1 削除済
2 無名さん
ごめんねタイトル被せちゃった
3 無名さん
いちおつ
気にすんな
4 無名さん
5 無名さん
タイトルどころか前スレすら違う…
6 無名さん
>>1-2たんはただコピペしただけやね
7 無名さん
消したのか
8 無名さん
適当に居た新参たんでしょ
9 無名さん
10 名無したんさん
あげ
埋めてないスレはあげちゃうぞ
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
うちの母が小学校低学年の時に、当時では珍しい英会話教室に通っていた。
教室と言っても平屋の家の居間を教室にしていて、結構いい加減な感じだったらしい。

ある日のこと、母が英会話教室の帰りに友達と別れた後、知らない男に後ろから口を押さえられて危うく連れ去られそうなったそうだ(たまたま通行人が通りかかって助かったそうな)。

そしてしばらく母は怖くて習い事には行かなかった。

数日後、母と一緒に帰っていた友達が行方不明になった。
その友達は殺された状態で見つかり、犯人は英会話教室の講師だった。

んで今年の正月、母が年賀状を燃やしていた。
殺された友達の名前で年賀状が来たと言っていた。
 
・12月4日
この雪山に遭難して約24時間。
古い山小屋ではロクに暖も取れず、少々寒いが外で過ごす事は出来ない。
助けはすぐに来るに違いないだろう。

・12月6日
助けはまだ来ない。
この吹雪だから捜索が難航しているのだろう。
落ち着いて待つ事にする。

・?
時計が壊れてしまったので、日にちが分からない。
食料が少しずつ減ってきた。
水は雪を何とかして得られるが、空腹は辛いだろう。
吹雪はまだ止まない。

・?
ドアからかぜがはいってくる。
防寒ふくを多めに着ていてよかた。
てがふるるえて上手く文字をかけないが、しかし私はあきらめない。
あきらめたら終わりだ。

・?
何という事だろう。
あれほど吹いていた吹雪が嘘のように止み、私は救出隊に発見された。
彼らに聞くと、12月12日だという。

少し長い遭難体験だったが、もう終わりだ。この日記は、ここに置いていこうと思う。
もし、ここで遭難してこれを読んだ者がいるなら、私は言いたい。
決して諦めるな。助けは必ず来るのだから!

12月12日○○○○
−−−−−−−−

日記の文字は時間を重ねるごとに筆圧が弱くなっていたが、最後のメッセージだけは希望に溢れたようにしっかりしていた。
尚、連日に渡る猛吹雪のため、捜索が再開されたのは、それが少し弱まった12月14日の明朝の事である。

この日記の書き手、彼の遭難者の行方は、現在も行方不明、とのこと。
 
僕の大学の噂話なんですが、僕たちの友達のK君のアパートで起きた話です。

そのK君のアパートは毎晩溜まり場になっていて、たいていの日には、K君の友人5〜6人は必ず溜まっているという状態でした。
K君が嫌がっていても、みんな気にせずに溜まっているという状態でした。

K君の友人は、K君と遊ぶというよりもK君の部屋を借りているという感じでした。
日に日にだんだんとエスカレートしていき、部屋に落書きをしたり、K君のバイクを勝手に使ったりしてみんな好き勝手するようになったのです。

K君が鍵をかけていても、窓からはいったり、鍵をこじ開けたりして、意味のない状態でした。
一応友達なので、警察にも言えなくてかなりノイローゼになっていたようです。

そんな矢先ある日、K君の友達5人がいつものようにK君の家に来て、ノックをしても返事がなかったので、いつものように鍵をこじ開けて部屋で遊んでいると、電話がなりました。
みんな無視していると、留守電にかわった。すると、K君でした。

「お・ま・え・ら・またはいったな・・・・語ろうぜ・・・」
か細い声でした。いつもと違う感じでした。しかし、友達5人は、気にせず笑っていました。

そして・・・
「な・に・が・おかしい・・・」

今度は怒った口調でした。
そしてすぐに、外から、ヒューという音がして、みんな一斉に窓のところを見ました。

すると、逆さまになったK君が、気が狂ったような顔で目を大きく開け微笑しながら、一瞬通ったのです。
K君はアパートの屋上から飛び降りたのです。そう、自殺したんです。

それ以来、友達4人は次々に変死しました。
1人目は、スピード出し過ぎによる交通事故死。
2人目は、食い過ぎによる胃袋破裂死。
3人目は、飲み過ぎによる肝硬変。
4人目は、トイレで謎の死。

5人目は・・・・・・・・・・・・・・・・
僕の番です。一体どのように死ぬのでしょうか?
 
1990年の10月、私がアメリカの大学で経験した話。

アメリカの学生はとにかく課題レポートを書かされる。
もちろんパソコンを使って仕上げるわけで、私の大学には50台程度のコンピューターが整備されているラボがいくつもあった。
学生はここで夜通しレポートをタイピングするわけだ。

その日も私は相変わらずレポート作成に忙しかった。
夕食を済ませ、寮から荷物を抱えてコンピューターラボに入り、パソコンの前に座った。
当時は来る日も来る日も同じような生活で、うんざりだった。

ここのパソコンはインターネットに接続されていた。
まだウェブブラウザが「モザイク」メインだった頃だ。
ウェブコンテンツも研究者の研究成果発表などばかりで、さほど面白いものではなかった。
おまけに検索エンジンなどは進化しておらず、URLはもっぱらページ制作者本人から口頭で教えてもらうことが多かった。

その夜、私はいつものようにレポートをしばらく書いていた。
その時、何気なく目をやったパソコンデスクに、鉛筆でURLが書かれていた。
学生がメモ代わりにしたんだろう。

気分転換にはなるだろうと思い、私はそのURLをブラウザに入力してみた。
しばらくすると画面にはページが現れた。信じられないページだった。

そこには薄暗い部屋で床に血だらけで倒れている男性の写真があった。
(今ではよく見るこのような画像ではあるが)私はこのような残酷な写真に戦慄し、吐き気を催した。

よく見ると、画像の下にはこんな一文が添えられていた。
"A guy in Michigan, aged around 30, Killed by me today"
間違いない、殺人者が自らの犯罪を自慢するサイトだ。

私は何かとんでもないものを知ってしまったのではと思い、すぐにラボを飛び出して寮に帰った。
翌日まで誰とも話すことが出来なかった。

次の日の朝。私は再度ラボに出向いた。
そして、昨日のウェブサイトが気のせいであることを信じてURLを開く。

現れたのは同じく薄暗い部屋の画像だった。
しかし、今回は床に倒れているのが丸裸で仰向けになっている女性だ。
左乳房に大きなナイフが刺さっている。口、鼻、耳から血が流れている。

写真の下にはまたも一文が添えられていた。
"A bitch in Michigan, aged around 30, Killed by me today"

すぐに私は大学警察に行き、警官に相談した。
しかし、まだウェブがまったくメジャーでなかった頃だ。
「ウェブで殺人者が犠牲者の画像ファイルを掲載している」といっても、うまく理解してもらえない。
それに恥ずかしい話だが私の稚拙な語学力も足かせになり、取り合ってもらえなかった。

恐怖と好奇心が一緒になった独特の心境で再度ラボに戻り、そのウェブサイトのURLを入力してみた。
すると、その日数時間前まであった画像はすでになくなっていた。
その代わりに、なぜか私の住所と電話番号が書かれていた。その後にメッセージが一文。

「You are the next star on my Web.」

私は持ち物のほぼ全てを友人に譲り、2日後に帰国した。ミシガン大学で経験した実話です。
 
私は夜寝ながら音楽を聴くのが習慣になっていた。
ヘッドホンをしたまま朝を迎えることも少なくない。

うっすら記憶はあるのだが昨日は珍しく寝付きが悪かった。
いつもならベッドにダイブし10分もあればアッチへ逝けた。

なかなか眠れない時ってなんかドキドキするのね。
何でだかわからないけど心臓が叩いてくるのが感じられる。
音楽でも聴くか!今日は気分を変えてロックにしよっと。
って、眠れるかぃ!!まぁいっか朝まで起きるのも。

オーディオにランダムをかけ好きな歌手の歌をいつもと違う気分で聴く。
でも気に入らない歌は早送り。これでは意味がない。。

しばらく聴いていると寝つきの良い私はすでにアッチに逝きかけていた。
気づけば何曲か過ぎていたり、あぁ、もうメンドクサイこのまま寝よう。
曲をかけたまま寝てると、たまにその歌手の夢を見ることがある。
夢じゃなければいいのにね……。

ランダムで曲が選ばれる――――。長い静寂。止まった?
私はディスプレイを確認したけど、曲は1分55、56と確かに演奏が続けられていた。
こんな曲あったっけな?
しばらくすると微かに音が聞こえてきた。
広い草原を想像させるような心地よい風の音。誰か歩いてくる。

「こんばんは」
女の子の声。かわいらしい女の子だなぁ。声で姿を確認できたような感じがした。

「こんばんは?お姉さん」
その声は私に問いかけているのか。私も挨拶を心の中で返してみた。

「こんばんは、君いくつかな?」
答えが返ってくる。

「17歳です。友達が出来てよかった」
「じゃあ私5歳年上だ!君の名前教えてくれない?あ、私久美子よろしく」
友達という響きが嬉しかった。

「温海、温かい海ってかいてあつみ。久美子お姉ちゃんって呼んでいい?」
「OK!じゃあ温海ちゃんはアッちゃんね」
私達はいろいろな話をしていた。アッちゃんのこと。私のこと…。
アッちゃんの相談にも乗った。アッちゃんはお父さんとうまくいっていないようだ。

私はふと質問した。
「アッちゃん ここで何してるの?」
「あぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

耳の奥にまで響いてくる、嫌。嫌だ。嫌だ。
断末魔のような悲鳴に恐怖を感じ私は現実に戻された。
ヘッドホンをと――取れない。悲鳴が私を壊していく――

――ああ私はヘッドホンが好き。あぁいつも耳にはヘッドホン。ああ何が面白いのかわからないけど笑みがこぼれてくる。周りの人は私が変になったとか。暗い人だったから精神的にイッタんじゃない?とか、あああ私は気にしない。だってアッちゃんが居てくれるもん。あああああここは心地いいあああああああああああああああ
 
