1 無名さん
ヒロアカスレ264
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次>>100
ランクと焼け野原>>>14192-74
テンプレ>>>14192-73
忍たまからの強い()転生夢主age作品disの浮遊たん
http://alicex.jp/eraser11/
まとめ>>>13835-77-81
ヤオモモdis異形系イキリオタク夢主の日本語不自由フラスコたん
http://nanos.jp/worker86/
同盟見て修正(お知らせ無し)>>>14027-71
http://nanos.jp/yu124925120917/
現実主義者()のデクdis夢主冬牡丹たん
夢主設定>>>14142-93
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忍たまからの強い()転生夢主age作品disの浮遊たん
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ヤオモモdis異形系イキリオタク夢主の日本語不自由フラスコたん
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現実主義者()のデクdis夢主冬牡丹たん
夢主設定>>>14142-93
4 無名さん
母は、目が合った人を攻撃するという個性を持っている。その攻撃は自分以外には見えず、だから戦うのにとても有利だけれども、簡単に人を殺す事ができる。そう教えてくれたから、私は母のように、その個性を扱いプロヒーローになりたかった。
それは父が休みの日曜日の昼下がりの事だった。かき氷を買ってきてくれた父にお礼を言って、冷たいそれを口いっぱいに頬張った。しゃりしゃりという音が心地よい。美味しいね、と父の方を振り向いたが、そこには何も居なかった。いや、父が、着ていた衣服だけを残して消えてしまったのだ。これが、個性の発現時の出来事だった。
それから母はおかしくなっていった。軽傷を与える自分の個性とは似て非なるものを私が受け継いだからだろう。その個性で私は、母の大切な人の命を奪ったのだ。プロヒーローを辞めた母は実家に戻ってしまった。私を置いて。その後取り残された私は、怖い大人の人に捕まって、目隠しをされ椅子にくくりつけられ、暗い部屋に閉じ込められた。私が個性の暴走で人を殺さないようにする為らしい。
真っ暗な世界で私は1人ぼっちだった。遊ぶ事も家に帰る事も出来ず、ただ暗い部屋で死ぬのを待つだけの生活。食事を与えられる時もまるで赤ん坊を相手にするかのように、口元に食べ物を近付けられる。世話をしてくれる人とも会話をした事がなかった。
「私は、どうして生まれたのかな。」
誰もいない部屋で声がこだまする。父が死んで10年が経った。私は世間では中学2年生といわれる年齢だろう。だけれど、普通の暮らしなんて忘れてしまった。運動なんて、筋肉が衰えないようにと誰が発案したのかわからないが、夕方椅子に結ばれた紐を解かれまるで散歩中の犬のように部屋の中を歩き回るぐらいしかした事がない。そんな私に、普通の暮らしなんて想像する事が出来なかった。
ふいに、扉が開く音がした。先程夕食を食べたばかりだというのに。普段、ここにいる世話係は私との接触を必要最低限しようとしない。だから、今日のように何も知らされていないのにこうやって突然扉が開くなんてあり得ない事なのだ。
それは父が休みの日曜日の昼下がりの事だった。かき氷を買ってきてくれた父にお礼を言って、冷たいそれを口いっぱいに頬張った。しゃりしゃりという音が心地よい。美味しいね、と父の方を振り向いたが、そこには何も居なかった。いや、父が、着ていた衣服だけを残して消えてしまったのだ。これが、個性の発現時の出来事だった。
それから母はおかしくなっていった。軽傷を与える自分の個性とは似て非なるものを私が受け継いだからだろう。その個性で私は、母の大切な人の命を奪ったのだ。プロヒーローを辞めた母は実家に戻ってしまった。私を置いて。その後取り残された私は、怖い大人の人に捕まって、目隠しをされ椅子にくくりつけられ、暗い部屋に閉じ込められた。私が個性の暴走で人を殺さないようにする為らしい。
真っ暗な世界で私は1人ぼっちだった。遊ぶ事も家に帰る事も出来ず、ただ暗い部屋で死ぬのを待つだけの生活。食事を与えられる時もまるで赤ん坊を相手にするかのように、口元に食べ物を近付けられる。世話をしてくれる人とも会話をした事がなかった。
「私は、どうして生まれたのかな。」
誰もいない部屋で声がこだまする。父が死んで10年が経った。私は世間では中学2年生といわれる年齢だろう。だけれど、普通の暮らしなんて忘れてしまった。運動なんて、筋肉が衰えないようにと誰が発案したのかわからないが、夕方椅子に結ばれた紐を解かれまるで散歩中の犬のように部屋の中を歩き回るぐらいしかした事がない。そんな私に、普通の暮らしなんて想像する事が出来なかった。
ふいに、扉が開く音がした。先程夕食を食べたばかりだというのに。普段、ここにいる世話係は私との接触を必要最低限しようとしない。だから、今日のように何も知らされていないのにこうやって突然扉が開くなんてあり得ない事なのだ。
5 無名さん
「…誰?」
誰かが部屋の中に入ってきた。足音が微かだが聞こえる。こんな風に、何もない部屋を忍び足で歩くなんて高度な技、なかなかできないだろう。きっとこの人は訓練された人だ。その人は私の前で止まったようだ。前方から気配がする。ドキドキ、この人が誰なのか、何をされるのかわからないので、恐怖が体を包み込む。その瞬間、ぎゅっと手を握られた。
「っ!?」
「俺は雄英高校で教師をしている相澤消太だ。安心しろ、危害を加えるつもりはない。」
いつの間にか、恐怖で体が震えていたらしい。しかし彼――相澤さんのおかげで落ち着く事が出来た。先程相澤さんは、雄英といっていた。雄英はヒーローの登竜門といわれる超有名高校だ。そんな高校の教師が一体、どうしてこんなところへ来たのだろうか。
「単刀直入に聞く。みょうじなまえ、雄英高校に入学する気はないか?」
「え?」
何も見えないが、思わず顔を上げた。こんな個性の持ち主が、高校に通える訳がない。そう言おうとしたが口を開けても乾いた声が漏れるだけだった。こんな事、ここへ来て初めて言われた。相澤さんが何を考えているのかわからず、なまえは首を傾げる。
「お前の個性を調べさせてもらった。どうやら、元プロヒーローに同じ個性を持つ女がいるらしい。」
きっと母の事だろう。私は母の個性を受け取ったのだから。だけれど、私の個性は目が合った人をこの世から消してしまう。母のものと似て非なるものだ。
「お前は、個性を制御出来ていなかったんだ。だからあんな事件を起こしてしまった。」
目を見開く。
「みょうじは、ヒーローになれる人材だ。だから、ここまで来た。これは推薦だと思ってくれ。俺達雄英高校の条件は、周りと引けを取らない体力を取り戻す事のみだ。個性は学校へ行きながら制御すればいい。それまでは、今はまだ開発中だが、もうすぐ出来上がる特注のゴーグルをつけていろ。」
