1 無名さん

お前ら知ってる?

寺田君はお父さんがおらんねんぞ
2 無名さん
墓の場所教えろ
墓石蹴っ飛ばしたるわ
3 無名さん
へぇー
4 無名さん
ひとつ賢くなった
外灯もまばらな夜道。
つけてくる足音にふりかえると、髪の長い、あきらかにこの世のものでは無いおんなと目が合ってしまった。

その瞬間。おんなは、髪をふりみだして突進してきた。ぎゃあああ!
叫んだのはおれのほうだ。猛ダッシュでにげた。

ところがなんということだ、おんなはおそろしく足がはやい。追いつかれる!
しかしおれのはやさも並じゃないぜ。陸上で県大会に出たことだってあるんだからな。

みてろよ!と気合を入れてさらに加速する。どうだ!
しかしおんなは余裕で追い上げてくる。クソッタレ!

登り坂にさしかかった。じつはおれは登りが大の苦手だ。あっさりと抜かれてしまった。
くやしい。抜きざま、おんなは「フッ」と口の端で笑った。なめんなよ!
しばらくおんなの後ろを走っていたが、峠のカーブで抜き返してやった。ざまあみろ。

休憩所があったので、ふたりで長机の水を飲んだ。おばちゃんがタオルをくれた。
つぎの休憩所は5kmさきだ。もう山はぬけて、気持ちのいい海沿いを走っている。

ようし、一気に距離をあけてやるぜ!海から太陽が昇ってくる。すべてが黄金色に染まる。
波頭のひとつひとつがキラキラと照りかえす。なんてきれいなんだろう。

ふと気がついて後ろをふりかえると、おんなはもういなかった。
6 無名さん
いちおつ
妻が事故で死んだ。

わたしはしばし呆然としていたが、やがて冷静さを取り戻すと、妻を送るためのあれこれの儀礼のために忙しくなる前に、現実と向き合うことにした。

息子が、数年前から自室に引きこもっている。
部屋に鍵をかけて一歩も出ず、顔をあわせることさえない。

妻が食事を部屋の前に置き、空の食器をさげるという毎日を繰り返していた。

世間体を気にする妻に強く言われ、誰にも相談できなかった。
わたしが働いている時間帯に息子が暴れることがあるらしく、だから極力刺激しないようにしてきた。

しかし、妻はもういない。
息子も、そのことを理解すべきだ。わたしだってもう歳だ。いつまでも息子を守ることはできないのだ。

意を決し、息子の部屋の前にわたしは立った。
鍵がかかっている。わたしは息子に声をかけた。返事は無い。

わたしは息子の部屋のドアをこじ開けた。


息子はベッドに横たわっていた。
死後数年は経っているかのように、すでにミイラ化していた。
<その@>

ある晴れた日曜日、警官が街をパトロールしていると、向こうから猿を連れた男が歩いてきた。

警官「こらこら、どうして街なかで猿なんか連れて歩いているのかね?」

男「よく分からないんですが、私になついて離れないんですよ。お巡りさん、どうしたらいいでしょうか?」

警官「さあ? 動物園に連れていけばいいんじゃないのかな?」

次の日曜日。警官が同じ場所をパトロールしていると、向こうからあの時の男がやってきた。前と同じようにあの猿を連れている。

警官「どうしたんだ? その猿を動物園に連れていったんじゃなかったのか?」

男「ええ、連れていきましたよ。でも毎週同じじゃ飽きるだろうから、今日は遊園地に連れて行くんです」


<そのA>

スタンドの店員がお客の車の後部座席にペンギンがいるのを見つけた。

「あっ、ペンギンだ」

「ああ、道端でウロウロしてたんで拾ってきたんだがどうしようか思案中でね」

頭をかきながら運転手が言った。

「どこか動物園にでも連れて行ったらどうです?」

「おお、それは名案だ」

給油を終えた運転手はスタンドを後にした。

数日後、また同じ車がスタンドにやってきた。
店員はまたその車の後部座席に座るペンギンを見つけた。

「あれ? 動物園に連れて行ったんじゃないんですか?」

運転手はにこにこしながら言った。

「ああ、もちろん連れて行ったよ。楽しかったなあ。今度はビーチに連れて行ってやるんだ!」
小学生3年の太一君は困っていました。

宿題に作文を出されたのです。
太一君はどうやって書けばいいのかわかりませんでした。

なので、家族に聞く事にしました。

「お母さんお母さん、作文の書き方教えて」

「後でね」

カキカキ…
後でね

「お父さんお父さん、作文の書き方教えて」

「うっせぇーんだよ!」

カキカキ…
うっせぇーんだよ! 

「お姉ちゃんお姉ちゃん、作文の書き方教えて」

「はぁぁぁ?」

カキカキ…
はぁぁぁ?

「妹妹、作文の書き方教えて」

「アン○ンマン」

カキカキ…
アン○ンマン

「お兄ちゃんお兄ちゃん、作文の書き方教えて」

「分かった☆バイクでいくぜ!」

カキカキ…
分かった☆バイクでいくぜ!


―翌日―

「はい、じゃあ次、太一君作文を読んでくださいね〜」

「後でね」

「え? どういう事?」

「うっせぇーんだよ!」

「何て事言うの太一君!!!」

「はぁぁぁ?」

「先生を何だと思っているの!!」

「アン○ンマン」

「もういいわ。太一君、後で職員室に来なさい」

「分かった☆バイクで行くぜ!」
船で川を渡っていた大学教授が、途中で船頭に尋ねた。

「君は哲学がわかるかい?」

「いいや、聞いたこともないですよ」

「じゃあ、君の人生の四分の一は失われた。地理学はどうかね?」

「いや、知りません」

「じゃ、君の人生の二分の一はそれで失ったも同然だ。天文学はわかるかね?」

「いいや」

「それで、四分の三が失われた」

その時、濁流にのみこまれて舟は転覆し、二人は川に投げ出された。

「泳げるのかね!?」

と船頭。

「ダメだ!」

教授が答えた。


「じゃあ、あんたの一生は全て失われたも同然だ」
結婚して5年。主人のボブとは恋愛結婚。
決して裕福ではないけれどボブも私にとても優しく、平凡で幸せな日々を送っていました。

ただひとつ、私たち夫婦には悩みがありました。
結婚して5年経つというのに子供に恵まれないのです。私もボブも子供が欲しくてたまりません。

そんなあるクリスマス。
買い物帰りに近所の教会の前をボブと二人、歩いていると大きなカゴが不自然に置かれていました。

近寄って見てみると二人で目を疑ったのです。
生後1年は経っていないだろう、茶色いクリクリした目と透き通るようなブロンズの毛が印象的な可愛らしい女の子。
カゴの中の紙には【2月11日生まれ】と書いてあるだけ。

私は『きっと子供を授からない私達に神様がクリスマスプレゼントを下さったんだわ!』と思い、ボブも同じ考えだったので、この日から私達の子供として育てる事にしました。

名前をクリスと名付け、惜しみ無い愛情を注ぎ育てました。
クリスもまた何の疑いも無く、私達を本当の親だと思って甘えてくれました。

いつかクリスに話さなければ…とは思うのですが、ボブは『その必要はないだろう』と言います。
家計が苦しくなり、私も働きに出なくてはならなくなってクリスを保育所に預けようとしたら、ボブは『保育所なんかに預ける必要はない』と言います。

確かに保育所に預けるとなるとお金がかかります。
じゃあクリスをひとり家に置いて働きに行けと?

