバー?
召喚って、何を言っているんだ?
「エルリック兄弟を守れ!これ以上、二人に指一本たりとも触れさせるな!」
そんな訳がなかった。
口を動かすより先に、声が横から飛んできた。
凛とした女の声だった。
でも、聞き覚えのある声だった。
ゆっくりと視点を変えてみれば、その人物がこっちへ駆け寄って来るのが見えた。
「これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。ここに契約は完了した。」
ダッ!
セイバーと名乗る少女はそう言って地を蹴り、傷の男へ果敢に仕掛けた。
速い…!
人並み外れたスピードを目の当たりにして、男の表情が驚きの色に変化した。
だが、そう簡単にやられてくれる奴じゃなかった。
少女が透明な何かを振り上げるが、ダメージまでには至らず、上着の襟を深く斬っただけだった。
やっぱり、あれは剣なのか…!?
金髪の少女と大の男の奇妙な戦闘に目を奪われていると、息を切らした先の人物がオレ達を守るような位置でブレーキをかけた。
「頼む、力を貸して…。あたしの相棒!」
フードから覗く茶髪を揺らし、彼女は腰のバッグに手を入れた。
取り出したのは、赤と白に分かれたボール。
なんだ、あれは?
オレは彼女を知っている。
だけど、彼女が手にしている二つのボールには見覚えがなかった。
……違うな。
オレは、知らないのだ。
あいつの、本来の姿というやつを…。
そしてボールを空中へ放り、光の塊が溢れてきたと思った瞬間。
…信じられない光景が、オレの目に飛び込んた。


長くてごめん
本当に信じられない光景だよ
改行はこっちで消して詰めた