この暗い部屋から出る事が出来る。他の人と同じように暮らせる。それは私にとって天国のような、夢のような話だった。
「本当に?本当に、私は雄英高校に行けるの…?」
「あぁ、そうだ。」
相澤さんはそう言って、私の目隠しを外そうと頭の後ろに手をまわした。目隠しが外される。それはなまえにとって恐怖でしかなかった。このまま目を開けば、目の前にいる相澤が死んでしまうかもしれない。
誰かが部屋の中に入ってきた。足音が微かだが聞こえる。こんな風に、何もない部屋を忍び足で歩くなんて高度な技、なかなかできないだろう。きっとこの人は訓練された人だ。その人は私の前で止まったようだ。前方から気配がする。ドキドキ、この人が誰なのか、何をされるのかわからないので、恐怖が体を包み込む。その瞬間、ぎゅっと手を握られた。
「っ!?」
「俺は雄英高校で教師をしている相澤消太だ。安心しろ、危害を加えるつもりはない。」
いつの間にか、恐怖で体が震えていたらしい。しかし彼――相澤さんのおかげで落ち着く事が出来た。先程相澤さんは、雄英といっていた。雄英はヒーローの登竜門といわれる超有名高校だ。そんな高校の教師が一体、どうしてこんなところへ来たのだろうか。
「単刀直入に聞く。みょうじなまえ、雄英高校に入学する気はないか?」
「え?」
何も見えないが、思わず顔を上げた。こんな個性の持ち主が、高校に通える訳がない。そう言おうとしたが口を開けても乾いた声が漏れるだけだった。こんな事、ここへ来て初めて言われた。相澤さんが何を考えているのかわからず、なまえは首を傾げる。
「お前の個性を調べさせてもらった。どうやら、元プロヒーローに同じ個性を持つ女がいるらしい。」
きっと母の事だろう。私は母の個性を受け取ったのだから。だけれど、私の個性は目が合った人をこの世から消してしまう。母のものと似て非なるものだ。
「お前は、個性を制御出来ていなかったんだ。だからあんな事件を起こしてしまった。」
目を見開く。
「みょうじは、ヒーローになれる人材だ。だから、ここまで来た。これは推薦だと思ってくれ。俺達雄英高校の条件は、周りと引けを取らない体力を取り戻す事のみだ。個性は学校へ行きながら制御すればいい。それまでは、今はまだ開発中だが、もうすぐ出来上がる特注のゴーグルをつけていろ。」
この暗い部屋から出る事が出来る。他の人と同じように暮らせる。それは私にとって天国のような、夢のような話だった。
「本当に?本当に、私は雄英高校に行けるの…?」
「あぁ、そうだ。」
相澤さんはそう言って、私の目隠しを外そうと頭の後ろに手をまわした。目隠しが外される。それはなまえにとって恐怖でしかなかった。このまま目を開けば、目の前にいる相澤が死んでしまうかもしれない。
6 無名さん
「ま、待って!!外さないで…貴方を殺してしまうかもしれない。」
「大丈夫だ。」
「大丈夫じゃあない!!」
「俺の個性は"抹消"。見た者の個性を一時的に消せる。だから、心配するな。」
簡単にスルスルと目隠しを外されてしまった。慌てて、目をぎゅっと瞑る。こんな風に人の暖かさを実感したのは久しぶりだから、そんな大切なものをくれた人を消したくなかった。たくさん貰った。もう十分だ。これ以上欲せば、どんどん貪欲になってしまう。人殺しの私にはこの暗い生活がお似合いなのだ。
ふと、頭に何か触れた。落ち着かせるように、ぽんぽんと撫でてくれる。相澤さんだと気付いた瞬間、耳元で声が聞こえた。
「安心しろ。もう誰もお前の個性で死なせねぇようにする。だから、俺を信じてくれ。」
その言葉がとてもしっかりしていて、だから私は、涙でぐずぐずになった顔で、ゆっくりと目を開けた。最初は、暗い部屋の筈なのに光が眩しくて何も見えなかったけれど、目が慣れてくると、色々なものが視界に入るようになった。いつも自分が縛り付けられている椅子、薄汚い自分の姿、錆びた扉、埃っぽい部屋。そして、目の前で目を見開く男の人。
「相澤さん…?」
「もう閉じてくれ。」
目が血走っていた。きっと目を酷使する個性なのだろう。目を閉じると、また優しく頭を撫でられた。
「どうだ?」
ここに来て、初めて見たものばかりだった。特に、自分に優しくしてくれる人の顔なんて、触れるのもこれが最初かもしれない。髪がぼさぼさでも、髭が不潔そうでも、とても格好良い人に見えた。
「わ、私…行きたい、です…。雄英高校に、行きたい、でず!!」
ボロボロと涙を零しながらそう言うと、相澤さんは嬉しそうに笑った。見えなくても、分かる。私はこの冷たい部屋から、出る事が出来るのだ。今度は、とても暖かい所へ。相澤さんみたいな人が教師なら、生徒の性格も薄々勘付いてくる。むくむくと、欠如していた筈の、生きる希望が込みあがってきた。私は初めて、明日が楽しみだと感じた。
「大丈夫だ。」
「大丈夫じゃあない!!」
「俺の個性は"抹消"。見た者の個性を一時的に消せる。だから、心配するな。」
簡単にスルスルと目隠しを外されてしまった。慌てて、目をぎゅっと瞑る。こんな風に人の暖かさを実感したのは久しぶりだから、そんな大切なものをくれた人を消したくなかった。たくさん貰った。もう十分だ。これ以上欲せば、どんどん貪欲になってしまう。人殺しの私にはこの暗い生活がお似合いなのだ。
ふと、頭に何か触れた。落ち着かせるように、ぽんぽんと撫でてくれる。相澤さんだと気付いた瞬間、耳元で声が聞こえた。
「安心しろ。もう誰もお前の個性で死なせねぇようにする。だから、俺を信じてくれ。」
その言葉がとてもしっかりしていて、だから私は、涙でぐずぐずになった顔で、ゆっくりと目を開けた。最初は、暗い部屋の筈なのに光が眩しくて何も見えなかったけれど、目が慣れてくると、色々なものが視界に入るようになった。いつも自分が縛り付けられている椅子、薄汚い自分の姿、錆びた扉、埃っぽい部屋。そして、目の前で目を見開く男の人。
「相澤さん…?」
「もう閉じてくれ。」
目が血走っていた。きっと目を酷使する個性なのだろう。目を閉じると、また優しく頭を撫でられた。
「どうだ?」
ここに来て、初めて見たものばかりだった。特に、自分に優しくしてくれる人の顔なんて、触れるのもこれが最初かもしれない。髪がぼさぼさでも、髭が不潔そうでも、とても格好良い人に見えた。
「わ、私…行きたい、です…。雄英高校に、行きたい、でず!!」
ボロボロと涙を零しながらそう言うと、相澤さんは嬉しそうに笑った。見えなくても、分かる。私はこの冷たい部屋から、出る事が出来るのだ。今度は、とても暖かい所へ。相澤さんみたいな人が教師なら、生徒の性格も薄々勘付いてくる。むくむくと、欠如していた筈の、生きる希望が込みあがってきた。私は初めて、明日が楽しみだと感じた。
11 無名さん
