99 無名さん
(ああ言えばこう言うやり取りは楽しんでいたし、謝った彼女にどう返したら良いか分からず、ただ困ったように眉を下げて気にするなとしか言えなかったが本心として伝わったかどうか。境内を出る途中、明らかに様子のおかしい相方にどう接するべきかと迷った挙げ句、余計なことは口にしない結論に。彼女が調子を取り戻すまではどこに七草があるか、次の行き先は等と事務的な会話だけを振るのみ。草花を入れる布袋を取りに家に寄りもして、全ての七草を集めた頃には隣の様子がどうであれ好き勝手に話題を出し始める。日中に野山を探索する行為が子供時代の様々な感情を想起させ、普段より顔の動きは豊かになっていよう。そのうち話題に上げたのは妖怪の食生活について。肉食か、草食か、どちらにせよ人間と同じ物だけを食する訳ではないだろう。村を歩き回ったためか既に昼時のピークは過ぎており、他に客の居ない店の戸を開いて女店主に声をかける)二人な。…前にさ、頭ので小鬼を喰ったこともあるらしいぞ。(話途中だった彼女の耳元に顔を寄せてこっそり囁いたのは店主に関する噂話。その後は何事もなかったように言われるまま席に着くと、水を持ってきた店主に注文を告げる。注文を取り終えて席から離れようとする彼女の名を呼んで示したのは足元に置いた袋の中身で。浮かべる表情は悪戯っ子のようだが、からかいと言うよりは純粋な疑問。是と答えたなら今ここで食して貰おうとさえ考えている。さて店内に居る女性陣はこの非常識な行動にどう反応するか/↑)俺、日替わり。――なあお沙世さん、後ろの口ってこういうのも喰ったりする?