俺の小さい頃、俺には幼なじみが三人いた。

みんな女の子で、一人は小さく元気な子で、一人は態度の大きい子、最後に大人しい子。
そんな中で遊んでいた俺は、女の子と間違えられるくらい泣き虫で、いつも泣いてた。

強気な子に叩かれて泣いたり、元気な子に連れ回されて泣いたり、大人しい子は慰めてくれてた。
いつ頃だったか、強気な子は言った。

「近くに小屋があってね…出るんだよ」
「何が?」
「おばけ」
「やだよ…おばけ怖い…」

元気な子と強気な子は行く気満々といった感じで、俺はぐずってた。

「大丈夫、○○は私と一緒にいるから」

大人しい子がそう言うから、俺たちはその小屋にいった。
ボロボロな小屋は竹藪の中にあった。
中はまだ綺麗で、それでも気持ち悪い感じがしてた。

小屋に入るとすぐそばの部屋に遺影みたいなのがあって、その前に刀が置かれていた。
赤い鞘の綺麗な刀で強気な子がかっこいい!とか言いながら触ろうとした。

「それに触るな!!」

大人しい子が俺の手を握ったまま凄い顔で怒鳴ったような声をあげた。
元気な子と強気な子は驚いてすぐに戻ってきた。

「危ないよ」

大人しい子は何もなかったかのようにいつもの顔になった。

「それに、○○は見えてるでしょ」

何が言いたかったのかその時はわからなかったが、言われて気がついた。
天井にびっしりと血の跡のようなのがこびりつき、人の顔をつくっていた。
俺たちは怖くなって一斉に逃げ出した。

その後、しばらくすると小屋が大きな地震で潰れた。
潰れた小屋を業者の人が片付けたらしくて、俺は何となく気になって恐る恐る見に行った。
25 削除済
学校の帰りだったからもう夕方で少し暗かった気がした。
小屋の近くに行くといつもの三人にばったり出くわし、一緒にいこうと言うことになった。
壊れた小屋の半分は解体され、ほとんどなくなっていた。

「刀、まだあるかなぁ」

強気な子が言うと元気な子が「宝探ししよ!」と言い出す。

「危ないよ」

大人しい子は自信なさそうにそう言って歩いて近寄っていく。

「あ!写真みつけた!」

元気な子が遺影を指差しながら叫んだ。

みんなでそれを覗くと笑顔が歪み、絶叫したような顔をしてその遺影が真っ黒に染まった。

それと同時にどこからか「刀を持たなくてよかった。刀はどこ?刀を持たなくてよかった」と繰り返し聞こえて、俺たちは泣きながら走って帰った。

それからしばらくして俺たちは怪我をした。
強気な子は右腕に刃物で斬られたかのような跡が、元気な子は左の人差し指から肩までをバッサリ、大人しい子は背中に、俺は両足を縦に斬られたような傷ができた。

それ以来肝試しはしなくなった。
 
いつだったかは忘れたけど風呂に入った時、死ぬ思いをしたことがあります。
あまり思い出したくないので簡潔に書きます。

私は一人暮らしで、高級でもないがボロでもない普通なマンションに住んでいました。
その日の仕事が終わり家に帰ると、すぐ風呂に入り、1日の疲れを癒そうとシャワーを浴びていました。
なぜかその日の仕事はやたら疲れたのを覚えています。

湯船を入れ、頭を洗ってた時、突然シャワーの温度が下がり始めました。
2年ぐらいそこに住んでいたんですが、そんなことは今まで一度もなかったので、ものすごく嫌な感じがしました。

それでも気にせずシャワーを浴びてると、丁度人間の体温ぐらいのところで、温度が下がるのが止まったんです。
あつくもないしぬるくもない、一番嫌な温度で。

それで、シャワーを止め、湯船に入りました。
そしたらなんだか妙な違和感がするんです。

ついさっきまで湯気まで立ってたはずのお湯がなぜかぬるいんです。
血に浸かってるような感じがしました。

それで、いくらなんでも怖くなって出ようとしたんです。

その瞬間電気が消えました。
もう動けない。動けるわけがない。全身ガチガチに固まってました。

その時、窓をノックするような音がしたんです。
でもここは7階、ノックなんてできるわけがないんです。不覚にも小便チビりました。

いつまでも止まないノック音に、必死で『風だ風だ…』と自分に言い聞かせて、逃げるように風呂をでました。

その時、なんでかはわからないんですが、絶対に鏡を見てはいけない気がして、着替え中は鏡と目を合わさないようにして、パンツだけはいて髪も乾かさずに浴場をでました。

その日から一人で風呂に入るのが怖くなって、いつも銭湯にいっています。
 
もうずっと前の話だけど、中学の時の夏休みの時の話。

その日も野球部の帰り道に、夕暮れ時の河川敷を一人で自転車で走ってたんだ。
野球仲間達とは家の方角が途中で違っちゃうから、いつも帰りは一人だったんだよね。

そしたら、幼稚園くらいの男の子が泣きながらシャベルで何かを埋めてた。

死んだペットでも埋めてんのかな?って思ってさ、昔俺も死んだハムスターあんなふうに泣きながら埋めたなぁって妙に感情移入しちゃってさ、気になって声かけたの。

「どうしたの?」

その時には埋めるのが終わってたみたいで、男の子泣きながらさ、鼻すすりながら

「ジローが死んじゃったの……一緒に遊んでたら……踏んじゃって……」

あぁ、俺も似たようなかんじで飼ってたハムスターが死んじゃったんだよな。
籠から出して遊ばせてたらさ、親父がうっかりして踏んじゃってペペ(飼ってたハムスターの名前)死んじまったんだよ。
もう、なんか完全に感情移入しちゃってさ。

「お花でもあげようか?」

とか涙ぐみながら言っちゃったりしたわけw
それから、一緒にそこらへんに生えてる野花ひっこ抜いていくつかお墓に添えてやってさ、お祈りしてやったりした。

で、家に帰ってからの話。
家族で食卓囲んで夕飯食ってたら、母親が思い出したように父親に言うわけ。

母「そういえば、○○さん家の息子さんが行方不明だそうよ?」

父「太郎君がか?」

母「いえ、弟さんのほうが」

父「あぁ、最近生まれた弟さんか」

母「無事だと良いけどねぇ…」

その時、俺の頭に嫌な考えが生まれた。
そういえば、ジローって、あの子は何を埋めてたんだろう?

ちなみに、それから行方不明の子供は見つかってない。
 
会社帰りのバスでの出来事。
私は乗車中にウォークマンを聴いているとそのまま寝てしまい、降車するバス停を乗り過ごしてしまうことがたまにある。

その日も起きているつもりが、いつの間にか寝てしまった。
しかし唐突に、まるで人に起こされるかのようにガバッっととび起きた。
金縛り状態から無理矢理脱出するようなあの感じ。

瞬間我に返り、あ!また乗り過ごしたか?って思ったら、幸いまだ降りるバス停の2つ手前だった。

次のバス停では、けっこう人が降りていく。
俺はその背中をボンヤリ眺めながら、ああ次降りなきゃって眠いのを我慢していた。

バスが走り出した途端、真後ろの席で女性(声の様子で)が喋りだした。

「・・で・・・おねがい・・ね・・でね・・・ね・・おねがいしますね・・ね・」

携帯か・・って思った。
私は携帯のお喋りが聞こえるのが余り好きではない。
ただ俺の住んでいるところは東京の田舎だから、バス停からさらに遠い人は、降りるバス停が近づくと携帯で家に迎えの要請をすることが多い。

次が降りるバス停だから、私は降車ブザーが鳴るのを待った。
いつも降車ブザーを自分で押さないタチなのだ。
でも誰も降りないらしく、いっこうにブザーが鳴らない。

後ろの女性は相変わらず喋っている。
声のトーンはますます下がり何を言っているかはわからない。
俺は少しだけムッとしていた。

仕方がないので自分で降車ブザーを押そうと手を伸ばしたその瞬間、ハッキリと、

「お前にだよ」

と言って声が止んだ・・・・。

ん?と思って振返ると、乗客は私だけだった。
 
昔、家の近所の山に粗末な山小屋があって、そこにオナガさんって人が住んでいた。

めったに山から降りてこなくて、なんの仕事をしていたのか分からない。
オナガっていうのもどんな字か知らないし、もしかしたらオオナガだったかもしれない。

俺と友だちで、オナガさんの山小屋に遊びに行ったことがある。

その時、俺は「どうしてこんなところに住んでいるのか?」って意味のことを聞いた。
その時の話がスゲエ怖くて、しばらくは夜一人で寝れなかった。

オナガさんは、ちょっと前まで普通の家に住んでた。
家はちょっとした山持ちで、代々受け継いだ山がいくつかある。
そのうちの一つに、妙な言い伝えがあった。

「その山で鏡を見てはいけない」

いかにも、いわくありげな口伝だったが、オナガさんは親父さんや山守をしている飯橋のじいさんに聞いたらしい。

ある時、その山の奥で木を切ることになって、飯橋じいさんの孫でトシカズって人が、そこまで道を通すことになった。
土建屋で借りて来たパワーショベルで山を切り開いて道にしていく。

その日、オナガさんは作業の様子を見に行った。
ちょうど例の山に差し掛かっていたらしい。
パワーショベルに乗っていたトシカズさんが、急に作業の手を止めた。
怪訝な顔でバックミラーを覗いている。

「…どないした?」

オナガさんが近付くと、トシカズさんはミラーを指差して言った。

「や、ここにね、何か変なモンが写っとるんですよ」

オナガさんがミラーを見ると、自分とトシカズさんの背後にポツンと白い点があった。
ジッと見つめいていると、僅かに動いている。
振り向いたが、近くにそんなモノは見当たらない。

「さっきから、ちょっとずつ近付いとるみたいなんですわ…」

気味が悪かったので、その日はそこで作業を切り上げ、二人で飲みに行った。

その日から、トシカズさんの様子がおかしくなった。
あきらかに何かに怯えている。
オナガさんも気付いていた。
家でも外でも、鏡を覗くたびに背後に見える白い点。

「あいつどんどん近付いてくるんですわ」

近付くにつれ、オナガさんにもソイツの姿がハッキリと見えてきた。

胎児のように白い皮膚、短い手足。
丸い頭には、切り裂いたかのように大きな口だけがついている。
見ためは人の口。まったく血の気のない白い唇がしっかりと閉じられている。
トシカズさんは、もう作業ができないくらい精神的に参っていた。