ボブはもしかしたらクリスが可愛くないのかしら…? やっぱり本当の子じゃないから…?
何があっても私だけはあの子を守らなければ…。

クリスは5歳になった。
人見知りも全くせず、お散歩で公園に連れて行けば、近所の子達と楽しそうに走り回って遊ぶ。

あんなに楽しそうなのに…。

実は、クリスは5歳になったというのにまだ言葉をしゃべらないのです。
発する言葉といえば、いつも同じ一言二言。

医者に診せようとしても、ボブは『その必要はない。仕方ないだろう』と言います。

もしかしたら、クリスはそんなふうに冷たく自分の事を思ってる父親の気持ちを敏感に察して、しゃべれなくなっているのかもしれない…。可哀想なクリス…。


日が沈み寒くなってきた。

私は公園の砂場で遊んでいるクリスに『お家に帰ろう』と声をかけました。

やっぱりいつもの同じ一言しか返ってきませんでした…。


『ワン!!』

と。
杖をついた男が赤いコートを着て白い大きなマスクを口につけた女性に出会った。

女は男に近づくと一言、こう尋ねた。

「私キレイ?」

少し考えた後、男は答えた。

「ええ、キレイですよ」

するとその女性は突然マスクに手をかけ、それを剥ぎ取りながらこう言った。

「これでも…キレイかー!!」

何と、その女性の口は耳まで裂けていたのだ。

しかし、男は少しだけ困った顔をしながらこう言った。

「私は目が見えないんですよ、なので“これでも”というのが何のことかはわかりません」

少し思案した後、女は男の手を取ると頬の裂けている部分をなぞらせた。
頬に触れた男の手が一瞬揺れ、自分の話している相手が口の裂けている女だと気づいた。

そして女は、もう一度先ほどの質問を繰り返した。

「これでも…口が裂けていてもキレイか!」

男の答えは変わらなかった。
むしろ、よりはっきりと言い放った。

「あなたは、キレイな人です」

そして、男は光を感じない目を女に向けるとこう続けた。

「私が光を失ってからずいぶん経ちます、そして多くの人に会ってきました。今のように道で声をかけられたこともあります。多くの人は私が盲目だと知ると声をかけたことをあやまり、同情し、申し訳なさそうに去っていくのです。しかし、あなたは私の意見を聞こうとしてくれる。口のことも触れさせることで教えてくれた。私を特別視していないようですごく嬉しいことです。私は外見のことはわからないので、そういった基準でしか判断できませんが、あなたは少なくとも、私にとってはキレイな人です。失礼でなければ、あなたともっと話をしてみたいです」

と、とても嬉しそうに話す男。

女はポカーンとした後、急にボンッ! と音が出そうな勢いで赤面し、

「あ、ありがとう、きょきょきょ今日は時間がないから、これ、こここれで失礼します」

とだけ言うと走っていってしまった。

走りながら女は自分に言い聞かせる。

(心臓がすごくドキドキしているのは今走ってるから!)

頭に浮かぶ先ほどの男の嬉しそうな顔を振り払いながら赤面した女は走り続けた。

それから、杖を持った男と大きなマスクをした女性が仲よさそうに話しながら歩いているのがたびたび目撃されたという。
この前、友達がウェイターやってるレストランに、一人で晩飯食いに行ったんだ。
ウェイトレスに案内されてテーブル席に着くと、俺の前と、向かいの席にメニューを置いて行った。

何だ? と思っているうちに友達が水と紙おしぼりを持って来た。
そして「おい、珍しいな」なんてニヤつきながら、向かいの席にも水とおしぼりを置きやがる。

いい加減薄気味悪く感じながらも注文すると、

「で、お連れさんは何にする?」

と聞くものだから、いや、一人だよと反論。

すると友達は怪訝な顔で「あれ、店に来た時、女連れじゃなかったか?」などと小声で言う。

曰く、「髪の長い、白いワンピースの女を連れて入ってくるのを見た」と。
「今はいないのでトイレにでも行ってるんだろうけど、てっきり彼女なんだろうと思った」と。

もちろん俺に心当たりはないから否定したら、逆に向こうが気味悪いものを見るような目でこちらを見る始末。

とうとう何だか寒気がしてきた。

…と、不意に友達は吹き出すと、「いや、わりーわりー」と謝り始めた。

「今日は客も少なくて暇してるところにお前が来たもんだから。ほら、よくあんじゃん? 誰もいないはずの席にコップを置く店員、て怪談。あれをやって、お前ビビらせて遊ぼうかと、水持って行く時に急に思いついてさ」

そして「本当スマン。こんな事して遊んでたのバレると店長にどやされるから、黙っといてくれよ」と、食後のコーヒーをサービスしてくれた。

ちょっとムカついたが、真相がわかったので責めもしなかった。

ま、コーヒーが美味かったので許すが、心臓に悪いから次からは勘弁してくれ。
ある男が悪魔を呼び出した。

悪魔「お前さんが私を呼び出したからには、願いを1つかなえなくてはいけないな」

男「よし、じゃあ俺の願いをかなえてくれ。今すぐここに、俺が一生使えきれないほどのお金を出すんだ」

悪魔「良かろう」

こうして悪魔は、男の目の前に大きな金属製のトランクを取り出した。

悪魔「この中にお前さんが一生で使えきれないほどの金が入っているぞ」

男「本当か?」

悪魔「自分で確かめて見るが良かろう」

男がトランクのふたを開けると、中には一円玉が一枚置いてあるだけだった。

「なんだこれは! ふざけるな!」

男が悪魔に向かって怒鳴ると、その途端、男は心臓麻痺であっという間に死んだ。

悪魔は、男の死体に向かってこう言った。

「確かにお前さんが一生かかっても使えきれないほどの金を与えてやったぞ!」
クリスマスの日、仕事の帰りに家の近所のコンビニに行った。

コンビニでヨーグルトに手を伸ばしたら、同じタイミングでOLっぽい感じの人が同じヨーグルトを取ろうとして軽く手が触れた。
お互いさっと手を引いて、その種類のヨーグルトがそれしかなかったから、俺はどうぞって感じのジェスチャーして弁当だけ買った。