ゴトン、誰が淹れたのかいつもより苦いお茶を飲む。目の前の机に置かれたのは大きくも小さくもないが、やけに硬そうなケースだった。今日は何だか調子が悪いのかもしれない、いつもより気分が良くなかった。何の返事もせずただそのケースを見つめ続けていたら、彼の側近かなにか…クロノといったか、クロノがケースに手をかけて、ガチャリと開けた。見えたのは頑丈そうなケースだったわりにはとても小さなもので、何らかの液体が入った瓶だった。ほんの少ししか入っていない液体が裏社会の商売道具として売られているのだから、これ一つに金をかけるなんてこの世界は怖いものだ。
「…これは一体」
「試作品だが、薬だ」
「薬とは何でしょう。私にこれは必要ありません。用がないのであれば帰らせていただきたい。」
きっぱりと言いきる私に、オーバーホールの隣に座る…たしかミミックといった奴が立ち上がったが、それをオーバーホールが止める。別にここで抗争になっても私は一向に構わなかった。少なくとも彼のこの視線を送られるよりは。_私は彼の、オーバーホールという人間のこの目が嫌いだった。初めて出会ったときは人を何か汚いものを見ているかのような目だったから、それはそれでなんだこいつはと嫌な気分にはなっていた。しかし、会う度に段々とその目の意味は変わっていき、どこか慈愛を込めた瞳で私を見るようになってからは、嫌な気分どころかもう最高に不快だった。
私はとある小さな極道の交渉役を担当していた。本当にとても小さくて死穢八斎會にはとてもじゃないけど及ばないほどの。まぁ昔は結構有名ではあったらしいがオールマイトという平和の象徴が登場したおかげでウチは半壊。前とは比べ物にならないくらい小規模のものになってしまった。ぎりぎり生き残ってやっと立て直している最中だ。私はその極道の頭に色々と助けてもらったから忠誠を誓っていて、死ぬときも若……頭とお共しようと思っているくらいには。だから死穢八斎會という近年少しずつ動きを見せている極道を利用して手助けをもらおうと交渉したのが始まり。伊達に交渉してきたわけではないから多少苦労はしつつも莫大な金を貸すことで協力を得た。同盟関係と呼ぶべきだろう。死穢八斎會の何らかの計画が成功して、それでウチが立て直すことができれば、たとえ死穢八斎會の奴等に虫けらのような目で見られてもどうだってよかった。
「…これは一体」
「試作品だが、薬だ」
「薬とは何でしょう。私にこれは必要ありません。用がないのであれば帰らせていただきたい。」
きっぱりと言いきる私に、オーバーホールの隣に座る…たしかミミックといった奴が立ち上がったが、それをオーバーホールが止める。別にここで抗争になっても私は一向に構わなかった。少なくとも彼のこの視線を送られるよりは。_私は彼の、オーバーホールという人間のこの目が嫌いだった。初めて出会ったときは人を何か汚いものを見ているかのような目だったから、それはそれでなんだこいつはと嫌な気分にはなっていた。しかし、会う度に段々とその目の意味は変わっていき、どこか慈愛を込めた瞳で私を見るようになってからは、嫌な気分どころかもう最高に不快だった。
私はとある小さな極道の交渉役を担当していた。本当にとても小さくて死穢八斎會にはとてもじゃないけど及ばないほどの。まぁ昔は結構有名ではあったらしいがオールマイトという平和の象徴が登場したおかげでウチは半壊。前とは比べ物にならないくらい小規模のものになってしまった。ぎりぎり生き残ってやっと立て直している最中だ。私はその極道の頭に色々と助けてもらったから忠誠を誓っていて、死ぬときも若……頭とお共しようと思っているくらいには。だから死穢八斎會という近年少しずつ動きを見せている極道を利用して手助けをもらおうと交渉したのが始まり。伊達に交渉してきたわけではないから多少苦労はしつつも莫大な金を貸すことで協力を得た。同盟関係と呼ぶべきだろう。死穢八斎會の何らかの計画が成功して、それでウチが立て直すことができれば、たとえ死穢八斎會の奴等に虫けらのような目で見られてもどうだってよかった。
12 無名さん
また頭の役に立てたと思えたから。それに彼らも私たちのような小規模の極道なんてアテにしないだろう。そっちの計画がうまく行けば私達は安泰で前のようになるのだから、同盟関係を破棄されない限りはもう用はないと思っていた。
思っていたのだが、何故か私は度々死穢八斎會に呼び出されるようになってしまった。理由は…おそらく私の個性だろう。私の個性は色々と便利なもので、簡単に言えば『自分が危険だと思ったものを相手に返すことができる』個性。私は元々こんな世界で生きてきたから個性登録をしていない、だから個性の名前が分からないので、紹介するときはいつもこう言っている。それを死穢八斎會のこの若頭が魅力的に思ったのか、呼び出しては個性について聞かれた。私もそれを利用してウチのためになるようなことを交渉した。
そのようなことをしてからだ、彼の視線の意味が変わったのは。
はて、私は何かした覚えなどさらさらない。彼は私を利用して、私も彼を利用して、そんな関係なだけなはずだったが。どうしてこうなったのか。必要最低限の会話しかしてこなかった私達に、そのような感情を芽生えさせるものは生じていなかった、はず。
「おいおい待てよ、ゆっくりしていけ」
「…生憎私にはゆっくりしている暇などありません。次の仕事があります。ウチの若に迷惑をかけるわけにはいきませんので。」
「ウチの若…ね…。相変わらず随分と愛されてんな、そっちの若頭は」
「ええ。私は若に忠誠を誓っています。」
「まぁそんなことはどうでもいい。いいから待て。そんなに潰されてぇか」
思っていたのだが、何故か私は度々死穢八斎會に呼び出されるようになってしまった。理由は…おそらく私の個性だろう。私の個性は色々と便利なもので、簡単に言えば『自分が危険だと思ったものを相手に返すことができる』個性。私は元々こんな世界で生きてきたから個性登録をしていない、だから個性の名前が分からないので、紹介するときはいつもこう言っている。それを死穢八斎會のこの若頭が魅力的に思ったのか、呼び出しては個性について聞かれた。私もそれを利用してウチのためになるようなことを交渉した。
そのようなことをしてからだ、彼の視線の意味が変わったのは。
はて、私は何かした覚えなどさらさらない。彼は私を利用して、私も彼を利用して、そんな関係なだけなはずだったが。どうしてこうなったのか。必要最低限の会話しかしてこなかった私達に、そのような感情を芽生えさせるものは生じていなかった、はず。
「おいおい待てよ、ゆっくりしていけ」
「…生憎私にはゆっくりしている暇などありません。次の仕事があります。ウチの若に迷惑をかけるわけにはいきませんので。」
「ウチの若…ね…。相変わらず随分と愛されてんな、そっちの若頭は」
「ええ。私は若に忠誠を誓っています。」
「まぁそんなことはどうでもいい。いいから待て。そんなに潰されてぇか」
13 無名さん
ソファから立ち上がり扉まで歩いてから、オーバーホールはそう言った。そんなに潰されてぇか。その一言を。少しだけ慌てながら扉の前で通せんぼをするクロノの前で立ち止まり、振り向いてオーバーホールを睨んだ。それでも彼は私に穏やかな視線ばかりを送るものだから、すぐに目を逸らしてゆっくりと踵を返しソファに座る。小さな声で、いい子だ、なんて言うものだから、若のことが関わってなければすぐにでも吹っ飛ばしてやるのにと思いながら話を聞いた。