「もう、すぐ後ろにおる…」

数日後、トシカズさんが閉じ篭った自宅の部屋で死んでいるのが見つかった。
後頭部に一口大の穴が開いていて、脳みそが全部無くなっていた。

「トシカズはあいつにやられたんや。あいつがおるのは鏡の中だけやない。ガラスや光る物にも写る。見るたびにどんどん近付いてくる…」

「せやから、俺はこんな山小屋に住んでいるんや」

山小屋には、ガラスや光沢のある金物など、何かが写り込むようなものは何もなかった。

「…それでも、時々水面とかを見てしまうことがある。俺、もう半分食われとるんや。こないだ、とうとう口を開けよった。米粒みたいな歯がびっしり並んどったわ」

そう言ってオナガさんは腕まくりをして見せた。
手首の辺りに、細かい点の並んだ歯型があった。

それからしばらくして、オナガさんが死んだ、と聞いた。
死に様は分からなかった。

寝れない夜が、またしばらく続いた。
 
小学生の頃、田舎に行ったときの話です。

母の実家は山間の村にあります。
都内で生まれ育った俺は、すぐ暇を持て余してしまい、近くの山の散策に出掛けました。

道の無い森を歩いていると、小さなほこらを見付けました。
近寄ると扉が閉まっていて中は見えませんでしたが、ほこらの裏に引き出しがあり、俺は好奇心から中を見ました。

引き出しの中には木を組み合わせて作ってある約10センチ角の木箱が入っています。
箱を振るとカタカタと音をたて、中に何かが入っているのを確認出来ました。

その箱を持ち帰り、親戚のお姉さんに見せると、開けてやると言い俺から奪い取りました。
しかし、色々動かしても箱を開けることが出来ずに、お姉さんも意地になり「絶対に開けるから開くまで貸せ」と箱を持って自分の部屋に戻りました。

その後、夕食を食べてのんびりしていると祖母の叫び声聞こえてきました。
何事かと思い駆け付けると、お姉さんが部屋の中で泡を吹いて倒れていました。

床には開けられた木箱と、人間の指らしきひからびた物がいくつか落ちてた。
爪らしき物がついていたので指と確認できました。

祖父も駆け付けると一目見て「村にはもう残って無いはずなのに・・」と。
話を詳しく聞くと、この箱は呪いなんかに使われていたらしく、過去に村に何個か有ったけどお祓いして全て処分したはずだそうです。

それから二日後に、親戚のお姉さんが亡くなりました。
俺がそんな物を持ってきたばかりに。罪悪感から一生忘れる事の出来ない思い出となりました。

<後日談>

ことりばこってのは初耳です。
祖父は箱を畜生箱と呼んでいました。
場所は長野県内です。
 
以前、親が転勤族のため、中国地方のある県の山奥に住んでいたことがありました。

まだ僕は小学生で、近所の友達の家にしょっちゅう遊びに行ってました。
以後その友達をMって書きます。

Mの家はかなり庭が広くて、その隅に木にかこまれた結構大きめの祠がありました。

小さい頃からMの家で毎日のように遊んでいましたが、その祠自体に近付いたことは無かったんです。
Mも行ったことが無いらしくて、というより行っちゃいけないって言われてました。

普段からMのじいちゃんがスゴク恐かったんで、2人ともおとなしく聞いてたんです。
そうこうしてるうちにそのじいちゃんが亡くなってしまいました。

Mのとこにしばらく遊びにいけなかったんですが、数日後やっと遊びに行けたんです。
そこで、以前から気になってたあの石んとこ見てみんかーみたいな話になって。

じいちゃんはもういないし、Mの両親は畑に行ってるしまわりに僕らしかいないんで。
Mにはの妹が2人いるんですが、その時俺の妹と家の中でママごとみたいなことをして遊んでました。

田舎なんで周りは古い家ばかりなんですが、Mのとこは群を抜いてデカイ家でしたし、子供の想像ですが、中には刀とかあるかもしれないなとワクワクしてました。

観音開きの石の扉を空けたら、中には茶色っぽい鉄の箱が入ってました。
大きさは8センチ四方ぐらい。

箱のまわりには砂のような砂鉄?のようなものがまかれてて。
持ち上げてみたらめちゃめちゃ重くて「鉄が詰まってる」っていう感じだったんで、箱というより固まりかもしれません。

まわりには竜のような絵が彫られてて、裏側にはなんか字(?)らしきものが書かれていましたが難しくて読めませんでした。
わけがわからんのと気持ち悪いのとで急いで元に戻して、家の中で遊んでました。

その晩、そろそろ寝ようかとしてたら救急車の音が聞こえてきました。
急いで外に出てみたら、救急車はMの家に向かっているようでした。
両親はMの家の方へ向かいましたが、僕と妹は家で寝さされました。

次の日、母が言うにはMの妹が亡くなったとのこと。
昨日の夕方まで一緒に遊んでいたのでビックリしてしまいました。

それから半月ぐらいたった頃、Mの親父が事故で亡くなってしまいました。
ガードレールのない山道に、軽トラックごと谷へ落ちたそうです。
立て続けに3回も葬式を出すことになったので、子供心にも異常なことだと思いました。
なんとなく、あの箱を触ったのが悪かったような気がしていましたが、バレたら怒られるるのが恐くて僕もMも黙っていました。

でも特に僕とMに何かが起こったということはありませんでした。
遊んでて骨折、とかはありましたが命には全然別状ないです。

中学生になってから、うちの家族は市内の方へ引っ越して、Mとも連絡をだんだん取らなくなっていました。

数十年経って今三十過ぎになったんですが、先月、久しぶりにMから連絡がありました。
なんでもMの奥さんが流産したらしいのです。

M「ワシんとこまたおえんかった。○○(妹)もじゃ。鉄の箱、あったろーが。アレじゃなかろうか?」

Mの奥さんが2回流産したらしいのですが、Mの妹(もうひとりの)も流産らしいのです。
それであの鉄の箱のことが気になって、あの時一緒にいた僕にも何か変なことがないかと聞いて来たのです。

箱はもうお寺にあるそうです。
最初の流産の時に、お寺に見てもらったらしいのですが、Mの家は元々その辺の庄屋だったので、何かを鎮めてるものらしいということですが(箱の裏にあった字が「鎮」という文字だったらしいので)結局何かわからんかったとのこと。
とりあえず預かってもらったそうです。

お寺さんで供養してもらってるのに、まだ不幸が続くのでMはめちゃめちゃ怖がってます。
僕も恐いですがどうしたら良いかわかりません。
 
大学生の頃の話です。
当時、免許取りたてでとにかく車を運転したくてしょうがなかった僕は、友達4人で深夜のドライブをしていました。

すると、車内でこの近くに結構有名な心霊スポットのトンネルがあると言う話になり、肝試しでそのトンネルに行ってみる事になりました。

僕はそういった話は信じてなかったので、軽い気持ちで何か写ったら面白いなと思い、途中にあるコンビニで使い捨てカメラを購入して持って行きました。
トンネルの付近に着くとこれ以上車では進めなくなっており、仕方なく歩いて行く事にしました。

やっぱり噂通りの場所で非常に気味の悪いところでした。
僕はトンネルの壁やみんながトンネルの中を歩く様子をカメラに収めながら歩きました。
恐かった所為か夢中になって撮りまくりました。
薄気味悪かったのですが、みんなが密かに期待していたと思うハプニングは一切起きず、ただ気味が悪いだけなので帰る事にしました。

車に戻り、元来た道を帰り始めた僕は、カメラのフィルムが残り一枚残っていることに気がつきました。
そこで、来る途中に街の夜景がよく見える場所があったのでそこに車を止め、みんなで記念撮影をすることにしました。

いざ撮影しようとしましたが、使い捨てカメラなのでセルフタイマーなどは無くシャッターを誰が押すかでいささか揉め、結局じゃんけんに負けた僕がシャッターを押すことになりました。
そこで僕を除いた3人をカメラに収めて、その日は何事も無く帰りました。

数日後、現像に出していた肝試しの時の写真が出来上がりました。
そこには、怪しい影も不思議な光も何も映っていなく、ただの無機質なコンクリートの壁や何の変哲も無い友達の姿が写っていました。
まあ当然だよなと思って、最後の記念撮影の写真に目をやりました。

正直、最初は何も違和感は感じませんでした。何の変哲も無いただの記念写真です。
ただその写真には、

僕を含めた4人全員が写っていました。
僕が笑いながら写っていました。
 
私が現場監督だった時に体験した事を話す。

7月の蒸し暑い雨上がり、私は何時もの様に昼食を済ますと喫煙室に行き一服していた。
喫煙室の外から話し声が聞こえてきた。

「昨日、・・・を焼き鳥の串で刺してやったら・・・・」

外での会話の為、良く聞取れないが、どうやら動物虐待をしていた様な話だった。
私は眉間に皺を寄せながら、下らない話が耳に入らないよう喫煙室を出て事務所に戻ることにした。

事務所に戻る途中、話し声の主とすれ違いざま、

「下らない事ばかりしてると罰でも当たるぞ」

と罵り、事務所に戻った。
午後の仕事が始まって暫くの事だった。

「救急車を呼んでくれ!」

大きな声が現場に響きわたった。
私は慌て、その声の方に走り出した。

その恐らくは事故であろう現場で倒れて居たのは、昼間の動物虐待男だった。
男は何かにつまづいたらしく足場を踏み外し、その下から出ていた鉄筋に串刺しになってしまった様だ。

現場は酷い有様で、頭に刺さった鉄筋の回りから血の泡がプクプクと湧き出している。
ピンと張った手足はヒクヒクと痙攣して、まるで人間の動作では無いように見える。
口からは泡とも、汚物とも解らない様な物を吐き出し失禁の臭も立込めていた。
 
あれは1年ぐらい前の事だと思う。
俺は青梅にある有名な心霊スポットに友達何人かと行ったんだ。

その時もカメラのシャッターが降りなかったり、音声認識のカーナビが無音状態の車内で突然起動したり、変な事は色々あったんだ。
でも本当におかしかったのはそれからだった。

その三日後ぐらいだったと思う。
その夜、寝ていた時に突然内臓のどこか・・・というか下腹部が猛烈に痛み出したんだ。
本当に痛くて血を吐いたり、痛みでベッドの上をのた打ち回った。

救急車を呼んで病院でレントゲンやら色々検査したら、小腸に10センチくらいの錆びた釘が入ってるって言われたんだ。
手術で取り除いたが、医者に「なんでこんな物が入ってるの?」って聞かれたが答えられるわけも無い。

飯に紛れ込んだとしたって明らかに気づくし、飲み込めるはずがない。
突然夜痛み出したのもおかしいし、俺にはあの夜にいきなり釘を腸にぶち込まれた気がしてならない。
なんだか得体の知れない恐怖に襲われた。