近くの公園でベンチで弁当喰ってたら、さっきのOLが声かけてきて

「半分どうぞ」

ってヨーグルト(2つくっついてるタイプだったから)くれた。

俺は素直にありがとうって貰って、何となく二人でベンチに座ってヨーグルトのフタ剥がして喰う感じになったんだけど、スプーンが一つしかなくて、お互いそれに気付いてちょっと変な空気が出来たんだけど、俺箸で喰うから平気だからって箸で喰いだしたらその子笑って「何かごめんね」って。

ヨーグルト喰いながらこの辺に住んでるとか仕事の話しとか軽く世間話した。

その子最近この辺に引っ越してきたばっかで、1人でつまんないみたいな事言っててさ。
俺も最近この辺に引っ越して来たばっかでこの辺の事よく分からないから、今度一緒に散歩でもしますかみたいな事を冗談っぽい感じで言ったんだ。断られてへこむのやだしさ。

そしたらその子「本当に? いいよ、散歩しようよ」って。
よく見ると小柄で結構可愛い系で今までそんな可愛い子と縁なんかなかったからすげー嬉しかった。

最終的に隣に寝てる嫁がその子です。
的な展開になる事を期待してクリスマスはコンビニにヨーグルト買いに行く予定。
むかしむかし、若くて男前の王子がいました。

しかしふとしたことで魔女の怒りをかい、王子は呪いをかけられてしまったのです。
その呪いとは、1年に1文字しか話せないというものでした。

もし1文字も話さない年があれば、翌年2文字話せます。
手紙や身振りも許されなかったので、相手に意志を伝えようと思ったら、何年もかけて文字数をためるしかありません。

ある日、王子は散歩の途中で美しい姫に出会いました。
金色の髪、ルビー色のくちびる、サファイア色の瞳。王子は一目で恋に落ちました。

本当はすぐにでも『アイシテル』と言いたかったのですが、5文字しゃべるために、その後の5年間ひとこともしゃべらず待ちました。

でも5年たつと『ケッコンシテ』も言わなくてはと思い、更に5年待ちました。

そうして初めての出会いから10年後、やっと王子はプロポーズ!

「愛してる。結婚して」

王子の言葉に、姫は金色の髪をかき上げ、サファイア色の瞳で王子をみつめ、ルビー色のくちびるを開いて答えました。


「え? なに?」
俺はファミレスでウェイターをしているんだが、さすがに深夜になると暇になってくる。
そこで俺はお客にドッキリをしかけることにした。

内容はよくある定番のあの話。
そう。「ちょっと水1個多いんですけど!」作戦だ。

そうこう考えてるうちに3人組が入ってきたのが見えたので、すぐさま水を4つ持って行く俺。

テーブルに4つ水を置く俺。
案の定多く配られた水を凝視するお客。ニヤつく俺。

お客「なんのつもり?」

俺「なんのつもりかと申しますと…?」

お客「なんで水多いんだよ」

俺「いや…お客様は4名様ですよね?」

お客、俺「………………」

お客「もういい! 目障りだから水二つ片付けてよ」
今日はクリスマス。
たかし君はサンタクロースにプレゼントを貰えることを楽しみにしていました。

わくわくしすぎて眠れません。
ベッドに入ったまま目を開けていました。

すると…

シャンシャンシャン…

と、ソリの音がしてきました。

たかし君「もしかして…サンタさん!? よし、隠れてサンタさんを見てやろう!」

たかし君は、布団から目だけを出して見ていました。

しばらく見ていると、赤い帽子をかぶり赤い服を着たおっさんが窓から入ってきて、部屋を見渡し、テレビを見つけると持っていた袋にテレビを入れて、袋をかつぎ、たかし君にブイサインをして窓から出て行きました。
俺の友達にKというオカルト好きな奴がいた。

ある日Kが俺に見て欲しいものがあると言ってビデオテープを渡してきた。
なんでも幽霊がでるというある廃トンネルに真夜中にネットで知り合ったオカルト仲間とともに行ったらしく、そのトンネル内をKが撮影したものらしい。

見てみるとKのオカルト仲間達が薄暗いトンネルをライトで照らしながら歩いていた。

するとKが、

「そこでとめてくれ」

俺は慌てて一時停止ボタンを押した。

「左端の方をよーく見てくれ」

見てみると子供が背中を向けて立っていた。

かなり不気味だ…。

「言っとくけどやらせじゃないぞマジだから」

何か胡散臭いな〜と思いつつ、このビデオを別の友達Sに見てもらおうと思い、Kからビデオを借りた。

そしてSに先入観なしで見て欲しかったので、何の説明もなく「見てほしい」と渡した。

その晩Sから電話かかってきた。

「ビデオ見たよ心霊スポットを撮影したんだろ?」

「そうKが撮ったんだ、何が写ってるかわかった?」

「子供だろ!? 何か胡散臭いよな」

「そうそう、アレたぶん人形か何かだろう」

「まー不気味であることには変わりないけどね。なんかすごい目が光ってた」

「でもKはやらせじゃないって言い切るだろうな」

「アハハハハハ」

と言いつつも内心あれは本物かもと思ってる俺だった。

Sもきっと同じ気持ちのはず。
会議が近かったから、皆退社した後の会社で一人残業してたんだ。
本当は家でやればいいんだけど、布団とかテレビとか何かと誘惑に負けてしまう俺には会社の方が作業しやすかったからさ。

ただ、同僚が「ここ、出るんだよ」とか深刻そうに言うのが頭から離れなくて、窓を叩く雨や風の音にいちいち反応しては安心するのを繰り返してた。
誰か見てたら、滑稽な姿だったろうな…。

そうこうしてる内に12時近くになって来たから流石に帰ろうと思って、パソコンの電源を落とした。
電気は机上のスタンドのものだったからそれを消せば後は真っ暗闇だ。

何も考えてなければ怖くないんだろうけど、その時は「出る」ってのが頭にあるから一押しが凄く重たく感じて、出来れば点けっぱなしで帰りたい位だったよ。

その時、視界の端にチラチラと光が見えたんだ。
辺りをさ迷うように、でも目的はこっちだってハッキリした動きで揺れてる。

うわ! 出た!