「お前も聞いたことがあるだろ、裏社会で出回ってる薬のこと」
「…ええ。私もそういう類のものの取引はしたことがあります。たしか個性を活性化させる…」
「これはその逆だ」
「逆………」
その薬はどうやら、今まで私の聞いたことのないものだった。活性化させる薬は私も扱ったことがあるし分かりはするが、まさか個性を全く使えなくさせるだなんて。恐ろしい薬だ。こんな社会で個性がなくなるのは致命傷だ。
なら何故、それを私に教えたのだろう。こんな小規模の極道ごときに何故、そんな代物を用意したのだろう。ウチは今彼らに莫大な金を投資しているからこんなものは買えない。そんなことはこいつらも知っているはず。彼はこれを試作品だと言っていた。なら、
「…これを私に……試すのですか?」
「試す…か……半分正解といったとこか」
その言葉を聞いて、私は腰を浮かせた。今すぐに帰ろう、帰ってやはり私達だけでどうにかしようと若に伝えようと決心して、立ち上がった。
「_ああ、よしてくれよ。」
「お前も聞いたことがあるだろ、裏社会で出回ってる薬のこと」
「…ええ。私もそういう類のものの取引はしたことがあります。たしか個性を活性化させる…」
「これはその逆だ」
「逆………」
その薬はどうやら、今まで私の聞いたことのないものだった。活性化させる薬は私も扱ったことがあるし分かりはするが、まさか個性を全く使えなくさせるだなんて。恐ろしい薬だ。こんな社会で個性がなくなるのは致命傷だ。
なら何故、それを私に教えたのだろう。こんな小規模の極道ごときに何故、そんな代物を用意したのだろう。ウチは今彼らに莫大な金を投資しているからこんなものは買えない。そんなことはこいつらも知っているはず。彼はこれを試作品だと言っていた。なら、
「…これを私に……試すのですか?」
「試す…か……半分正解といったとこか」
その言葉を聞いて、私は腰を浮かせた。今すぐに帰ろう、帰ってやはり私達だけでどうにかしようと若に伝えようと決心して、立ち上がった。
「_ああ、よしてくれよ。」
14 無名さん
そして扉まで歩き出ていこうとしたつもりだったが、次に足に力を入れた瞬間に、酷い目眩が生じた。前に倒れこむ私をクロノは支えて、それから「どうしますか」とオーバーホールに問う。オーバーホールは殺意を込めてクロノに向けて「すぐにそこへ下ろせ。傷一つつけるなよ」と言った。クロノが冷や汗をかくのが分かる。何が起こっているのか分からない。なんだ、これは、一体、
あのときすぐに帰っておくべきだった。脅されたとしてもすぐに見限って若に伝えるべきだった。こいつらを頼っていてはだめだと。
クロノはそっと、壊れ物を扱うかのように私を先程のソファに寝かせた。それからオーバーホールに出てけと指示されたのか、ミミックと共にこの部屋を去った。頭の中が熱くて熱くて、もうなにも考えられない。
「みょうじなまえ……いい名前だな」
「……!」
「どうしてって顔だ。どうしてだと思う。どうして俺が今は大して有名でもない小さな極道に就いてる交渉役の女なんかの本名を知ってると思う」
体が言うことをきかない。だめだ、このままじゃだめだ。若が、若が危ない。そう思って体を起き上がらせたくても、起き上がらない。逆に力は抜けていくばかりだ。視界がぼやけていく。いやだ、こんなの、
「いくら有名じゃないからって、無防備なんじゃないか?誰かに狙われているとは思わなかったか?思わないよな、女一人に大事な交渉役を頼むくらいの小規模なグループだ。誰も相手にしない。」
「……こ…の…!」
「だが残念だったな。相手にする奴がここに居た。」
気づけば向かいに座っていたはずのオーバーホールはすぐ近くに来ており、私の顔を覗きこんだ。おかしい。これはおかしい。矛盾している。何故なら彼は潔癖症だ。それも重度の。初めて会ったときから知っていたし、彼もむやみに近付こうとしなかったから。なのにそんな彼が、何故、自分から私に近付こうとしているのか。
あのときすぐに帰っておくべきだった。脅されたとしてもすぐに見限って若に伝えるべきだった。こいつらを頼っていてはだめだと。
クロノはそっと、壊れ物を扱うかのように私を先程のソファに寝かせた。それからオーバーホールに出てけと指示されたのか、ミミックと共にこの部屋を去った。頭の中が熱くて熱くて、もうなにも考えられない。
「みょうじなまえ……いい名前だな」
「……!」
「どうしてって顔だ。どうしてだと思う。どうして俺が今は大して有名でもない小さな極道に就いてる交渉役の女なんかの本名を知ってると思う」
体が言うことをきかない。だめだ、このままじゃだめだ。若が、若が危ない。そう思って体を起き上がらせたくても、起き上がらない。逆に力は抜けていくばかりだ。視界がぼやけていく。いやだ、こんなの、
「いくら有名じゃないからって、無防備なんじゃないか?誰かに狙われているとは思わなかったか?思わないよな、女一人に大事な交渉役を頼むくらいの小規模なグループだ。誰も相手にしない。」
「……こ…の…!」
「だが残念だったな。相手にする奴がここに居た。」
気づけば向かいに座っていたはずのオーバーホールはすぐ近くに来ており、私の顔を覗きこんだ。おかしい。これはおかしい。矛盾している。何故なら彼は潔癖症だ。それも重度の。初めて会ったときから知っていたし、彼もむやみに近付こうとしなかったから。なのにそんな彼が、何故、自分から私に近付こうとしているのか。
16 無名さん
「ああ、さっきの答え合わせをするか。お前は試すと言ったが、残念。もう既に試させてもらってる」
「、…いつ…か、ら…」
「最初からだ。お前、ここの奴等が淹れる茶が好きだったな。」
そういうことか、本当に最初から、私がいつもより苦いと思ったあの茶の中に、薬が入っていたのか。少量飲んだだけだというのにこんなにも効き目があるなんて、だがこれもおかしい。個性がなくなるだけじゃないのか、個性がなくなるだけで体が使い物にならなくなるのか。
息があがる。全身が熱い。声がもれる。
「……いい顔だ、なまえ」
「っ……!」
びくりと体がはねた。いやそれよりも、今、この男は、私に触った…?あり得ない。そんなことはあり得ない。あれだけ他人を触りたがらない男が、自らの意思で触れるなんて。それがたとえ手袋ごしでも、こんなことはしないはずだ。
「…媚薬の量多くしすぎたか……」
「び、やく…………」
体は熱くなるばかりだったが、内心はこれでもかというくらい青ざめていった。媚薬、媚薬を使ったということはまさか、
この男が私に送っていた視線の意味が、軽いものではないとようやく気が付いた。どこか遊びだと思っていた私が馬鹿だった。この男はそれら全てが本気だった。
「それは本当に試作品だからな。効果がどれ程持つか分からねぇ。だから解ける前に何度も打つ。痛いのは我慢してくれよ、お前の個性が怖いってのは分かってる。苦労して情報を入手した甲斐があったよ。」
