12 無名さん
サイト運営開始のくだり
 その日も私はいつもの様に趣味の読書と紅茶、少し気分が良かったので焼きたてのケーキを用意して優雅に過ごしていた。遊びに来た雀に少しの米をあげて食べている姿を眺めていた私の携帯が、着信を報せる音を鳴らす。
 着信音は友人を示すもので、誰だろうと思いながらそれに手を伸ばし電話に出ると少しガサツな友人からで、それは唐突に始まった。

 「ねェ!アンタ前にサイトやってたよね!?」
 「そうね、でも、スマホ対応してないから編集出来なくなって放置してるけど……どうして?」
 「なら、アンタ今何も書いてないよね!?」
 「そうね、書ける場所も無いし、書きたいものも無いからね」

 そう言って私はパソコンからクラシックを流し、紅茶を1口飲んだ。家で通話する時はスピーカーにしているので、私は比較的そういう事をする時が多い。

 「私、ワンピースのファンなのよ」
 「知ってる」
 「アンタはBL、GL、NL、夢、成り代わり、混合どれでも忌避感ないよね」
 「そうね。読む物は比較的雑食ね。江戸川乱歩だけは駄目だけど。後は戦争物の記録文書は流石に読んでてキツくなったから、ソレにはもう手を出すつもりないけど」
 「何がどうなるとンなもんに触れる機会を一般人が持ってるのよ。まァいいや、それより、書いて!」
 「何を?」

 この流れだ。何を書けというのかと思った私は間違ってない。寧ろ正しい筈だ。
 しかしこの友人にはそうではなかったらしく、アンタ馬鹿なのから始まり、こう言い出した。
13 無名さん
>>22
 「だから、ワンピースの2次書いて」
 「は?」
 「私はミホークが好きなの。書いて」
 「すまん。日本語で頼む。日本語で会話して欲しい」
 「日本語じゃん!私は読みたい。アンタは今何も書いてない。私はワンピース好き、アンタはそれを書ける」
 「……否定はしない。書こうと思えば書けると思う。けどね、私も仕事とかあるし「書いて!読みたい!夢で!ヒロインは美少女か美女で!」」

 ……コレの頭は大丈夫だろうかと本気で心配になった。けど、結局押し問答の末に日本語を話してくれないそれに私は折れて、原作沿いのナミちゃん成り代わりでいいかいと確認した。
 それに大喜びで反応したので私は簡単にそれを数話書いておいた。次に友人が来た時に見せてやろうと思って。
 それから悲劇が私を襲った。続きを読みたいからと毎日ソイツが家に来るようになったのだ。
 私はクラシック聴きながら、紅茶飲んで、ケーキ食べて、動植物を眺めるのが好きだ。ぬいぐるみの洋服やら、ちょっとした小物、毛糸で編物したり、何より活字を愛してるからそれを楽しむのが生き甲斐に近い。
 即ち、騒がしい日常は好まないのである。来ないでもらう為に私はスマホ対応しているサイトを開設することにした。