って叫びそうになったんだけど、…何て事はない。ただの警備のおじちゃんだった。

俺のいるフロアの見回りが最後で、後は一階に戻るだけって言うから一緒について行かせて貰うことにした。
正直助かったよ。二人ってのと、明かりがあるって凄い良いことだな!

おじさんにお礼を言ってようやく外に出たら、時間帯も相俟って凄い穏やかな雰囲気なんだ。
さっきまで霊が…とか怯えてたのも忘れて、心地良い夜の空気の中駅まで歩いた。

今の時期は星が綺麗だってお天気お姉さんが言ってたのを思い出して、俺も夜空を見上げたんだよ。

「今日は一日晴れです」

可愛いお姉さんの声を思い出しながら見た星は本当に見事で、恐怖も不安も全部消えたよ。
教授はレントゲン写真を見せながら、学生たちに説明した。

「この患者は、左のヒ骨と脛骨が著しく湾曲している。そのため足をひきずっているのだ。スティーブ、こういう場合、君ならどうするか言ってみなさい」

スティーブは一生懸命考えて答えを出した。


「えっと、僕もやっぱり足をひきずると思います」
どうぞ遠慮せずに上がって下さい。

あ、挨拶が遅れましたね。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

こんな狭い部屋で、申し訳ありません。
そこに座って下さい。とりあえず乾杯でもしましょう。

今年がお互いにとって良い年になりますように、乾杯!

いやぁ、今日は元日なんですから無礼講です。
おせちもお雑煮もあります。お口に合うかわかりませんがどうぞ。

いやぁ、しかし今年一年はいい年にしたいですね〜。

あ、そうだ! 今から初詣に行きましょう!
実はまだ私も行ってないんですよ。

ね、早く行きましょう。
この家の住人が帰って来る前に…。
俺の親父は昔から外食が大嫌いだ。
しかも頑固ときてるから、どれだけ家族が誘っても行こうとしなかった。

しかし俺が18の時仕事で名古屋に出ることになった時ダメ元で、

「しばらく帰ってこれないんだから家族で一度くらい外食行こうぜ」

と言うとなんと渋々行ってくれることに。

そして向かったのはファミリーレストラン。

到着すると意外にも先陣をきっていくではないか。これには家族も驚き。

そして、

ウェイター「いらっしゃいませ何名様ですか?」

父「四人だ」

ウェイター「おタバコの方は?」

父「マイルドセブンです」
俺、住んだ家が幽霊屋敷だったんだよね。

いた幽霊は高校生の女の子。
最初は突然家にやってきた俺に驚いて、ポルターガイスト現象を起したり夜中に俺を金縛りにしたりして襲ってきたんだ。

俺も慣れないうちは怖かったから、俺に家を紹介してくれた友人Kに相談したりもした。
Kは女癖は悪い奴だけど、霊能者の知り合いがいるとかでこういうときは頼りになるんだ。

でもそのうち、彼女も段々心を開いてきたのか俺の前に姿を現すようになって来た。
セーラー服を着た可愛い女の子で、それも最初は俺を警戒していたのか、写真を撮ったら隅に心霊写真として映り込んだり、夜中に半透明の姿で現れて俺を睨みつけたりしているだけだったけど。

段々、彼女が俺にかける金縛りも弱くなってきた。
最後には俺をじっと見つめるだけになった。


ある日、俺は思い切って少女の幽霊に話しかけてみたんだよね。彼女も答えた。
幽霊も話せるんだね。それとも脳に直接言葉が来るみたいな感じかな?

何でも、彼女は付き合っていた男に殺されてこの家の地下に埋められたらしい。
その後ずっと一人ぼっちでこの家に住み着いてて、寂しかったところに俺が来たんだとか。


彼女とは、それから毎晩話した。
俺も色々な話をしてやったし、彼女も俺と話す時はとっても楽しそうで、出てくる時もはっきりと姿を現してくれるようになった。

それで、変な話だけど、俺はいつの間にか、その娘のことが好きになってた。

そんな話をKにしたら、Kは俺を心配してくれてるのか、凄く深刻な顔をして俺に色々聞いてきた。
少女の服装とか話した内容とかを事細かに。

どんな幽霊か詳しく知って、危ない奴かどうかを判断していたのかな。


ある日、Kが霊能者を連れてやってきた。
Kは俺を心配して少女を除霊に来たんだとか。

Kはもう凄い形相で、何が何でも彼女を除霊する気らしい。
俺は彼女と一緒にいたいから余計なおせっかいは辞めてくれと頼んだんだけど、聞く耳持たない。

せっかく好きな娘が出来たのに、彼女を除霊なんて絶対させられるものか。
ま、その時は俺は必死で何とかその場を収めたんだけど。

ただ、困ったことに、その日から俺は三人の幽霊と同居する羽目になったんだ。
男の子がパン屋へおつかいに来てパンを二ドル分買った。

ところが今日はいつもよりパンが小さい。

「このパン、いつもより小さいよ」

するとパン屋の主人が言った。

「いいんだよ。そのほうが持って帰るのに楽だろ?」

そう言われると、男の子は一ドルをカウンターに置いて帰ろうとした。

パン屋の主人が慌てて、

「おい、坊や。お金が足りないよ」


「いいんだよ。そのほうが数えるのに楽だろ?」
こんな話しを聞いた。

友人と二人でバイク旅行に出る予定を立てたのだが、運が悪いことに直前に盲腸になり、入院してしまった。

「一人で行くのもなぁ」

と言っている友人に、「今からじゃ宿もキャンセル代取られるから、お前だけでもイケ」と言って送り出した。

その日の昼過ぎ、友人からメールが来た。

「旅先でいい人たちに出会ったよ。また夜に写メ送る」

一人で退屈してるんじゃないかと心配していたので、少しホッとした。

さっそく返信した。

「良かったな。どんな人たちなんだ?」

返事はなかった。


その夜、約束通りに友人から写メがきた。

「田来岬(たこみさき)」

と書かれた標識が写っていた。

友人の姿も、一緒にいるはずの人たちの姿も写ってなかった。

ひょっとしたら相手は女の子かな? と思い、詮索するのはやめた。
次の夜にも写メが来た。

「崇呂崎温泉(すろさきおんせん)」

と、宿の看板が大きく写っていた。

「旅先で知り合った女と宿だとお〜!」

と腹を立てたが、ひょっとしたらこれは自分をからかっているだけで、女なんかいないんじゃないかと思い直し、バカバカしいので返事もせずに寝てしまった。

写メには誰も写っていなかった。


次の夜にも写メが来た。

お坊さんの着る袈裟が写っていた。
どういうわけか雑誌の写真をわざわざ写しているらしく「(ケサ)」と活字が書かれていた。

なんかの暗号かな? と思い考えると、女と一緒にいるという設定でケサ→今朝…
しつこいヤツだなと呆れて「もういいよ」と返信した。

返事はなかった。


次の夜にも写メが来た。

「テレビ田来(たこ)」

の標識の掛けられた小さめの電波中継塔だった。

聞いたことの無いテレビ局だと思ったが、これは「テレビ○○田来支局」の○○と支局の部分が見切れているのだ。

田来ってことは、アイツ最初の場所に戻って来てるのか?