「…や、め……」
「、…いつ…か、ら…」
「最初からだ。お前、ここの奴等が淹れる茶が好きだったな。」
そういうことか、本当に最初から、私がいつもより苦いと思ったあの茶の中に、薬が入っていたのか。少量飲んだだけだというのにこんなにも効き目があるなんて、だがこれもおかしい。個性がなくなるだけじゃないのか、個性がなくなるだけで体が使い物にならなくなるのか。
息があがる。全身が熱い。声がもれる。
「……いい顔だ、なまえ」
「っ……!」
びくりと体がはねた。いやそれよりも、今、この男は、私に触った…?あり得ない。そんなことはあり得ない。あれだけ他人を触りたがらない男が、自らの意思で触れるなんて。それがたとえ手袋ごしでも、こんなことはしないはずだ。
「…媚薬の量多くしすぎたか……」
「び、やく…………」
体は熱くなるばかりだったが、内心はこれでもかというくらい青ざめていった。媚薬、媚薬を使ったということはまさか、
この男が私に送っていた視線の意味が、軽いものではないとようやく気が付いた。どこか遊びだと思っていた私が馬鹿だった。この男はそれら全てが本気だった。
「それは本当に試作品だからな。効果がどれ程持つか分からねぇ。だから解ける前に何度も打つ。痛いのは我慢してくれよ、お前の個性が怖いってのは分かってる。苦労して情報を入手した甲斐があったよ。」
「…や、め……」
17 無名さん
ソファがぎしりと軋む。だめだ、頭が溶けそうだ。目に見えるのはぼやけた天井と、恐らく私に跨がっているオーバーホール。逃げたくても逃げられない。きっと私はこれからこの男の好きなように貪られて、目が覚めたら拘束されたまま点滴かなにかで個性を抑えられるのだろう。いやだいやだと体を捩っても、この行動は男を煽るだけなのだろう。「これからは俺がお前を飼ってやる」意識は虚ろなのにはっきりと聞こえたその声に、誰がお前なんかにと反論してやりたかったが、それもできぬままに体が沈んでいった。
20 無名さん
それに出会ったのは、暑い夏の森の中だった。
息抜きに登山でもしようと、そんなに険しくもない、小さな山に最低限の装備で登った。
ジワジワジワと喧しい蝉の声が耳を劈くのも気にならないくらい、目の前のその存在に圧倒されていた。
誰かの個性なのかもしれない。そうだとして、これは敵か?それともヒーローのひとりか?でも聞いたこともない。こんなにも壮大な個性なら、テレビやラジオや新聞かなにか、ともかくメディアによってこの存在を耳に、目にするだろう。
ハア、と、大きく息を吐く。呼吸をすることすら忘れていた。どくどくどくっと慌てるように心臓が脈打って、思わず胸部のシャツを掴んだ。
ズズ………
それが身じろぐ。俺から目を離さず、すうっと長細い顔を近づけてきたそれは……淡い青色の瞳を細めて、ツンっと鼻で俺の額をつついた。
ーーーそれは、巨大な竜だった。
体長は見上げるほどに大きく、皮膜の翼は硝子のように透ける薄花色をしている。一つ一つがつやめくように美しい鱗に覆われた体も、深い空のような色だ。
蛇に獣のような手足をつけた竜は、小さな鼻をすんすんならして俺の匂いをかぐ。目の前に鋭い牙がちらりと覗く大きな口があるのに、俺は少しも怖いと思わず、その美しさにただ見惚れた。
『甘い匂いがするのぉ』
古めかしい言葉使いだが、綺麗な声だと思った。鈴のなるような、それこそ甘い、女の声。はっとする俺に、竜は楽しげにくるくると喉を鳴らした。
『髪の色も目の色も甘そうだの。でも一番甘い匂いは手じゃな、何ぞ持っておる?』
「…あ、………なにも、持ってねぇ」
尋ねる竜に、手のひらを見せるように差し出す。差し出してから、こいつが肉食だったらばくりと食われちまうんじゃ、と思ったが、何を血迷ったか、俺はそれでもいいかと考えた。
こんなに美しい生き物の糧になるのなら、それでもいいかと。
息抜きに登山でもしようと、そんなに険しくもない、小さな山に最低限の装備で登った。
ジワジワジワと喧しい蝉の声が耳を劈くのも気にならないくらい、目の前のその存在に圧倒されていた。
誰かの個性なのかもしれない。そうだとして、これは敵か?それともヒーローのひとりか?でも聞いたこともない。こんなにも壮大な個性なら、テレビやラジオや新聞かなにか、ともかくメディアによってこの存在を耳に、目にするだろう。
ハア、と、大きく息を吐く。呼吸をすることすら忘れていた。どくどくどくっと慌てるように心臓が脈打って、思わず胸部のシャツを掴んだ。
ズズ………
それが身じろぐ。俺から目を離さず、すうっと長細い顔を近づけてきたそれは……淡い青色の瞳を細めて、ツンっと鼻で俺の額をつついた。
ーーーそれは、巨大な竜だった。
体長は見上げるほどに大きく、皮膜の翼は硝子のように透ける薄花色をしている。一つ一つがつやめくように美しい鱗に覆われた体も、深い空のような色だ。
蛇に獣のような手足をつけた竜は、小さな鼻をすんすんならして俺の匂いをかぐ。目の前に鋭い牙がちらりと覗く大きな口があるのに、俺は少しも怖いと思わず、その美しさにただ見惚れた。
『甘い匂いがするのぉ』
古めかしい言葉使いだが、綺麗な声だと思った。鈴のなるような、それこそ甘い、女の声。はっとする俺に、竜は楽しげにくるくると喉を鳴らした。
『髪の色も目の色も甘そうだの。でも一番甘い匂いは手じゃな、何ぞ持っておる?』
「…あ、………なにも、持ってねぇ」
尋ねる竜に、手のひらを見せるように差し出す。差し出してから、こいつが肉食だったらばくりと食われちまうんじゃ、と思ったが、何を血迷ったか、俺はそれでもいいかと考えた。
こんなに美しい生き物の糧になるのなら、それでもいいかと。
22 無名さん
長い首を伸ばして、俺の手のひらに顔を近づける竜は、ほう、と熱い息を俺の手にかけた。溜息のように思われたそれは、竜の目がうっとりと蕩けたことにより、感嘆によるものだったことに気づく。
『なんとかぐわしい匂い。お前は甘露でも食っていたのかえ?人には何度か会ったことがあるが、こんなにいい香りを嗅いだのは初めてじゃ』
「……俺の体質だ」
『ふうん?』
俺の言葉を聞いているのかいないのか、竜は夢中になって手のひらをふんふん嗅いでいる。鼻息がくすぐったくて少し身をよじれば、不満げに横目でこちらを見た。
すると、とぐろを巻くようにしていた竜の体が動き出したかと思えば、俺の周りをくるりと取り囲む。驚いて竜を見上げると、竜は手のひらに顔を寄せたまま、『とって食ったりせんよ』と言った。
『もう少し楽しませておくれ、怪我をさせたりしないから』
「……ああ、いいぜ……代わりに一つ教えろ」
ぱちりと、竜の目が瞬く。大きな青い目にかかる睫毛が長く、それもうっすらと青色をしていることに気づいて、俺は眩しいものでも見るように目を細めた。
「あんた、名前は」
『私の名か?』
「………そう言ってるだろう」
俺の言葉に、竜は驚いたようで、目を見開いて顔を上げた。自然と見上げる形になった俺の耳元の髪を、獣の手でそっと耳にかけて、竜は言う。