結局あのトンネルが関係あったのかどうかは今でも分からないが、たぶん人生で一番洒落にならないくらい怖かった。

<後日談>

釘が俺の腸から出てきて何日かたった後、俺は一緒にトンネルに行った友達に連絡を取ろうと思い携帯やら自宅やらにかけたのだが、なぜかいつもタイミング悪く繋がらない。
電源が切れていたり、自宅にかけても家族が「ごめん、今外に出てて・・・さっきまでいたんだけど」とか・・・。

そんな状態がしばらく続き、俺はなんとか退院する事ができた。
それから友達とも連絡がつき、一緒に行った友達が家にお見舞いに来る事になった。

この時、俺はまだ「入院したが、退院する事ができた」とだけ言って詳しい事はまだ言ってなかった。
ある程度世間話を交わした後、その友達に

「そういえば、なんで入院したの?」

と聞かれ、腸から錆びた釘が出てきた事を伝えると、その友達は見る見るうちに顔が青ざめていった。そして、

「そうか・・・あれは釘だったのか」
ってつぶやいた。
どういうことかと思い気になって聞き返すと、どうやらその友達はトンネルに行って以来、ずっと同じ夢を見続けていたらしい。
それは、自分の腸から細長く真っ黒なエノキ茸のようなものが一本だけするすると生えてきて、腸の中をもぞもぞと蠢き回る・・・というものだったそうだ。
俺の話を聞いて、友人はやっとそれがキノコではなく釘だったことが分かって恐怖に震えたのだという。

結局、なぜそんな夢を見続けたのか、釘を入れたものはなんだったのか、そんなのはやっぱりひとつもわからなかった。
ただ、キノコの夢にしろ釘にしろなんとも得体の知れない恐怖を味わった事は確かだった。
 
一週間前の話。娘を連れてドライブに行った。

なんてことない山道を進んでいって、途中のドライブインで飯食って。
で、娘を脅かそうと思って舗装されてない脇道に入り込んだ。
娘の制止が逆に面白くって、どんどん進んでいったんだ。
そしたら急にエンジンが停まってしまった。

山奥だからケータイもつながらないし、車の知識もないから娘と途方に暮れてしまった。
飯食ったドライブインへも歩いたら何時間かかるか。
で、しょうがないからその日は車中泊して、次の日の朝から歩いてドライブイン行くことにしたんだ。

車内で寒さをしのいでるうちに夜になった。
夜の山って何も音がしないのな。たまに風が吹いて木がザワザワ言うぐらいで。
で、どんどん時間が過ぎてって、娘は助手席で寝てしまった。
俺も寝るか、と思って目を閉じてたら、何か聞こえてきた。

今思い出しても気味悪い。声だか音だかわからん感じで

「テン(ケン?)……ソウ……メツ……」

って何度も繰り返してるんだ。
最初は聞き間違いだと思い込もうとして目を閉じたままにしてたんだけど、音がどんどん近づいてきてる気がして、堪らなくなって目を開けたんだ。

そしたら、白いのっぺりした何かが、めちゃくちゃな動きをしながら車に近づいてくるのが見えた。
形は「ウルトラマン」のジャミラみたいな、頭がないシルエットで足は一本に見えた。
そいつが、例えるなら「ケンケンしながら両手をめちゃくちゃに振り回して身体全体をぶれさせながら」向かってくる。

めちゃくちゃ怖くて叫びそうになったけど、なぜかそのときは「隣で寝てる娘がおきないように」って変なとこに気が回って、叫ぶことも逃げることもできないでいた。
そいつはどんどん車に近づいてきたんだけど、どうも車の脇を通り過ぎていくようだった。
通り過ぎる間も

「テン……ソウ……メツ……」

って音がずっと聞こえてた。
音が遠ざかっていって、後ろを振り返ってもそいつの姿が見えなかったから、ほっとして娘の方を向き直ったら、そいつが助手席の窓の外にいた。
近くで見たら、頭がないと思ってたのに胸のあたりに顔がついてる。
思い出したくもない恐ろしい顔でニタニタ笑ってる。

俺は怖いを通り越して娘に近づかれたって怒りが沸いてきて、「この野郎!」って叫んだんだ。
叫んだ途端そいつは消えて、娘が跳ね起きた。
俺の怒鳴り声にびっくりして起きたのかと思って娘に謝ろうと思ったら、娘が

「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」

ってぶつぶつ言ってる。

やばいと思って、何とかこの場を離れようとエンジンをダメ元でかけてみた。
そしたらかかった。急いで来た道を戻っていった。娘は隣でまだつぶやいている。
早く人がいるとこに行きたくて車を飛ばした。

ようやく街の明かりが見えてきてちょっと安心したが、娘のつぶやきが「はいれたはいれた」から「テン……ソウ……メツ……」にいつの間にか変わってて、顔も娘の顔じゃないみたいになってた。
家に帰るにも娘がこんな状態じゃって思って、目についた寺に駆け込んだ。
夜中だったが、寺の隣の住職が住んでるとこ? には明かりがついてて、娘を引きずりながらチャイムを押した。

住職らしき人が出てきて娘を見るなり、俺に向かって「何をやった!」って言ってきた。
山に入って変な奴を見たことを言うと、残念そうな顔をして「気休めにしかならないだろうが」と言いながらお経をあげて娘の肩と背中をバンバン叩き出した。

住職が泊まってけというので、娘が心配だったこともあって泊めてもらうことにした。
娘は「ヤマノケ」(住職はそう呼んでた)に憑かれたらしく、49日経ってもこの状態が続くなら一生このまま、正気に戻ることはないらしい。
住職はそうならないように、娘を預かって何とかヤマノケを追い出す努力はしてみると言ってくれた。
妻にも俺と住職から電話してなんとか信じてもらった。

住職が言うには、あのまま家に帰っていたら妻にもヤマノケが憑いてしまっただろうと。
ヤマノケは女に憑くらしく、完全にヤマノケを抜くまでは妻も娘に会えないらしい。

一週間経ったが娘はまだ住職のとこにいる。
毎日様子を見に行ってるが、もう娘じゃないみたいだ。
ニタニタ笑って、なんともいえない目つきで俺を見てくる。
早くもとの娘に戻って欲しい。

遊び半分で山には行くな。
 
学校の先輩から聞いた話です。

ある日の午後、女の子が彼氏のアパート行きました。
ベッドに座って話をしていると、壁越しに隣室の物音が聞こえてきます。

「ここ、壁薄いんじゃない? スゴイ聞こえるよ」

「昨日まで空き部屋だったんだけどなぁ。今朝引っ越してきたらしいんだよ」

荷物を整理しているのか、何やらドタバタと騒々しい。

「何やってんのかなあ」

彼氏は耳を壁につけて様子をうかがいました。

ウィーン……壁越しにひときわ甲高い音が伝わってきたその瞬間、ボンッとかなり大きな音がしました……ウィンウィン。

彼氏の手が急に激しく震えたかと思うと、ビックリしたような表情のまま私に倒れ込んできました。
体が、硬直したままブルブルと震えています。

驚いて見ると、倒れている彼氏の後頭部に穿たれた穴から血と灰白色の液体が溢れ出していました……。

隣室の住民が棚を付けようと壁にドリルで穴を開けたところ、薄い壁を一瞬で貫通したドリルの刃が彼氏の後頭部に突き刺さったのです。
 
始めにあらかじめ言うと、本当の話で別に怖くもないし長くなってしまう。
しかし自分にとっては今思い出して書くのも嫌なくらい。怖いというより不気味なんだ。

薄暗い夕方、私が本屋さんに行った帰りに雨が降ってきたんです。
朝の天気予報と家を出る前の空模様を気にして傘を持ってきていたので、私はそれをさして帰る事にしました。
家に帰るまでの道程の途中に公園を通るんですけど、その公園の入り口に小学生低学年くらいの女の子が傘もささずに一人で雨に濡れて立っていたんです。

私は気になって近づくと、女の子はすでに唇を青くして白い顔で寒そうにしていました。
私は持っていたハンドタオルで軽く水を拭いてあげて「おうちは?」と聞くと女の子は「ママが迎えにくる」とだけ答えました。
私はその子の母が迎えにくるまで相合傘をして一緒に待ってあげる事にしました。
ここが待ち合わせ場所なのでほかの場所へ雨宿りするわけにもいかず、ひたすら女の子の母を待ちました。

するとしばらくして女の子がゲームをやり始めたんです。
よくわからないんですけど今CMやってるD○の「文字○ッタン?」だっけ? やった事がないのでよくわからないんですけど、クロスワードみたいに文字をつなげて遊ぶ? ゲームです。
私が興味深くそのプレイ画面見ていたら、自分の目を疑い……なんだかその瞬間に寒気がしました。
女の子がゲームで完成させている言葉が『さつじん』『じさつ』『うなる』『つれさり』『さらう』『なく』など卑劣な言葉ばかりなのです。

私はいくらなんでもこんな言葉をゲームの中で使うのかと疑問に思いました。
なんだか私は妙に怖くなりました。おまけにあたりは一段と暗くなり人の気は完全になくなっていました。
ただ雨の音とゲーム音だけが耳に入ってきます。
私は何かあるんじゃないかと思い早く帰りたくてたまりませんでしたが、女の子を見捨てて帰るわけにもいかず正直困りました。

すると女の子の母が迎えに来たんです。
肌が白く、走ったんでしょうか髪や服が濡れていて私に丁寧にお辞儀をすると、女の子は「今日は来たー!」と喜んで帰っていきました。
私は正直言うとあの女の子は少し危ないんじゃないかと思っていたので、無事に親御さんも迎えにきてくれたので安心して帰りました。

以上。別に進展もなく幽霊的な怖い事もない話です。
ただ気になることが……。D○のソフトにはこのような言葉は収納されているんですか? あのCMを見る度に気になり思い出すんですが。
 
これはつい先日思い出した話です。
それは私が中学2年生。夏休み前の最後の期末テストをやっていた時のことです。

答案が早く書き終わった私は、なんとなく用紙の裏に『あ』から『ん』までの五十音と1〜0までの数字を円状に書き始めました。
中央には鳥居のマークに『はい』と『いいえ』の文字。
そう、当時流行っていたコックリさんです。

コックリさんはもともと数人で行う交霊術なんですが、私の時はもちろん独りです。
当時一番後ろの席に座っていて先生に見つかる可能性が低いからって、やりすぎです。
実際に動くはずがないと思いながら10円玉を答案用紙の鳥居の上に置き、人差し指をそっと重ねました。

(コックリさん、コックリさん、現れましたら『はい』の所に移動して下さい)

すごく昔の話で記憶も曖昧なんですが、自分で動かした覚えはありません。
しかし10円玉はゆっくり『はい』へ移動したのです。

(本当に!? やだ! すごい!)
軽くパニックになりながらも、さっそく質問をしてみることにしました。

(将来、私を愛してくれる人の名前は?)