帰るにしても別の場所を回ればいいだろうに…。連れの女となにかあったのかな?

気にはなったが、尋ねるのは負けのような気がして「仲いいね」とだけ返信した。

返事はなかった。


5日目の夜。

今度は写メではなくただのメールだった。

「 る!」

それだけだった。

「る! …???」

これはわからない。まいった。降参だ。

電話をかけてみた。
呼び出し音は鳴るのに、友人は電話に出なかった。

それが最後のメールだった。
帰宅予定日を過ぎても、友人は帰って来なかった。


何日かして警察が来た。
友人は旅先で知り合った人たちと集団自殺してしまっていた。

何か心当たりは無いかという警察に、あの奇妙なメールの話しをしてみた。
死体になってしまった友人は携帯を所持していなかったので、この時まだ警察はメールのやりとりがあったことを知らなかった。

送られてきた奇妙なメールを見て警察はため息をついた。

「なんで早く警察に知らせてくれなかったんだ!」
10年程前の話。

美術の教師をしていた姉がアトリエ用に2DKのボロアパートを借りた。
その部屋で暮らしているわけではなく、絵を描くためだけに借りたアパート。

せっかく借りてるのに住まないなんてもったいない!
そう思った私は姉に頼み込んでその部屋で一人暮らしをさせてもらうことにした。

一人暮らし初日。わくわくしながらアトリエに帰宅。
くれぐれも戸締りに気をつけるようにと言われていたため帰ってすぐに玄関に鍵とチェーンをかけた。

その後夕飯を作ったり本を読んだりして楽しく一人の時間は過ぎていく。
気付くともう夜も更けていたため、もう一度戸締りをチェック、ガスの元栓も締め眠りについた。

しばらくして、多分夜中の2〜3時だったと思う。玄関がガチャっと開いた。
どうやら姉が絵を描きに来たらしい。

こんな時間に頑張るなあと、ウトウトしながら思っていると、私が寝ている隣の部屋に入っていった。
隣の部屋は画材やらキャンバスやら置いてある部屋。

そこで、姉はブツブツ言ったりクスクス笑ったりしてる。
うーん、やっぱり芸術家と怪しい人って紙一重だよなぁ、と、酷い事wを思いながらいつの間にか寝てしまった。

朝、目が覚めると姉はもう帰ったようで居なかった。
姉の絵に対する情熱は尊敬に値するよなぁ、と思いつつ出掛ける準備をして家を出る。

玄関の鍵を閉めた時に、突然恐怖に襲われた。
それ以来、私がそのアトリエに足を踏み入れることはなかった。
女がベッドから出た時、丁度電話が鳴った。

女はOKと言っただけで電話をすぐに切った。

男『誰からだい?』

女『主人からよ』

男『じゃあすぐに帰らないと! 彼は今どこ?』

女『急がなくていいのよ。夫は今あなたとポーカーしてるって言ってたから』
深夜、2階の自室で眠っていた私は、階下の妙な物音に気付いてふと目が覚めた。

「玄関から誰か入って来た…?」

そう思った瞬間、バクバクと鼓動が早まった。

夕方見たニュースが頭をよぎる。

【殺人犯、近辺に潜伏中か? 捜査大詰め段階】

急に脇の下に冷たい汗が流れるのを感じた。

幸い、侵入者はまだ1階にいるらしい。

「早く逃げなきゃ!」

恐怖のために固まった体を必死で動かし、物音を立てないよう静かに窓辺へと向かった。

忍び足で階段を登ってくる気配がする。
侵入者はもうすぐそこまで迫っているのだ。

私は窓から屋根に降り、ジリジリと遠ざかる。

屋根の縁に手を着き、庭へ足が届いた時、真上にある私の部屋の電気がパッと付いた。

「ヤバイ!」

私はもう無我夢中で庭を抜け、夜の街を走った。


あの時、逃げるのが少し遅れていたらと思うと、いまだに背筋が寒くなる思いだ。

少なくとも今のこの生活はなかっただろう。
Αは生前に、神に自分の罪を認め地獄行きを望むと天国に行けるということを聞いていた。

神『おまえの人生を見直しどちらの世界に行くのが正しいか言ってみよ』

Α『私は生前捕まってはないものの法に反するたくさんの悪事を働いていました。今はそれをとても反省、後悔していますが、どうしてもこの罪を地獄で償いたいのです』

神『そこまで望むなら地獄に行ってもらおう』
天国の面接官「正直者は地獄に落とされ、嘘吐きは天国にいけます」

男が一人、面接会場にやってきた。

「ここに透明な箱がありますか」

……あります。

「それでは、その箱の中に何が入っているかわかるでしょうか」

……林檎です。

「何色の林檎で、何個入っているかわかるでしょうか」

……真っ赤な林檎が二つあります。

「そうですか、質問は以上です。それではお気をつけて」

男は地獄に突き落とされた。
息子「お父さん。酔っぱらうってどういうことなの?」 

父親「うーん、説明しづらいんだけど、例えばそこにグラスが2つあるだろう。それが4つに見えたら酔っぱらっているということだ」

息子「でもお父さん。グラスは1つしかないよ?」
近所の廃病院に行ったときの話。
内輪では有名な心霊スポットなんだが、屋上からしか入れなくて外の非常階段で一番上まで上がってそこから下へ降りて行かなきゃいけない。