『今まで、血だの鱗だの、私の命だのを寄越せと言われたことはあったが、名を求められたのは初めてじゃな』
「……ねえのか、名前」
『いやあるよ、面白い子だの。私を見て喚かない子供も珍しいが、名を欲しがる人もまた珍しい』
「……。」
勿体ぶって教えない竜にやきもきするが、それでも、耳障りのいいその声を聞いていられるのも心地よく、俺は黙って竜の言葉を待った。すると、つんつんっと竜の爪が俺の頬をつつく。鋭い爪は、比べて脆い人の肌を引っ掻いて破いたりしないように注意を払っているようで、すぐに引っ込んでしまったが。
『なんとかぐわしい匂い。お前は甘露でも食っていたのかえ?人には何度か会ったことがあるが、こんなにいい香りを嗅いだのは初めてじゃ』
「……俺の体質だ」
『ふうん?』
俺の言葉を聞いているのかいないのか、竜は夢中になって手のひらをふんふん嗅いでいる。鼻息がくすぐったくて少し身をよじれば、不満げに横目でこちらを見た。
すると、とぐろを巻くようにしていた竜の体が動き出したかと思えば、俺の周りをくるりと取り囲む。驚いて竜を見上げると、竜は手のひらに顔を寄せたまま、『とって食ったりせんよ』と言った。
『もう少し楽しませておくれ、怪我をさせたりしないから』
「……ああ、いいぜ……代わりに一つ教えろ」
ぱちりと、竜の目が瞬く。大きな青い目にかかる睫毛が長く、それもうっすらと青色をしていることに気づいて、俺は眩しいものでも見るように目を細めた。
「あんた、名前は」
『私の名か?』
「………そう言ってるだろう」
俺の言葉に、竜は驚いたようで、目を見開いて顔を上げた。自然と見上げる形になった俺の耳元の髪を、獣の手でそっと耳にかけて、竜は言う。
『今まで、血だの鱗だの、私の命だのを寄越せと言われたことはあったが、名を求められたのは初めてじゃな』
「……ねえのか、名前」
『いやあるよ、面白い子だの。私を見て喚かない子供も珍しいが、名を欲しがる人もまた珍しい』
「……。」
勿体ぶって教えない竜にやきもきするが、それでも、耳障りのいいその声を聞いていられるのも心地よく、俺は黙って竜の言葉を待った。すると、つんつんっと竜の爪が俺の頬をつつく。鋭い爪は、比べて脆い人の肌を引っ掻いて破いたりしないように注意を払っているようで、すぐに引っ込んでしまったが。
23 無名さん
『名を尋ねるなら先にお前も名を名乗れ、人の子』
「爆豪勝己。勝己だ。」
『うん、かつき。よかろう、私の名をかつきに授ける。名は個を縛る特別な言霊じゃ。特に、私の名はそれだけで力を持つ。人には過ぎたものかもしれぬが、その甘くてかぐわしい匂いは気に入った』
ぶわり。
嬉しそうな声で、竜は翼をはためかせる。大きなそれによって生み出された風が髪を煽って、木の葉が舞い上がった。
『一度、お前が生きたいと思った時か、死にたいと思った時か。私を呼ぶといい。どちらか願いを叶えてやろう』
「ッ、!」
ばさりと、翼がまたはためく。激しい風に堪らず目を守るために腕をかざせば、視界の端で竜の体が、浮かび上がった。
それをみて、胸の奥がズキンと痛む。どこかへ行く気だ。
「待ッ……どこに行く!」
『人と私はずっと共には居れないのよ、かつき。さあ、耳をそばだててちゃんとお聞き。私の名は、』
ふわっ、と、竜の尾が頬を撫でて離れていく。見る間に高く浮かび上がる竜に向かって、捕まえられやしないとわかっているのに、手を伸ばした。思い切り、高く、高く。
『私の名は、なまえ。風と水を運ぶもの。花と葉を愛すもの。』
「なまえ………」
『そう。かつき、いつか会う時があれば、また会おう。甘い香りの人の子よ
「待てッ!なまえ………どこにっ……、行くな!」
俺のその言葉には応えず、なまえという竜は空に溶けるように消えた。最後、消える直前に、宝石のような青い目が、優しげに揺れていたのが頭に残る。
それを忘れないように脳裏に焼き付けて、俺は伸ばしていた手を、ぐっと握った。
彼女は、なまえは、どこに行くかを答えなかった。それは多分、努力すればたどり着ける場所に行くからだろう。風と水を運ぶものと、花と葉を愛すものと言った。なら、彼女はまたここに似た、深い森の奥に行くはずだ。世界中のどこかはわからないが、きっと、何処かには、いる。
「………必ず見つけてやる…」
俺の目とは対極の、あの澄んだ優しい目。
あれを俺の物にするまで、俺はきっと、諦めないだろう。
「爆豪勝己。勝己だ。」
『うん、かつき。よかろう、私の名をかつきに授ける。名は個を縛る特別な言霊じゃ。特に、私の名はそれだけで力を持つ。人には過ぎたものかもしれぬが、その甘くてかぐわしい匂いは気に入った』
ぶわり。
嬉しそうな声で、竜は翼をはためかせる。大きなそれによって生み出された風が髪を煽って、木の葉が舞い上がった。
『一度、お前が生きたいと思った時か、死にたいと思った時か。私を呼ぶといい。どちらか願いを叶えてやろう』
「ッ、!」
ばさりと、翼がまたはためく。激しい風に堪らず目を守るために腕をかざせば、視界の端で竜の体が、浮かび上がった。
それをみて、胸の奥がズキンと痛む。どこかへ行く気だ。
「待ッ……どこに行く!」
『人と私はずっと共には居れないのよ、かつき。さあ、耳をそばだててちゃんとお聞き。私の名は、』
ふわっ、と、竜の尾が頬を撫でて離れていく。見る間に高く浮かび上がる竜に向かって、捕まえられやしないとわかっているのに、手を伸ばした。思い切り、高く、高く。
『私の名は、なまえ。風と水を運ぶもの。花と葉を愛すもの。』
「なまえ………」
『そう。かつき、いつか会う時があれば、また会おう。甘い香りの人の子よ
「待てッ!なまえ………どこにっ……、行くな!」
俺のその言葉には応えず、なまえという竜は空に溶けるように消えた。最後、消える直前に、宝石のような青い目が、優しげに揺れていたのが頭に残る。
それを忘れないように脳裏に焼き付けて、俺は伸ばしていた手を、ぐっと握った。
彼女は、なまえは、どこに行くかを答えなかった。それは多分、努力すればたどり着ける場所に行くからだろう。風と水を運ぶものと、花と葉を愛すものと言った。なら、彼女はまたここに似た、深い森の奥に行くはずだ。世界中のどこかはわからないが、きっと、何処かには、いる。
「………必ず見つけてやる…」
俺の目とは対極の、あの澄んだ優しい目。
あれを俺の物にするまで、俺はきっと、諦めないだろう。
25 無名さん
私、名字 名前は爆豪 勝己と付き合っている。
付き合い始めたのはつい最近で、私から告白して付き合うことになった。私は爆豪のことは好きだけれど、あっちの方は好意を口に出さないからよく分からない。
たまに口にして欲しいとは思うけど、アノ爆豪だからあまり期待はしていなかった。
今日は休日で特にやることもなかったので、日頃の授業の疲れから自室で昼寝をしていたときだった。
「……んっ、んんんっ、…ふぁっ」
身体の違和感と息苦しさに目を薄く開くと、私の彼氏である爆豪が私にキスをしていた。左右に割った両脚の間に身体をねじ込み、私を押し倒している様だった。
なんでここにいるの?どうしてキスをしてるの?