そんなことコックリさんに聞いても仕方ないのですが、思春期だったのでしょう。
また10円玉が勝手に動き出しました。

『ふ』

『み』

『や』

(ふみや! 私、ふみやって人と結婚するんだ! もしかして藤井フミヤ!?)

その当時チェッカーズが大好きだった私は、興奮気味に「その人はどんな人ですか?」と続けて質問しました。

『お』

『ま』

『え』

『を』

(お前を……?)

『こ』

『ろ』

『す』

『や』

『つ』

全身を冷たい血が一瞬にして駆け巡りました。気味の悪い汗が吹き出してきます。
不意に誰かが後ろに立っている感覚に襲われました。
一番後ろの席なのに、先生は前の教卓の所にいるのに確実に誰かが後ろにいる。
でも恐くて後ろが見れません。

……そのうちテストの時間も終わりテスト用紙は回収されていきました。

この記憶はつい最近思い出したのです。
何故今まで忘れていたのか? 不思議でなりません。
そしてこの記憶がよみがえった瞬間、私は愕然としました。

私の息子の名前は『郁弥』というのです。
もちろん大好きな藤井フミヤから付けました。
そう、私はあの時「将来、私を愛してくれる人の名前は?」と質問したのです。
「どんな人と結婚しますか?」ではなく。

郁弥の父親は私を愛してはくれず、1年前に離婚しています。
まだ息子は3歳ですが……いったい私はどうなるのでしょう。
入社3年目の6月。私は愛知県の営業所へ転勤となり、引っ越しすることになった。

会社が探してくれた2DKのアパートは独り身には広すぎるようにも思えたが、入社以来狭い寮で生活していた私の目には非常に魅力的に映った。
職場にも近いし家賃も安い。なにより風呂付きなのが最高だった。

引っ越して何日目かの夜、風呂でシャワーを使って髪を洗っている最中のこと。
水流でぼやけた視界の隅に、一瞬妙なモノが映った。

浴槽の縁に置かれた両の手。
慌てて目を見開いて向き直ったが、手などどこにもない。

(目の錯覚だろう……)

その時はそうやって自分を納得させた。

しかしそんな性根をあざ笑うかのように「それ」はしばしば私の前に姿を見せた。
シャワーを浴びている時、石鹸を置いて振り返る時、洗面器に手を延ばした時、視線が浴槽を掠めるその一瞬に私の眼が「それ」を捉える。

浴槽の縁にしがみつく白い手。
半ば反射的に視線を戻しても、次の瞬間には跡形もない。
それでも回を重ねるうちに「それ」が子供の手だということを確信するようになった。

1ヶ月ほどたったある休日、私は部屋の整理をしていた。
荷物を収納しようと、備え付けのキャビネットの一番下にある引き出しを開ける。
底に敷かれていた厚紙を引っ張り出すと、その下にあった何かがヒラリと床に落ちた。
拾い上げて見る。

幼稚園児くらいに見える男の子の写真だった。
とっさに風呂場の手を連想し、気味が悪くなったので他のゴミと一緒に捨てた。

その日の夜、テレビを見ていると浴室から何やら物音が聞こえた。
行ってみると、普段は開けっ放しの浴槽の蓋が閉じられている。
開けると、冷水が縁ギリギリまで一杯にたまっていた。
夏場はシャワーのみで済ますため、浴槽に湯をためることなど無いはずだった。

考え込みながら水面を眺めるうちに、私の背後にスッと影が立つのが見えた。
肩越しに、髪の長い女の姿――

ドンッ
不意に背中を押され、私は頭から冷水に突っ込んだ。慌てて持ち上げようとするが頭を凄い力で押さえつけられる。
もがいて逃れようとするがビクともしない。肺から空気が逃げ出していく。
パニックに陥る寸前、私は床を蹴って浴槽に身を躍らせた。体を回転させると、浴槽の底に手足を突き、全力で体を持ち上げる――

ザバァァ

水面を破って立ち上がると、呼吸を整え、周囲を見渡した。

誰もいない。
風呂場の扉は開いているが、外の様子はうかがい知れない。
風呂場から出る勇気が出ないまま、私は浴槽の中に立ち尽くしていた。

……サワ

ふくらはぎに何かが触れた。小さな手にゆっくりと足首を掴まれる感触……。
私は悲鳴を上げ、ずぶ濡れのまま浴槽から、風呂場から、アパートから飛び出した。

私が引っ越す前、ここに誰が住んでいたのか? ここで何があったのか? 大家はそれを語ろうとしなかったし、私も聞こうとは思わなかった。
それから部屋を引き払うまでの約一週間、浴室の扉の前には荷物を一杯に詰めた段ボールを積み上げておいた。
 
その友人がまだ子供の頃、近所のアパートにある駐車場で友達と砂遊びをしていた時の事。

その日はとても夢中になってしまい、夕方の6時過ぎまでその駐車場で遊んでいました。

ドンッ!

急に何かが落ちてきたかのような強い衝撃音が辺りに響いたそうです。
しかし周りを見渡しても何も変わった事はなく、友達に聞いてもぽけーっとした顔をするだけで、結局自分の聞き間違いだろうと納得し、その日は遅いので家へと帰りました。

それから数年後、彼女も高校生となり、勉強や遊びに盛んな時期になっていました。

ある日、学校から帰っている最中、そのアパートが目につきました。
しかし何か様子が変なのである。屋上に人影らしきものがウロウロしている。

そう思った途端、

「あっ! 飛び降りた!」

辺りにすごい衝撃音が響きました。
彼女は急いで現場へと向かったのですが、周りには何もなかったそうです。

それからと言うもの、彼女はその人影をよく目にするようになりました。

「あっ! また飛び降りた……」

しかし何度見に行っても何も変化はないのです。
それでもその人影は決まって同じ時間、同じように飛び降りているそうです。

そのアパートには特にいわくつきのような噂などは聞いたことはなく、殺人事件、あるいは自殺などのような事件は今までまったく聞いたことはないのです。

それからさらに2年後、相変わらず彼女はその人影を目撃するそうです。

ただ最近になって少し気がついた事は、その人影に少し変化が出てきたそうです。
初め見た頃は人の形をしていたのが、最近ちらっと見た限りでは、生ゴミのようなグチャグチャのモノが落ちていくのを見たと言っていました。
 
これは友人から聞いた話。

ある男が一人で登山に出かけたまま行方不明になった。
三年後、湿地帯でその男の遺骨が発見され、遺留品も回収されたが、その中にはテープレコーダーがあった。

テープには大声で助けを求める男の声が録音されていた。
男はどうやら何か怪我をして動けなくなったらしかった。

テープの内容はマスコミにも公表されたが、遺族も警察関係者も公表を控えていた部分があった。
そのテープには助けを求めるメッセージとは違うものも録音されていたのだ。

何かに非常におびえた男の声だった。どうやら夜に何かが起こっているようだ。
男は必死にテープに向かって口述している。

一日目

「夜になると人の声がする……呼ぶ声がする……こんな夜中に誰もいないところに、誰もいないのに」

二日目

「たすけて……声がする……夜になるとあいつがやってくる……暗闇から呼んでいる……昨日より近くなっている……おそろしいよ……おねがい、たすけて……とてもこわい、とても……だれかたすけて」

三日目

「近くまで来ている……たすけて……人が……ヒッ……こわい……近くまで来ている……おねがい、たすけて……おねがい、おねがい……よぶ、だれも……ヒ、あいつ、ちか……こわいよ……たす、すぐそばまで……たすけ、こえが……おねがい、た……て」

こうしてテープはそこで切れている。
それ以後、男はテープに何も録音していない。

警察はこのテープを詳しく分析した。
テープはずっとその男の声だけで、他の怪しい物音は入っていなかった。
しかし、三日目のテープが最後に切れるところで、これまでとは違う音が録音されていた。

そのことに関して、分析家も理解不能だった。
それは、遭難した男の声とは違う、別の人間の声だった。

レコーダーのすぐそばで発せられている。
耳元でささやかれたかのように、はっきりと。


「オ  イ」
 
あるところに若いトラック運転手の男がいました。
男はよく働き、仕事が夜になることも多かったのでした。

会社に戻った日、男は同僚から奇妙な噂話を聞きました。
その話の内容はこういったものでした。

「○○県に向かう峠を夜に通ると、女の子の幽霊がでるそうだ。その女の子の霊は助手席に現れ、運転手に問題をかけてくる。答えられなければ運転手は殺される。問題はついつい間違えてしまうようなものを出してくる。友人の友人に聞いた」

といったものでした。
男は同僚の話を単なる都市伝説の類だと馬鹿にして、この話を信じようとしませんでした。

何日かして、男に○○県に向かう仕事が回って来ました。
しかも、他の仕事もこなさなければならない為、向かう時間はどうしても夜になりそうでした。

案の定、○○県へ向かうのは夜になってしまい、男は例の峠に差し掛かっていました。

しばらく走っていると、男は突然全身に鳥肌が立ってしまいました。
前の道を見ていた視界の中に異常なものが見えてしまったからです。

自分の隣、つまり助手席に女の子が座っている……! しかもこちらをじーっと見つめている!
男は恐怖にかられ助手席を見ることができませんでした。

すると、「ねぇ……」という小さな声が男の耳に聞こえてきました。
男はもう泣きそうになりながら「な……何?」と答えました。

「遊んでくれる?」

と女の子は聞いてきます。怖い……! 怖い!
男は言われるがままについ、「い、い、いいよ」と答えてしまいました。

女の子はクスクスと笑うと「じゃあ、なぞなぞね? 間違えたらだめだよ?」と言いました。
男は、しまった! と思ったのですが時既に遅かったのでした。

「りんごとバナナとスイカを載せたトラックが、ある山道を走っていました。やがてカーブに差し掛かりました。さて、何を落としてしまったでしょうか?」

男は振るえながらも内心助かったと思いました。なぜならこの問題を聞いたことがあったからです。

男は「ス、スピード!」と答えましたが、女の子はこう言いました。

「ふふ、残念ハズレでーす。正解はねえ


“いのち”だよ……」
 
俺の爺さんには従兄がいたらしいんだが、10代前半で亡くなっている。
それがどうも不自然な死に方だったというので、死んだ当時は親戚や近所の連中にいろいろ騒がれたんだそうだ。

