24 無名さん
ちょっと謙虚ぶることも覚えたみたいだけどすぐに馬脚あらわしてるよ
>「カモミール…」
「どこかお疲れの様に見えたのでリラクゼーション効果のあるものをと思ったのですが…お嫌いでした?」
「いえ、大好きです」

仄かに漂うカモミールの花の香り。この花は私には可憐すぎて似合わない気がした。

「ただいま」
「旦那様!おかえりなさいませ」
「ああヴェデット、お疲れ様。今日は帰っていいよ」
「承知致しました」

失礼します、と私にも声をかけて帰って行ったヴェデットさんの後ろ姿をボーッと見ているとそれを遮る様に隣にスティーブンが座った。

「ただいま、なまえ」
「…お疲れ様」
「なんだい?僕が遅れたのに怒ってる?」
「別に。貴方多忙だもん、そんな事でいちいち怒ったりしない」

恋人じゃあるまいに、と心の中で悪態をついて紅茶を飲んだ。

「今日は特別な仕事だった?」
「どうして分かったの」
「少し着飾ってるじゃないか」

僕のためかと思って期待したんだけど、と上品に笑うこの男とこうして会うようになってもうじき二年になる。
互いに諜報関連を得意とする面から知り合って打ち解けて、流れでセッ スまでするようになった。
スティーブンはセッ スをセッションと言ってしまえる人種だ。私も今更この歳にもなって好きな人としか肌を重ねたくない、だなんて言うつもりはないし情報のために男と寝たりもする。
無論、見た目がいい男に限り だが。