次々と疑問は浮かび上がるが、私が目が覚めたことに気付いた彼は触れていた唇を離した。
「……っ名字」
顔を真っ赤にさせて余裕のない表情をする彼に、いつもと様子が違う、と眉を顰めた。
「急にどうしたの?爆豪、なんか変」
そろそろと手を彼に伸ばすと、熱で熱くなった手で顔の横に押さえ付けられてしまった。ぐ、と手首に体重がかかる。
はあはあと息を切らして目を潤ませる彼は、もごもごと口を動かすと小さな声で呟いた。
「外、出掛けたら、知らねぇクソモブに、個性かけられた」
「えっ!?大丈夫なの!?何の個性を……!」
「…っはぁ、うさぎに、なる個性、……だが、発情期も同時にきた……っから付き合え、名字」
「………え?」
視線を上に動かすと、ぴこぴこと動く白いうさ耳が見えた。ここからは見えないが、きっと尻尾もあるのだろう。
付き合い始めたのはつい最近で、私から告白して付き合うことになった。私は爆豪のことは好きだけれど、あっちの方は好意を口に出さないからよく分からない。
たまに口にして欲しいとは思うけど、アノ爆豪だからあまり期待はしていなかった。
今日は休日で特にやることもなかったので、日頃の授業の疲れから自室で昼寝をしていたときだった。
「……んっ、んんんっ、…ふぁっ」
身体の違和感と息苦しさに目を薄く開くと、私の彼氏である爆豪が私にキスをしていた。左右に割った両脚の間に身体をねじ込み、私を押し倒している様だった。
なんでここにいるの?どうしてキスをしてるの?
次々と疑問は浮かび上がるが、私が目が覚めたことに気付いた彼は触れていた唇を離した。
「……っ名字」
顔を真っ赤にさせて余裕のない表情をする彼に、いつもと様子が違う、と眉を顰めた。
「急にどうしたの?爆豪、なんか変」
そろそろと手を彼に伸ばすと、熱で熱くなった手で顔の横に押さえ付けられてしまった。ぐ、と手首に体重がかかる。
はあはあと息を切らして目を潤ませる彼は、もごもごと口を動かすと小さな声で呟いた。
「外、出掛けたら、知らねぇクソモブに、個性かけられた」
「えっ!?大丈夫なの!?何の個性を……!」
「…っはぁ、うさぎに、なる個性、……だが、発情期も同時にきた……っから付き合え、名字」
「………え?」
視線を上に動かすと、ぴこぴこと動く白いうさ耳が見えた。ここからは見えないが、きっと尻尾もあるのだろう。
26 無名さん
うさぎの個性をかけられた?発情期?うさぎだからってこと?
ふと頭にうさぎの特徴を思い出した。
『いつでもどこでも発情し、何を見ても腰を振る』
サッ、と顔から血の気が引く。付き合え、ってことはヤるってことだよね?
確かに私たちは付き合ってるし、寮という場所もあってヤることはヤってるけど、発情した爆豪だとどうなっちゃうの…?
熱のこもった荒い息が顔にかかる。目元を赤くし、欲を孕んだ目が私を貫く。
「名字」
低く掠れた声で名前を呼ぶと、そのまま私に口付けた。綺麗な赤い目が、頭のどこかでまるでうさぎみたい、と囁いた。見つめ合ったまま唇を戯れに啄ばむ感触に目を細めた。
「ん、ちゅ、……ばく、ご」
「っ、はぁ、名字…」
ぼんやりとキスをしながら見つめていると、彼は一度リップ音を立て唇を少し離した。少しでも動くと唇が重なってしまいそうなほどの距離に、彼の熱い吐息が私の唇にあたる。
そして彼は薄く口を開け、そのまま私の半開きになった唇を舐めたかと思うと、中に熱い舌が侵入してきた。
熱に驚いて逃げるために腕をつっぱろうとしたが、彼の逞しい腕に抱き込まれあっさりと抑え込まれた。
「ん、ちゅっ、んんっ…」
くちゅ、という粘着質な音を立て、私の舌を絡めとった。舌を擦るようになぞられ、上あごを優しく舌で撫でていくと、最後に頬の内側を嬲った。咥内を舐る熱が気持ち良い。鼻から抜けていく息に、私の甘い声がまじる。
ふと頭にうさぎの特徴を思い出した。
『いつでもどこでも発情し、何を見ても腰を振る』
サッ、と顔から血の気が引く。付き合え、ってことはヤるってことだよね?
確かに私たちは付き合ってるし、寮という場所もあってヤることはヤってるけど、発情した爆豪だとどうなっちゃうの…?