戦後すぐの物がない時代のある日、その従兄は友達と、何か売ったり食べ物と交換したりできるものはないかと実家の蔵の中を漁っていた。
その従兄はうちの本家の人間だったので、蔵にはガラクタとも骨董品ともつかないものがごちゃごちゃとあったらしく、その中から何か見つけてやろうと思ったらしい。

探しているうちに、ひょっとこのお面を見つけたそうだ。

そのお面が気に入ったのか、従兄はそれをかぶって通りに飛び出し、でたらめに踊りだした。
もちろん一緒にいた友達連中にもバカ受けで、ひとしきり大騒ぎしてそのまま夕方までひょっとこの面をかぶって遊んでいたらしいんだが、そのうちに従兄が何かにつまづいたか、突然転んで道に倒れて動かなくなった。

最初はふざけてるのかと思ったが、呼んでもゆすっても返事がないので様子がおかしいと思い、すぐに抱え上げて、本家の座敷に連れて帰った。

倒れたままの状態で身体はほとんど動かないが、かすかな声で

「面を、面を取ってくれ……」

と、うめくのが聞こえる。

慌ててひょっとこの面を取ると、顔色は土色、唇は紫、すっかり生気がなくなっていて、まさに死人の顔だったという。

もうほとんど呼吸もはっきりしない状態の従兄を見て、家族も半ば覚悟して医者を呼んだ。
従兄が倒れてから医者が来るまで、実に30分と経っていないはずだった。

しかし、駆けつけた医者は従兄を少し見てすぐに、厳しい調子で家族に言った。

「どうして放っておいたんですか!? 亡くなってから半日は経ってます」
 
オレは今は電車の車掌をやっているんだけど、昔は駅員だった。
勤め先の駅はさほど大きな駅ではなかったんだけど、ずっと昔に妊婦さんの飛び込み自殺があったらしい。

なんでもその妊婦さんは結婚して子供に恵まれて幸せの絶頂だったんだが、夫が突然の事故死をして、まぁつまり後追い自殺らしい。
朝の2時ごろこっそり駅に忍び込んで、回送列車に飛び込んで即死したという話。

問題の日、オレは泊まり勤務だった。
最終の列車を無事に見送り、構内を一通り清掃して、やっと勤務終了。

時刻は夜中の1時30分。
その後風呂に入って寝る前に、一応ホームや駅の構内に残ったお客さんが居ないかどうか、各場所に付いている監視カメラの映像をぼけーっと見てた。

そしたら、上り方面のホームのベンチに女の人が座っているのが見えた。

ついさっき構内を清掃して回った時はもちろん誰も居なかったし、今は券売機の電源も落としている。改札口も全部閉めている訳で、ホームに入れるはずがなかった。
なんか妙だなと思ってしばらくその画面をずっと見てたんだけど、一向にその女の人は動かない。

と、TVの端に表示されてる時刻が2時になったと同時に、その女の人はすくっと立ち上がって、カメラに軽く手を降った後、ホームの端に立って体を傾けだした。

(落ちる!)

ってオレが思った瞬間、スーって感じで消えていったのよ。
何がなんだか分からなくて、しばらく呆然とオレはカメラを見てた。

すると、少しずつ画面の下のほうから黒く染まって来た。
オレはそれが髪の毛だと気づくのに数秒かかった。
ゆっくり、本当にゆっくりと下からドアップの女の人の顔が昇ってくる。
その時画面を消すなりすればよかったんだけど、恐怖からかオレは全然動けないでいた。
ただ食い入るように画面を見ることしかできなかった。

その時の女の人の顔が今でも鮮明に残ってる。
髪は長いんだけど、所々禿げていて落武者みたいな感じ。
それで目が無い。ぽっかり黒く空いていて、そこから血がダラダラ垂れている。鼻は左にぺしゃりと潰れてた。
で、口元は凄い笑顔なんだけど、歯が2・3本しか残ってない。しかもその残っている歯も血で真っ赤に染まっていた。

それで、オレに言うんだよ。

「こっちこい、こっちこい」

って。低い男みたいな声で。笑顔で。

オレは驚愕したよ。ここのカメラは画像のみで、音声まで聞こえないはずなんだ。
それでもまだどこからとも無く「こっちこい、こっちこい……」と聞こえる。

朝、気づいたらオレはベッドに寝かされていた。
どうも何時までたっても駅のシャッターが開かないから、隣駅の人が様子を見に来てくれて、それでモニターの前で倒れているオレを見つけて介抱してくれたらしい。

オレがありがとうございましたってお礼言ったら、その人が言ったんだ。

「気にすることは無いよ。ああそういえば、君の両頬に赤い手形が付いていたんだけど、あれは何だったの?」
 
私はある南の海で仲間たちとスキューバ・ダイビングを楽しんでいました。
空は晴れ渡り海の状態は非常に安定していて、絶好のダイビング日和でした。

私は仲間のダイバーと二人で、あるダイビング・スポットを潜りました。
どんどんと深く潜って行ったのですが、ある地点で海底の異変に気づいたのです。

(何かおかしい)

よくよく見ると、海底には一面に人間が生えていたのです。

連れのダイバーを見ると、呆然として固まっています。
海底から生えている人間の顔はどれも同じで、美しい少女でした。

どうしたらいいのかわからなくてしばらく眺めていると、いつの間にか連れのダイバーがすぐ側に来ていて、私の肩を叩き、ある方角を指差しました。
その方角を見やると、ダイビングの装備をまったくしていない至って普通の格好をした老人が、鎌で少女たちを刈り取っているのです。

無表情だった少女は刈り取られる瞬間、何とも言えない苦痛の表情を浮かべます。
海中でも叫び声が聞えてきそうな表情でした。
しかしその顔も、やがて切り取られた足下から広がる少女の血によって見えなくなってしまいます。

そうして老人は少しずつ私たちの方へ近づいてきました。
やがて私たちのすぐ側までやってきた老人は、完全に固まっている私たちの方へ顔を向け、にやりと笑い、手にした鎌を差し出しました。
まるで「お前たちもやってみるかい?」とでも言わんばかりに……。

次に気づいたとき,私たちは二人とも病院のベッドの上でした。
酸素がなくなる時分になっても上がってこない私たちを心配した仲間のダイバーが助けてくれたのです。

そのダイバーは私たちが見たようなものは見ていないと言います。

「海ではいろんな幻覚を見るものだ。それが海の怖さであり、素晴らしささ」

と、その年長のダイバーは私たちに諭すように言いました。

しかし私ははっきり言えます。あれは決して幻覚などではなかったと。
 
私の母方の家系の女性は、その殆どが何かしらの霊感を持っています。
私もその内の一人なんですが……。

もうかなり昔の事です。
友人のK(男)から相談を受けました。
そのKの話の内容はこうでした――。

俺は久しぶりの休みで実家に帰ったんや。
そして自分の部屋に入ったら、見た事のない木の箱がテーブルに置いてあった。
それは綺麗な桐の箱で、綺麗な組紐でしっかりと結んであった。

俺は見覚えのないその箱をそっと開けてみた。
中には、まだ新品の様な市松人形が入っていた。

誰もが思うやろうけど、何故か日本人形って怖いやん?
俺は元通り箱になおして、おかんに誰が置いたのか聞いてみたんや。

しかし、おかんも妹もみんな知らんって言うねん。
俺は何やらすごい怖くなって、その箱をふだんは使う事のない部屋の押し入れになおして、その日はそのまま寝たんや。

しかし次の日、ふと目が覚めてテーブルの上を見ると、またあの人形が置いてあるねん! しかも今度は箱から出てるねん!

俺は半狂乱になって人形を掴み、おかんの所へ行ってどなった。

『俺になんか恨みでもあるのんかー!!』

って。

でもおかんは、何言うとんねんあんた……みたいな顔で呆れてるみたいやった。
おかんはほんまに知らんって言うねん。

俺はおかんが嘘言うてる訳やなさそうやし、今度は誰にも出して来れへん様に、新聞でぐるぐるに包んで、庭の倉庫の一番奥になおしておいた。

……のはずやのに、今朝起きたらまた戻って来てんねん! 俺の部屋に!

――普段から霊感が強い私に、一晩一緒に部屋でいてくれ、と言うK。
あまりに必死に頼むので、私は彼の言うとおりにしてあげる事にした。

その晩、ふと目が覚めるとKがいない。
トイレにでも行ったのかと、煙草に火をつけてKを待っていた。
しかし、なかなかKは戻って来ない。
おかしいなと思い立ち上がろうとすると、足音が聞こえて来た。Kが戻って来たのだ。

『あんた、何しとったん?』

と発した私は、Kを見て驚愕した。
Kは例の人形を大事そうに抱えていたのだ。

『K! あんた、一体何してんの!?』

私がそう言うと、Kはハッと気付いた様に人形を見て

『うわ〜!! 何で俺こんなもん持ってんねん!』

と、人形を投げ付けた。

そう、人形が一人でKの元に戻って来ていたのではなく、夜な夜なKが自分で出して来ていたのだ。
Kは全く記憶がないと言う。

後日、Kの母さんも一緒にお寺にその人形を持って行き、一部始終を話した。

住職が言うには、その人形はKの祖母のもので、何かを伝える為にKに訴えかけていたのでは……と言う事だった。
悪い霊などではなかったらしい。

Kと母は、祖母の墓に参り、住職の言うとおり人形を供え、以後、その人形はお寺の方で預かってもらう事になった。

それ以降、Kの身に異変が起きる事はなかったらしい。
 
新しい先生が我が高校に来ました。
いつものように授業が終わり、その先生(仮にO先生としよう)が教室を出ようとしたとき、何人かの生徒に話しかけられた。

「先生、知ってる? うちの学校の怖い話」

「なんだそれ? 知らないなー」

「なんか幽霊見たって人がいるらしいよ」

「ほんとに? どこに出るの?」

「なんか聞いた話なんだけど、真夜中過ぎに当直に回ってた先生が見たって」

ちょうどその日が宿直当番だったO先生は、からかってるんだなと思いつつも話の続きを聞くことにした。

「この建物の3階から4階に登る階段の踊り場にある鏡の前に0時きっかりに立つと、自分の肩越しに人が指を指して笑ってるのが見えるんだって」

「ほんとかー? よし、それが本当かどうか今日見てみるよ」

もともとあまり怖い話など信じないタイプのO先生だったが、生徒から聞いた話が妙に気になったらしい。

そうこうしているうちに夜になった。
職員室でデスクワークをしていたO先生が壁に掛かった時計を見ると、あと数分で0時になりそうなことに気づき、とりあえずその踊り場へと向かった。