一番下、B1は霊安室。
周りに流石にそこまで行った奴は居なかった。

でもその日は行こうって話になったんだ。
で、行くのは言い出しっぺのツレと俺。嫌だったが興味もあった。

屋上から入って途中の階は見ずに地下へ。
で、霊安室らしき部屋があった。廊下には何故か水たまりが沢山ある。

恐る恐る扉を開けて入ったが、意外と何も無い殺風景な部屋。
でもちょっと奥へ入るとホコリをかぶったランドセルがあった。

「怖いな…」

俺が言うとツレはランドセルに近寄った。

「何か嫌な気分だから俺戻るわ」

そう言って俺はランドセルのある奥へ行くツレを放って霊安室を出た。

部屋の外で待ってたが、10分しても出てこない。

「こいつ、心配してドア開けたら脅かす気だろうな」

とか思って俺はそのまま屋上へ上がって出て行った。

他の友人と車で待ってたんだが30分しても出てこない。携帯はかけても圏外。

何か全員気味悪くなって、そこから家まで歩いて帰れる距離なので、

「帰ってこないし先帰るな」

とメールを打って解散した。
地下から出たらメールも届くだろうしと思って。


週明けて学校に行ったがそいつからメールも返ってこないし大学にも来てない。

次の日も来ない。電話は何故かいまだに圏外。

もう一回メール打とうと思ったときにメールが返ってきた。

「何で先に帰ったの」

ああ、やっぱり怒ってるんだと思ったが、そのメールに添付画像があった。

紛れもなくあのランドセルの写真。
撮影日はファイル名から察するについ先程。

あいつはまだあそこにいる。
きっとまたそこに行って写メ撮ってるんだ。タチ悪いイタズラだろ…。
そう思うしかなかった。怖かった。

その数分後に電話して謝ろうと思った。でも何故かまた圏外。
良く分からないけどメールで謝っておいた。またいつか見るだろうと思って。

でもそいつはいつまで経っても大学には来なかった。
本当に気味が悪い。電話ももうかけたくない。イジメにあったとでも思ってるのか。

そいつからはそれっきりメールも返ってこなかったし、随分長いこと放置してた。
一緒に行ったツレも気味悪がってた。


音信不通のまま2年ぐらい過ぎて、ある日その病院の前を通った。
パトカーと救急車、人だかりが凄い。

「何かあったんですか?」

と近くにいたおばちゃんに聞いた。

そしたらおばちゃんが、

「霊安室に死体が残ってたんですって…」

まさか…な…。

もう血の気引いて家へ飛んで帰った。それ以上聞くのも嫌だった。

そしたら翌日の新聞のローカル記事にそのことが書かれてた。

やっぱりあいつだ。

何があったか知らないし、知りたくもない聞きたくもない。

そのことはツレもみんなで忘れようと決めた。嘘のような嘘の話。
終電で人もまばらな電車内で、サラリーマン風の男が女の人に絡んでた。

周りの人は寝た振りしてるし、私も怖くて見ない振り…スマン…。
そこで隣の車両から20歳くらいの酔っ払った女の人が「ヘヘ〜〜ンヘヘ〜〜ン」と鼻歌歌いながら登場。

酔っ払いは女の人のひざに手を置いていて、女の人は泣きそうな顔。
それを見た彼女、近くのおっさんの持ってた傘を取り、

「これ、そこの男! 嫌がっておるでないか! 離し給え!」

男が振り向くと、

「止めんとこの寝たふり親父の傘の錆にしてくれる!」(実際はかしゃのさびにしちぇくれりゅ! だったが)

そして傘を剣道のように構え、「この人は剣豪!?」と思ったが次の瞬間「反則キック!!!」と叫んで、椅子に座ったままの男の顔面に前蹴り。
グフッってなってうずくまる男に「反則キックキック!!」と相当な勢いで蹴るわ踏むわ傘で殴るわ…。

やっと周りの人も勇気を出したのか、男が可哀想になったのか男を取り押さえ、次の駅のホームで男をポイ捨て。
男はたいした怪我はしてなかったけど、鼻が真っ赤になってた。

絡まれた人は女の人にお礼を言ってて、助けた方は「んふーふふふふふ〜〜」と笑いながらご満悦だった。
出刃包丁持った猫が、俺に包丁突きつけてきた。

「おかねちょうだい」

「お金? いくら?」

「さんぜんえん」

「いいよ。はいどうぞ」

「固いのもほしい」

「小銭のこと? 全部持てるかな」

「何買うの?」

「カリカリ。いっぱい買う」

「そっか。でもお店遠いよ? 一緒に行く?」

「…いく」

「包丁は重いから置いておきなよ。後で取りに来ればいいから」

「うん」

「カリカリいっぱい買えてよかったね」

「…うん」

「重いでしょ? それずっと持って歩くの?」

「…重いの」

「家に置いておく? 好きなとき取りくればいいじゃん」

「…うん」

「外寒いよ? 帰るの?」

「…」

「泊まる?」

「…そうする」
俺が小学生の時の話。
ちょっとした奇妙な遊びが流行っていた。

その名も「儀式ごっこ」。

暗闇の中で机に火のついた蝋燭と鈴を置き、4人でその机を囲んで手をつないで輪になり、目を閉じて死んだ人の名前を心の中で何度も呼び続けると霊がそれに答えて鈴を鳴らすという、ちょっとした降霊術だった。

俺と仲間の3人は一ヶ月前に事故で死んだクラスメイトのTの名前を使って「儀式ごっこ」をする事にした。

夜の学校に集まりTが使用してた机に火を灯した蝋燭と鈴を置き手を取り合った、準備は整った。

「じゃー電気消すよ」

真っ暗になった教室を蝋燭の火がわずかに照らす。

俺は目を閉じてTの名を呼び続けた、鈴の音はしなかったがだんだん怖くなってきた。
気のせいか仲間が強く俺の手を握ってきた、みんな怖いのだろう。

二重の暗闇が怖くて目を開けたくて仕方なかった、けれどもしTの幽霊がいたら…。

結局儀式はわずか3分で終了した。
何かあってからでは遅いし…俺達とTはそんなに親しくなかったから話すことも何もなかったし…。

後日その日の事が担任の先生にばれてめちゃくちゃ怒られた。
「儀式ごっこ」は禁止となった。
男は愛犬を連れて長旅に出ていた。
しかし砂漠の真ん中で心臓発作に襲われ、男はそのまま死んでしまった。