誰もいない校舎を歩いているとなんともいえない気持ちになったらしいが、ここで引き返すわけにはいかず、問題の鏡の前に立っていた。
腕時計を見てみるとちょうど0時。しかし映っているのは自分の姿だけで、何も変わったとこはない。

(……やっぱり騙されたか)

と苦笑しながら、その日は当直室で眠りに付いた。

翌朝、その幽霊話をした生徒を見つけると、O先生は

「昨日、ちゃんとその時間に例の鏡見たけど何もなかったぞー」

と自慢げに言うと、その生徒はちょっとびっくりしたような顔で言った。


「先生、3階と4階の踊り場に鏡はもともとないんだよ……」
 
私は今は高校一年生になりました。
当時は小学生で、借家に住んで居ました。
そこは頻繁に霊魂(?)と言った白い丸いものが押し入れの襖の所に浮かんでいたりしました。

私の母は霊に憑かれやすく、金縛りにも体調が悪い日には見たりもする人です。

夜中、私は金縛りで目が覚めました。
初めてではありませんでしたがやっぱり怖くて、声を出そうと試みてみるもやっぱり声は出ずに息苦しさだけを感じました。

まだ小さかった私は一人では寝て居なく、母と父三人で寝て、私が真ん中という位置でした。

頭の上はカーテンがある大きな窓……何と言えば良いか分かりませんが、人が立ってもまだ足りないくらいのガラスの窓です。
足元は襖で真っ直ぐ行けばトイレでした。
父は右側に居り、その隣はテーブルがある部屋で、母は左側で、母の隣が襖の押し入れでした。

私は怖さでいっぱいでどうしようもなく、母を何回も呼ぼうと試みました……。

そんな中です。母親の声が聞こえたんです。

『○○(私の名前)ちゃん、どうしたの? こっちにおいで?』

私は母の声が聞こえて安心感に包まれ、声も出ずに身体も動かない状態だったので、横に転がる形で転げて母の所に行きました。

……何故か私は途中で止まったんです。
そして頭の中で

(違う……お母さんじゃない)

母親が襖の所に寝て居たので、そこは襖の傍でした。
リアルに回りは暗くて分かりませんでしたが……私がそう思って止まった瞬間、聞こえたんです。

『何だ〜あ分かったの? そのままこっちに来れば良かったのにね……』

女の人の顔が浮かびました……。

それは案の定母親じゃありませんでした。白い女の人の顔で。
驚きの余りどう表現したら良いのか分からない感情に包まれました。
そして次の瞬間、本当の母の声が聞こえたんです。

そして私は目覚めました……。
私は母親の居る襖の方に転がって行ってるはずだったんです。

……でも実際は違いました。
襖のあるトイレのある方向に転がって行っていたんです……母親の居る場所からは遠く離れて居たんです。

その後母親の傍に行ってまた眠りました。
母親は私が急に転がり出して驚いて声をかけたそうです。

今思います……あのまま私が転がってあの声の場所へと行って居たらどうなっていたんでしょう?
あれは夢だったんでしょうか?

夢というにはあまりにリアルで声が今も頭の中から離れません。
 
自分の記憶と兄から聞いた話、それに友達からの情報、それらを元にした話なので、完全に真実の話ともいえないかもしれませんが、結構怖いと思った話なので書き込ませていただきます。
でも死ぬほどってカンジでもないので、あまり期待しないでくださいね。

始まりは、おれが小学校低学年の頃までさかのぼります。
当時、神戸市垂水区にあった(今も在るかは知りません)公務員宿舎に、おれの家族は住んでいました。

外観は古いタイプの団地って感じで、全部で十棟くらいあったと思います。
一つの棟には三つ階段があって、五階建て。ウチは五号棟の真ん中の階段の五階でした。

話の元となる家族が住んでいたのは、向かって右側の階段の四階、号室までは覚えていません。
そこは両親と一人っ子の長男の三人家族。父親は公務員で母親は専業主婦、長男は浪人生。
この母親と長男の関係が、はじめの悲劇を生みました。

母親はかなりの教育ママで、自分の息子に、自分が望む志望大学に入学してもらいたかったらしく、半ば強制的に息子に勉強をさせていました。

何度目かの受験失敗の後、長男は母親のプレッシャーと受験失敗を苦にして、団地の四階、勉強部屋の窓から飛び降りて自殺しました。
結構大きな騒ぎになったらしいのですが、おれはあまり覚えてないです。

教育バカママは、その一件がかなりショックだったらしく、精神的に追いつめられておかしくなっちゃいました。
夜中、突然散歩にでかけたり、外で会った人に「あなたの後ろに羽の生えた人が見える」なんて言ったりして、団地の住人にかなり恐怖を与えていました。

実際にウチの兄貴は、そのバカママ改めピチガイオカンに訳のわからないことを言われたらしいです。
他にも聞いた話では、死んだ息子の部屋の窓を必ず開けっ放ししていて、「閉めると息子が帰ってこれなくなる」なんて言っていたらしい。

だんだん症状がひどくなり、今度は部屋中に何処からか持ってきたお札を張りまくって、「あいつらが、息子が帰ってくるのを邪魔している」と夜中にわめき散らしたり、寝巻きのまま外に出たり、相変わらずの「あなたの後ろに羽の生えた人が見える」を団地の人に言ったりと、かなりヤバイ状態までいきました。
ここらへんのことは、おれも当時、団地の話題になったのを覚えています。
それで、旦那が困り果てて、色んな人(カウンセラーから宗教関係者、心霊系まで)に相談したものの、良い結果は得られなかったらしいです。
偶然にもその家族の向かいには某宗教団体に属する家族が住んでいて、ある日相談を受けたそこの父親が、そのピチガイオカンを訪問して、彼女の前でお祈りをしたところ、急にピチガイオカンの声色が変わって、その父親を罵ったり、手がつけられないほどに暴れたりと、エクソシスト張りのことがあった、そんな噂も団地に広まりました。

家庭の事情でおれの家族が引っ越すことになってしまい、その後の経過を見ることなくその一件は記憶のかなたに追いやれることになります。

ウチの家族は何度か引越しを繰り返して、二年後、また神戸に帰ってきました。
しかし、例の公務員宿舎ではなく、少し離れた学区も違うところです。
それにその頃はすっかり、その家族のことなんて忘れています。

神戸に戻ってから四、五年経ったころ、おれがもう高校生になるかならないくらいの時、母親の友人がうちを訪れました。
その人は公務員宿舎に住んでいたときからの友人で、神戸に戻ってきてから時折、母に会いにウチに来ていたのです。

その日もくだらない世間話をしていましたが、おれが挨拶をしに顔出すと、「そういえば覚えてる?」とあの家族の話をはじめました。

ピチガイオカンは一向に良くならず、けっきょく旦那はピチガイをつれて、田舎のほうに引っ越すことになりました。何処とは聞きませんでした。
そこで旦那がピチガイの面倒を見ながら、遠くの会社まで通勤していたらしい。

しかし、この旦那もかなりの年齢による年波には勝てないのと、ピチガイの面倒や長い通勤時間等がたたり、体調を崩してしまった。
それで早めに退職し、そのまま田舎でピチガイの面倒だけを見ることに。

旦那が退職してしばらく経ったころ、近所の人がおかしなことに気づきはじめた。
夫婦の姿を最近見かけない。

奥さんのほうがピチガイなのわかっていたし、旦那が最近退職したのも皆知っている。
旦那の方はよく買い物なんかに出かけていたが、このところ全然姿を見かけない。
おかしいとは思いつつも、家庭の事情が事情だけに、誰も家まで出かけてどうなっているのかを確かめたりはしなかった。
それから何週間がたっても、夫婦の姿を見かけなかった。
さすがにこれは本当におかしい、と思い始めた近所の人。
近所といっても田舎で、家と家のあいだはかなり離れているので、具体的に家の状況とかはわからなかったので、警察に事情を連絡し、一緒に様子を見に行くことになった。

カギはかかっておらず、戸を開けると、その瞬間に異臭が漂ってきた。明らかに何かが腐った匂い。
警察官と近所の人が中に入っていくと、寝室と思われる部屋に座る人影が見える。
敷かれた布団を前にピチガイの奥さんが座っている、きちんと正座して。

腐臭の元は明らかにその部屋からきている。
部屋に入っていくとピチガイ奥さんと、その前に敷かれた布団の上には変わり果てた旦那の姿があった。
死後からかなりの時間が経っている様子、ピチガイの奥さんはその前でじっと座っていた。

後から聞いた話では、旦那は他殺ではなく、体調を崩しそのまま病死したらしい。
ただひとつ気になることは、家の中には食料といえるものは一切なくなっており、近所の人も誰一人ピチガイ奥さんが買い物に行ったのを見ていない。

旦那が死んでから何週間ものあいだ、ピチガイはなにを食べていたのだろうか、彼女の目の前に在ったのは……。
 
私の家は古く、立て付けが少々よくない。
押入れの戸を閉めようとしても必ず隙間が出来てしまう。

子供の頃はそれが無性に怖かった。
その暗い線の向こうに何かがが潜んでこちらを覗いているのでは、と常に恐れていた。

しかし歳をとり、いつのまにか恐怖は消えた。
そう、その隙間の向こうには何もいるはずがない。
子供の頃に感じた恐怖は全て想像が生み出した幻。

その、はずだった。

ガタ、ガタガタ……

深夜1時、隙間から音がした。
すでに床に就き眠気もピークだった私は、ネズミだろうと確認もせず放っておいた。

いよいよ意識が夢の中に落ちようとしていた、次の瞬間。

「オギャァ、オギャ、オギャァア」

赤子の泣き声に夢の淵から一気に呼び戻された。

全身の毛穴が一気にひらく。
赤子の声は……そう、あの暗い隙間から聞こえてきていた。

とっさに頭を布団の中にもぐりこませる。
汗で布団の中はじっとりとしていた。

何分たっただろうか……泣き声はいつのまにか消えていた。
確認しよう頭を布団からだそうとしたが、次の瞬間身体が凍りついた。

「オトウ……サン……」

隙間から今度は小さな子供の声が響いた。

いや、それだけじゃない。
初め高かったその声は、徐々に低く大人びた声になっていく。

押入れの戸がすべる音。声がだんだんと近づいてくる。

「アナタハ、ワタシノ、オトウサンデスカ?」

ちがうっ!!