再び目覚めたのは暗闇。
そばで愛犬が見つめていた。

男はちゃんと気づいていた。
自分が死んだこと。そして死んだ自分に何日も寄り添って、愛犬が息を引き取ったことを。

犬と一緒に暗闇を歩き出すと、やがて、まばゆい光の門が、目の前に現れた。
奥には金銀に輝く、巨大な城が見える。

男は門番に尋ねた。

「すみません、ここは何なんですか? この門はいったい?」

「ここは天国です」

「おお、ここが天国! 感激だ!! 僕は天国に導かれたのか。ところで、のどが乾いてしょうがないんですが、水を1杯いただけますか」

「どうぞ、どうぞ。城の中によく冷えたミネラルウォーターがあります。ごちそうも、食べたいだけどうぞ」

「さすが天国! ありがとうございます」

男が犬を連れて入ろうとすると、

「ちょっと待った! ペットはここより中には入れません!!」

と、門番に制止された。

「え…」

男は自分だけが天国の門を入るのをためらった。

しばらく考えたが、自分に寄り添って死んでくれた愛犬を、門の外に置いていくわけにはいかない。
結局、男は門に入らず、犬とともに、光の門を後にした。

再び暗闇を歩いていると、今度は古ぼけてガタガタの、木づくりの門が見えた。
そばに門番だろうか、本を読んでる人がいる。

「すみませんが、水を1杯いただけますか?」

「中に手押しポンプがあるよ」

「それであのう…。犬を連れて入ってもいいでしょうか?」

「いいよ」

「ありがとう!」

男は犬といっしょに門を入り、ポンプで水をくみ上げて、犬と一緒に心ゆくまで水を飲んだ。

「水をどうもありがとう。ところで、ここはどこなんですか?」

「天国だよ」

「天国?! でも、この向こうの、光の門の中が天国だと…」

「ああ、あれは地獄だよ」

「え、地獄が勝手に天国を名乗ってるんですか? 怒らなくてもいいんですか?」

門番らしい男は、のんびりとした口調で答えた。

「いっこうにかまわんさ。おかげで、親友を置いていくような人間かどうかを、見分けられるんだから」
私の家庭はあまり裕福でなく、兄弟も四人もいるため普段外食はほとんどしません。
安めのファミレスに数回行った程度だったと思います。

しかし私が中学の時、父にボーナスが入ったのと、兄の誕生日であったために初めて「ステーキ屋」に行くことになりました。

店に着くと、高級感のある店の雰囲気に父も兄弟も少し緊張していたのを覚えています。
しかし、みんなお腹を空かせていたので、さっそくステーキを注文しました。

するとウェイターに「焼き方はどうしますか」と聞かれ、しばらく考えた父はこう答えてました。

「一生懸命焼いてください」
去年の夏に友達4人で集まった時の話。

心霊スポットでも行くかという話になり、地元では自殺の名所として知られるD岬に行くことになった。
運転はA、オレが助手席、BとCが後部座席に座った。

時刻は0時を少しまわったぐらいに出発した。
2時間ほど走り、小便をしたくなったオレはAに停めてくれるよう頼んだ。

丁度、道を広く切り開いたような駐車場のような見晴らし台があった。
見晴らし台から望む海の景色を見ながらオレは小便をした。

小便を終え、車に戻るとBとCはすっかり寝てしまい、Aは煙草を吸っていた。
オレも煙草に火をつけると二人でボーッと海を見ていた。

するとAがルームミラーを見て「おい後ろ見てみろよ」と叫んだ。
後ろを振り返ると、長いストレートの髪に白いワンピース、赤いヒールを履いた女性がフラフラとこちらに歩いてくるのが見えた。

見晴らし台から近くの町までは車で軽く30分はかかる。
こんな場所に、こんな時刻に、女性がいるわけがない。

AはUターンをすると、車をただただ走らせた。もちろん二人とも無言のまま。
しばらく走り、コンビニに着くと、BとCが目を覚ました。

さっきの話をすると二人は笑い、ネタはやめてくれと軽くあしらわれた。
そしてこのまま朝までコンビニで軽く休んでから帰ることになった。

朝になるとBとCはノリノリで海で遊びたいと言ってきた。
渋々Aとオレは近くの海岸に向かうことにした。

海岸に着くと、なにやら人だかりがしている。イヤな予感がした。
近くに寄ってみると、思った通りに溺死体が上がっていた。

長い髪、白いワンピース、赤いハイヒール。
昨日車にフラフラと歩いてきた女に間違いなかった。

オレとAはBとCを半ば無理矢理車に乗せて帰宅することにした。
帰りの車の中でようやくBとCは夜の話を信じてくれた。


そして翌日、地方新聞に死体の記事が載っていた。

死亡したのは1時半前後。
飛び込んだのは見晴らし台からで、岸壁には遺書とハンドバッグ、揃えた靴があったことなどが書かれていた。

なんとも言えない後味の悪さから、どんなに退屈でも心霊スポットには立ち寄らないようにしようと固く決めた。
 
 
近頃、うちの近くで通り魔事件が続いているんだ。
毎晩のように何人もの人が刃物で切り付けられている。

現実に危険に晒されると、警察なんて頼りにならないものだ。

毎晩コンビニに夜食を買いに行くのが日課になっている俺は、万一に備えてカッターをポケットに入れている。
自分の身は自分で守らないといけないんだ。

いつものように、今夜もコンビニに買い物に行った。
人気のない帰り道、後ろから足音が近付いてくる。

もしかして通り魔だろうか?
追い抜きざまに切り付けてくる気なのか? それとも背中から刺してくるのか?

俺はポケットのカッターを握り締めた。

足音は背後に迫っている。
「はあはあ」と荒い息遣いが聞こえてくる。

奴と並んだ瞬間、目が合ってしまった。
表情のない目が俺を見ていた。

危険を感じた俺は、奴より早くカッターを振り下ろした。


今夜だけでも4人の通り魔を切り付けてやった。

こんな事件が終わるのはいつの日の事だろうか。
わたくし一人旅に行こうとしております。
はい、恥ずかしながらこの歳で初めての海外旅行です。

ですが…皆さん……どうしてでしょう…?

私今警察に囲まれてるんです…。
いえ、詳しく言えば警察では無いのですが…。

私はただ…機内で知り合いのジャックに似た人を見つけて…立ち上がり彼を呼び止めただけなのに…そのとたんこの有り様です…。

恥ずかしながらわたくし英語が分からず彼らがなぜ怒っているのかわかりません…どなたか理由を教えていただけないでしょうか……?
ボクが死ぬ日に、彼女は久しぶりに顔をだしてくれた。

入院してるしばらくの間は、食事など彼女にお世話になった。
ボクが死んだら、彼女にボクの全てをささげようと思った。

考えてみたら、ボクの人生は目標などもなく退屈な人生だったと思う。
そんな、ボクに付き合ってくれた彼女に心からありがとうと伝えたい。

ボクは薄れ行く記憶の中、彼女の顔をずっと見ていた。

泣いているのか、笑っているのか。
それは、まるでこの世のものじゃないように見えた。

ボクは全てを悟った。


今まで、目標が無かったボクに、次の人生となる目標を与えてくれた彼女には、

「ココロカラアリガトウトツタエタイ…」
去年の夏、友達と車で肝試しに行くことに。
怖がりで幽霊とかダメな自分は参加しないと主張したが、なかば無理矢理参加させられるハメになった。

向かうのはテレビでも取り上げられるくらいの心霊スポット。
どうしても行きたくない俺は、「肝試しが中止になり、尚かつ皆が二度と肝試ししたくなくなる」プランを計画した。

弟に手伝わせて、カセットテープに皆が聞かないであろうラジオ番組を何本か録音。
目的地までが約40分くらいなので、テープの40分くらいに砂嵐の音を録音。

さらに怖い効果音のCDから女のすすり泣きを録音。
目的地付近でラジオが突然「ザー…ぅぅっ…ぅっ」となり、皆がビビッて帰宅。となる算段。


いよいよ当日。

車は俺が用意する事になっていたので、テープの細工も完璧。
テープを再生させて、待ち合わせ場所で皆を拾い出発進行。ラジオも自然に車内に響いてる。

他愛ない会話をしながら車を走らせる事20分。
友人の一人が突然コンビニへ寄れと言い出した。

しまった! 寄り道は頭に無かった!
ラジオが一時停止すれば不自然なので、エンジンを切る訳にはいかない。

車で待つこと10分。
やっと友人が戻り、また出発。

道路が空いていた事もあり、目的地付近で聞き覚えのあるDJの声。
いよいよこの後だ! と思った瞬間、

「ザー…ガサゴソ…えー○○(弟の名前)です。兄ちゃん幽霊は連れて帰るなよ…ガサゴソ…もう喋っていいよ」

「ガサゴソ…じいちゃんじゃけど。気をつけて行って来いよ。これでええんか? ○○? これじいちゃん映っとるんか?」

「ガサ…じいちゃんまだ録音中! 声しか入らないってば! ガサゴソブチッ…………」

テラカオス!! 弟よいつの間に!

結局肝試し逝きました。
最近オレの部屋のチャイムを悪戯で鳴らす奴がいるのよ。

ほら、今日も来た。
でもなんか怖いから注意にいけないんだよなー。

…しかし今日はやけに押すな。8…9…。あ、終わった。

しかし何で毎回押す回数違うんだろ。
確か昨日が5回で、一昨日は1回で終わったんだよな。

うーん、そんでその前が4回で…さらに前が1回か2回…だったっけ、あんま覚えてないけど。
でその前は完全に忘れちゃったけどその日から始まったんだよ、この悪戯。何回だっけか。まあいいや。

明日も来るのかなあ。
まったく、いつまで続くんだろ
父親が全く家で勉強しない息子に、

『子供は勉強が仕事なんだから家でしっかり勉強しなさい』

すると子供は、

『僕は家庭に仕事を持ち込まないんだ』

と。
『どうした? 坊主』

知らない子供にそう声をかけた時から悪魔に憑かれた。

悪魔が言うには悪魔が指定する言葉を一語一句そのまま面識のない他人に言ってもらえない場合は魂を抜かれるらしい。

タイムリミットは44日。
俺が声をかけた子供は24日目だったらしい。

指定された言葉を言って貰えれば魂を抜かれる権利が相手に移り、記憶も消される。と。

で、俺は何て言われたら良いんだ?

悪魔『判決を申し渡す、死刑! だ』
とあるアパートに「貸室あり。ただし子供のある方お断り」という張り紙がしてあった。

ある日、このアパートの管理人室に小さな男の子を連れた婦人が部屋を借りに入ってきた。

管理人は不機嫌そうに言った。

「おもての張り紙を読まなかったんですか? 子供のある人お断りと書いてあるでしょう」

すると婦人の連れている男の子が言った。

「僕には子供はありません。母親がいるだけです」
家の娘(幼稚園児)の友達♂なんだけど暴れん坊でさ、前も公園でオモチャの取り合いで娘とケンカになって、まあケンカつってもその子強くて一方的に娘がやられてたんだけど、やり方が異常でさ、両手で娘の首絞めてるんだよ。
俺慌てて引き離して叱ったけど、全然聞いてない感じなの。

でも娘と仲良くて、昨日も家に他の子一人と泊まったんだけど、そのうるさい3人組みが寝てから嫁に初めて聞いたんだよ。
あの子、父子家庭だよって…。

で、俺、ええ? と思って嫁に首絞めの事話そうと思って何気にふって後ろ見たら、リビングの暗い廊下のとこにその子が立ってて、じーっとこっち見てるの。
心臓止まりそうだったよ。
家庭教師はアリスに算数を教えていた。

「もしウサギを2羽、それにウサギを2羽、それからまた2羽のウサギを君にプレゼントしたら、君は何羽のウサギを持つことになる?」

「7羽!」

「いや、もう一度、よく聞いて。もしウサギを2羽、それにウサギを2羽、それからまた2羽のウサギ、君にあげたら、君は何羽のウサギを持つことになる?」

「7羽!」

「やり方を変えてみよう。もしビールを2本、それからビールを2本、さらにビールを2本を君にあげたら、何本のビールを持つことになる?」

「6本!」

「ようし! それなら、ウサギを2羽、それにウサギを2羽、それからまた2羽のウサギを君にあげたら、君は何羽のウサギを持つことになる?」

「7羽!」

家庭教師は頭を抱えて言った。

「いったいどうしたら、ウサギ2羽が3組で7羽になるんだ?」

アリスは笑顔で答えた。

「うちにウサギが1羽いるもの!」
これは今からほんの少し未来のお話です。

そのころ、この星にはもうほとんど緑がありませんでした。
海の水はどんどんふえるばかりでしたが、飲み水はどんどんへっていきました。

こまった人々は、星をもとにもどす方法を一生懸命かんがえました。
世界中のえらい人があつまって相談をしました。

でもとうとう答えはでませんでした。
もとにもどすには、あまりにもおそすぎたのです。

人々はもう神様に祈るしかありませんでした。
世界中の人々が、この星をもとにもどしてくれるよう、毎日神様に祈りました。

そしてある日、ついにその祈りがとどいたのでしょう。
神様が人々の願いをかなえてくれました。

その日から、この星には人間がひとりもいなくなったそうです。
ほんの少し未来のお話です。