心の中で必死にそう叫ぶ。
耳元でそいつが話しかけるたびに何度も何度も叫んだ。

何度そう叫んだろう。
そいつは私の耳元をはなれ、玄関を開け出て行った。
私はそのまま恐怖で動けずに朝を迎えた。

その日、静かな町に事件が起きた。
酔った男性が、足を滑らせ池に落ちて死んだらしい。
噂では地面に引きずられたような後と、腕に人の手の形をしたアザがあったという。

私は押入れを調べた。
そして押入れの床の下に小さな骨を見つけた。
本当に、手に収まるほど小さな、人間の骨。
 
友達から聞いた話で一番怖かった話です。

その友達をA子とします。
A子とA子の彼氏、B子とB子の彼氏の4人でドライブに行きました。
そのドライブの帰り道の事です。

夕焼けも終わって、だんだん辺りが薄くなってきたころ、A子達の走っている車も、その前後の車もライトを付けました。
一日中遊んだ後だったので、運転していたA子を含めみんなは眠くなってきています。
そこで、A子がみんなで怖い話をしようと提案しました。

一人づつ順番に人から聞いた話や自分の体験等を語って、その場は盛り上がっていました。
辺りはすっかり暗くなりました。

その時、すれ違った車にパッシングされました。
ただのパッシングではなく、なぜかしつこく何度もパッシングされました。

A子は何だろうと思いましたが、みんなは話に夢中で気が付いていないようでした。
半ドアかな? とも思いましたが大丈夫そうです。
ライトもちゃんとついています。

そんなことを考えていると、後ろの車がいきなりブーブー! とクラクションを鳴らしてきました。
そしてまたパッシング。

何事かと、今度はA子の友達や彼氏も気が付いたようです。

でも、その時脇に車を寄せるくらいの幅がなかった為、車を止める事ができず、そのまま走っていました。
すれ違いざまに何かを叫んでいく人までいました。

信号が赤になっているところでようやく車を止める事ができたとき、隣の右折斜線に入った車がA子達の車の横につけてきて、窓を開けて何か言ってきます。
A子が窓を開けて、話を聞きました。

信号が青に変わり隣の車は行ってしまいましたが、A子は青ざめた顔をしてなかなか車を走らせようとしません。

B子がどうしたの? なんだって? と聞くと、A子は

「……私達の車の上に子供が乗っていたんだって。でも、それを言おうと思って隣に車を止めて見たらいなくなってたんだって」
 
愛犬家のAさんは、4年前に飼い犬を亡くした。

飼い犬の死因は老衰。
20年近く事故や病気をせず、眠るような大往生だったという。

「それからね、帰ってくるんだよ」

聞くと、毎年お盆に彼の犬は戻ってくるらしい。

「お盆の夜に寝ていると、グッ、って布団が重くなる。動こうと思っても動けない。金縛りだ」

「耳を澄ますと、ハッハッ、って犬の息遣いが聞こえるんだ。最初は怖かったけど、あいつが帰ってきたかと思うと、なんか嬉しくてねぇ」

Aさんは心底嬉しそうに、僕に語ってくれた。

その話を聞いてから1年が過ぎ、再びAさんと会った。
彼は少しやつれているように見えた。

挨拶もそこそこに、具合でも悪いのか、と彼に聞いてみる。
しばらく逡巡したあと、

「あいつじゃなかったんだ……」

Aさんはポツリと言った。

今年のお盆も、彼の犬は帰ってきたらしい。
いつものようにAさんは金縛りに遭い、いつものような息遣いを聞いた。

毎年のことだからAさんも慣れていたのだろう。
飼い犬がどんな風に自分の上に乗っているか、想像してみたそうだ。

その時、Aさんは気付いてしまった。

自分の上に乗っているモノ。
その重みを支えている足。

それはなぜか3本しかなかったそうである。
 
これは友達から聞いた話です。

ある心霊スポットでの話。
そこは山の麓にあるトンネル。

仲のいい男友達4人でそこに行こうということになり、ドライブがてら行くことになった。

そこは結構長いトンネルだった。

初めの内は何もなく、4人でバカな話をしながら走っていた。

すると運転手が、「あそこ何か浮いてないか?」と言いだした。

みんなも見てみたが、「何もないじゃないか」と一人の奴が言い、運転手も気のせいかと思っていた。

少し走ると急に車が止まった。

するとまた運転手が「やっぱ何か浮いてるって」と言ったので、みんなで見ると今度は確認できた。

なんだあれはと話していると、その浮いているものが近づいてきた。
そして次の瞬間、それが何か確認できた。

それは髪の長い女の生首だったのだ。

みんなは驚き、急いでバックで逃げようとした。

しかしバックなのでそれほどスピードが出ず、追いつかれ、その生首が車内をスーッと通り抜けた。

みんなはあっけにとられたが、すぐさま車を前進させ、かなりのスピードを出してついに出口まできてトンネルを出ることができた。

しかしトンネルを出てすぐ道は急カーブになっていて、車は急ブレーキをかける。

ガードレールにぶつかってなんとか助かったが、下はすぐ崖で、落ちれば死んでいただろう。

みんなが恐怖で黙り込んでいると、一人がこう切り出した。

「もしかしたらさっきの幽霊は“トンネルを出たらすぐに急カーブがあるから気をつけろ”ということを伝えようとしたんじゃないか」

みんなも物事をいい方向に考えようと思い、絶対そうだと思い、話していた。

そんな話をしていて、ぱっとミラーを見ると、さっきの生首があり、みんなは凍り付いた。


そしてこう言った。


「落ちろ」
 
その晩は雨が強く降っていた。
現場に着き、トンネルの手前で車を脇に寄せて一時停車。

その手の感覚は鈍いほうだが、不気味な雰囲気は感じた。
「恐い場所だ」という先行イメージのせいもあるだろうが。

しばらくの休憩の後、ゆっくりと車を進め、トンネルに進入開始。

こういう体験は始めてなので、ワクワクするような妙な高揚感を感じる。
友人達もいい年して遊園地の乗り物を前にした子供のような表情で目を輝かせていた。

それほど寂れた場所ではないとは思うのだが、後続の車は来なかった。
なので、スピードをかなり落として進んだ。
何かが起こる事を期待しながら……。

しかし特に何もおこらず、トンネルの終端まで着いてしまった。

トンネルの壁などを観察していた友人達も、別に妙なモノを見たわけではなさそうだ。

もう1度行ってみよう、と提案が出て、皆賛成した。
車をトンネルの端でUターンさせた。
今度も何も起こらなかった。
不満なので(と言うか、暇なので)何度が往復してみよう、という事になった。

雨が強くなってきたのか、雨粒が車を叩く音がうるさくなってきた。

3、4往復ほどしただろうか、友人の1人が、「おい、もう帰ろう」と言い出した。

何も変わった事も起こらず、飽きてきたのだろう、と思った。
だが、何か声の調子がおかしかった。

トンネルの出口が見えるあたりで一旦車を止め、後ろを振り向いた。

帰ろうと言い出した友人は肩を縮め、寒さに震えるような格好をしている。
もう1人は、その様子を見てキョトンとしている。

「え、どうした? 何か見えたのか?」と聞いたが、「いいから、とにかくここを出よう」と言う。

“何か”を見たのか?
期待と不安で動悸が激しくなってきた。

雨は一層酷くなり、ボンネットを叩く音が耳ざわりに感じる。

とにかく一旦ここを出て、どこか落ち着ける場所を探す事にした。

国道沿いのファミレスに寄り、ようやく一息ついた。
夏も近い季節だというのに凍えるように震えていた友人も、ようやく落ち着いてきたようだ。

「なぁ、もう大丈夫だろ? 何を見たんだよ」

「聞こえなかったのか? あれが」

友人は怪訝そうな顔で僕達を見た。

妙な怪音の類か? それとも声?
しかし僕には心当たりはなかった。

もう1人の友人も、何が何やら、といった表情をしている。

「別になにも……まぁ、運転してたし、雨もうるさかったしなぁ」

「聞こえてたじゃんか!」

いきなり声を張り上げられて驚いた。

深夜なのでファミレスにはほとんど人はいなかったが、バイトの店員が目を丸くしてこちらを振り向いた。

しかし彼がなにを言っているのか理解できない。

「何が聞こえてたって? はっきり言ってよ」

気恥ずかしさと苛立ちもあって、少し強い口調で言ってしまった。

しばらく重い沈黙が続いたあと、彼が口を開いた。

「雨だよ、雨の音」


「俺達はずっとトンネルの中に居ただろ! なんで雨が車に当たるんだよ!」
 
ナンパ目的で相棒と白浜に行った時の話です。

もちろんホテルや海の家の予約などしたことがない俺達は、ナンパした女の部屋にしけこむのが当然だったのだが、その日は忘れもしない人生初めての超惨敗で、真っ暗になっても浜辺でナンパをしていた。

努力の甲斐なく、その日は浜辺にあるベンチで一泊する事となった。

花火をするカップルはいたが、女たちだけでする奴らは全くいなく、この時点で帰れば良かったと今は思う。

花火をする人影もなくなり、波音だけの昼間とは全く違う世界。
相棒のイビキがとなりのベンチで聞こえた頃、0時過ぎだったと思う。

すぐ近くで砂の上を歩きまわる音が聞こえてきた。

もちろん真っ暗だったが、ライター以外に明かりの無い俺でも十分に目が闇に慣れていた。
音のする方を寝ながら見ると、姿は見えないが確かに5人くらいの足音が聞こえる。

その音はドンドンこちらに近づいてきた。

ドンドンドンドン……

急に悪感を覚え、とっさに「ヤバイ」と感じた。
なぜだかはわからない。

立ち上がって相棒が寝ている方を見ようと首を横にした瞬間、さっきまでベンチで横になっていた相棒が座ってこちらを向いていた。
顔の表情は暗くて全くわからなかったが、こちらを向き、俺の顔を見ているのは確かだった。

俺は「大丈夫か?」みたいな事を言おうとした瞬間、自分の周りに何本もの白い足、足、足、足、足……

気を失う瞬間、俺は確かに聞いた。
若い男の声で“ようこそ”って。

それ以来、海が怖い。