熱のこもった荒い息が顔にかかる。目元を赤くし、欲を孕んだ目が私を貫く。
「名字」
低く掠れた声で名前を呼ぶと、そのまま私に口付けた。綺麗な赤い目が、頭のどこかでまるでうさぎみたい、と囁いた。見つめ合ったまま唇を戯れに啄ばむ感触に目を細めた。
「ん、ちゅ、……ばく、ご」
「っ、はぁ、名字…」
ぼんやりとキスをしながら見つめていると、彼は一度リップ音を立て唇を少し離した。少しでも動くと唇が重なってしまいそうなほどの距離に、彼の熱い吐息が私の唇にあたる。
そして彼は薄く口を開け、そのまま私の半開きになった唇を舐めたかと思うと、中に熱い舌が侵入してきた。
熱に驚いて逃げるために腕をつっぱろうとしたが、彼の逞しい腕に抱き込まれあっさりと抑え込まれた。
「ん、ちゅっ、んんっ…」
くちゅ、という粘着質な音を立て、私の舌を絡めとった。舌を擦るようになぞられ、上あごを優しく舌で撫でていくと、最後に頬の内側を嬲った。咥内を舐る熱が気持ち良い。鼻から抜けていく息に、私の甘い声がまじる。
27 無名さん
口の中全てを犯されていく快感に、体中から力が抜けていく。身体のどこも触られてもいないのに、熱が下腹部にたまっていった。
既に力の入らない私の腕を拘束していた彼の腕が離れていく。そのままTシャツを雑に掴み、するりと脱がすと、ベッド下に放り投げた。あ、Tシャツが、と目で追っていると、そちらに気を取られたことに苛ついたのか、舌を扱くように絡め取られた。
「ん、ふっ…、やめっ、」
顎に涎が伝う。その激しく与えられる快感に身を委ねるしか選択肢はなかった。
時たま漏れる彼の熱い吐息に全身がぞくぞくする。そのままちゅっと音を立てて触れるだけのキスをおとし、首筋に数回キスをすると、鎖骨から顎までねっとりと舐られた。
「んあぁっ!」
「…っ、はぁ、ぁ…」
じわ、と下着が濡れる感触に、身体がさらに熱に浮かされる。執拗に首筋を舐めあげていた彼は、不意にきつく吸い上げると、いくつもの鬱血痕を残した。
ゆっくりと頭を持ち上げ、綺麗に咲いた首筋の華を見遣ると、機嫌が良さそうにゆっくりと目元を緩ませて笑った。
「っは、名字、イイ顔してんな。蕩けてんぞ」
「…ばく、ご、や、言わないでっ」
するりと暖かい掌の感触が胸に感じたかと思うと、強烈な痺れが身体中を駆け巡った。
「おい、まだ触ってねえのに勃ってんぞ」
いつの間にか下着を脱がされていたのか、無防備に曝け出された胸を覆う掌の感触にびくりと震えた。ぎゅっと摘まれた乳首が、指の中でぴんっと強く主張していた。そのままぐにぐにとつまんだり引っ張ったり、その感触を楽しむように弄ばれた。
「ん、やめ、いじめないでぇ…っ!やさしくしてっ」
「はっ、んな顔して、説得力がねぇわ…っ」
既に力の入らない私の腕を拘束していた彼の腕が離れていく。そのままTシャツを雑に掴み、するりと脱がすと、ベッド下に放り投げた。あ、Tシャツが、と目で追っていると、そちらに気を取られたことに苛ついたのか、舌を扱くように絡め取られた。
「ん、ふっ…、やめっ、」
顎に涎が伝う。その激しく与えられる快感に身を委ねるしか選択肢はなかった。
時たま漏れる彼の熱い吐息に全身がぞくぞくする。そのままちゅっと音を立てて触れるだけのキスをおとし、首筋に数回キスをすると、鎖骨から顎までねっとりと舐られた。
「んあぁっ!」
「…っ、はぁ、ぁ…」
じわ、と下着が濡れる感触に、身体がさらに熱に浮かされる。執拗に首筋を舐めあげていた彼は、不意にきつく吸い上げると、いくつもの鬱血痕を残した。
ゆっくりと頭を持ち上げ、綺麗に咲いた首筋の華を見遣ると、機嫌が良さそうにゆっくりと目元を緩ませて笑った。
「っは、名字、イイ顔してんな。蕩けてんぞ」
「…ばく、ご、や、言わないでっ」
するりと暖かい掌の感触が胸に感じたかと思うと、強烈な痺れが身体中を駆け巡った。
「おい、まだ触ってねえのに勃ってんぞ」
いつの間にか下着を脱がされていたのか、無防備に曝け出された胸を覆う掌の感触にびくりと震えた。ぎゅっと摘まれた乳首が、指の中でぴんっと強く主張していた。そのままぐにぐにとつまんだり引っ張ったり、その感触を楽しむように弄ばれた。
「ん、やめ、いじめないでぇ…っ!やさしくしてっ」
「はっ、んな顔して、説得力がねぇわ…っ」
29 無名さん
理性を何とかして保っているのだろうが、先ほどよりも余裕がなく手は性急だった。
胸を触っていない手を脇から腰、そして臍に辿り着くと、臍の周りをくるくると指でなぞった。擽ったい指の感触に身動ぎすると、ゆっくりと指が子宮の上を突いた。
その柔い刺激に私の子宮が疼く。履いていた半パンと下着をするりと脱がすと、濡れてぐっしょりとしている下着を私の顔の前に晒した。
「おい、まだ触ってねぇのに、っはぁ、こんなになってんぞ」
自分のもので濡れている下着に羞恥心で見ていられなくて目を瞑った。
全裸の自分に対して、それほど服を乱していない彼のそんな対照的な自分たちにも、もう既に泣きそうだった。
「目、開けろよ」
「や、だって恥ずかしい……!」
「っはぁ?」
「爆豪も服、脱いで……!」
ぎゅ、と爆豪の着ているTシャツを掴むと、一瞬瞠目すると上着とズボンを脱ぎ始めた。
目前に晒される爆豪の逞しい身体に顔が真っ赤に染まる。早くその腕で抱かれたい。そんな欲が私の身体を熱くする。
彼の下着の下にあるペニスは既に勃起しており、下着に染みを作っていた。
早くあれが欲しい。
与えられる快楽を知っている私は、それを見ただけで心臓が高鳴り息が自然と荒くなる。
物欲しそうな目に気付いたのか、舌舐めずりした彼は、その端正な顔を私の足の間に移動させた。ぐいっと左右に脚を開かれ、無防備に私の股間は彼の眼前に晒された。
「や、やだっ!みないでぇっ…!」
「っは、るせぇ、黙ってろ……っ!」
すぐに挿れんの我慢してやってんだ、と鋭い目が私を貫いた。そして口を開けたかと思うと、そこをぺろんと舐めとった。
「っんぁ!ひぃん!?」
ビリッとした刺激に思わず声を上げた。
上半身を僅かに持ち上げて自分の下半身を覗くと、赤い舌が何度も割れ目を舐めていた。ぴちゃぴちゃと卑猥な音が聞こえる。ビリビリとする刺激が気持ちいい。
それでも、恥ずかしさにいやいや、と首を振りながら彼の頭を力の入らない手で押した。ふわふわとウサギの耳の毛が擽ったい。
胸を触っていない手を脇から腰、そして臍に辿り着くと、臍の周りをくるくると指でなぞった。擽ったい指の感触に身動ぎすると、ゆっくりと指が子宮の上を突いた。
その柔い刺激に私の子宮が疼く。履いていた半パンと下着をするりと脱がすと、濡れてぐっしょりとしている下着を私の顔の前に晒した。
「おい、まだ触ってねぇのに、っはぁ、こんなになってんぞ」
自分のもので濡れている下着に羞恥心で見ていられなくて目を瞑った。
全裸の自分に対して、それほど服を乱していない彼のそんな対照的な自分たちにも、もう既に泣きそうだった。
「目、開けろよ」
「や、だって恥ずかしい……!」
「っはぁ?」
「爆豪も服、脱いで……!」
ぎゅ、と爆豪の着ているTシャツを掴むと、一瞬瞠目すると上着とズボンを脱ぎ始めた。
目前に晒される爆豪の逞しい身体に顔が真っ赤に染まる。早くその腕で抱かれたい。そんな欲が私の身体を熱くする。
彼の下着の下にあるペニスは既に勃起しており、下着に染みを作っていた。
早くあれが欲しい。
与えられる快楽を知っている私は、それを見ただけで心臓が高鳴り息が自然と荒くなる。
物欲しそうな目に気付いたのか、舌舐めずりした彼は、その端正な顔を私の足の間に移動させた。ぐいっと左右に脚を開かれ、無防備に私の股間は彼の眼前に晒された。
「や、やだっ!みないでぇっ…!」
「っは、るせぇ、黙ってろ……っ!」
すぐに挿れんの我慢してやってんだ、と鋭い目が私を貫いた。そして口を開けたかと思うと、そこをぺろんと舐めとった。
「っんぁ!ひぃん!?」
ビリッとした刺激に思わず声を上げた。
上半身を僅かに持ち上げて自分の下半身を覗くと、赤い舌が何度も割れ目を舐めていた。ぴちゃぴちゃと卑猥な音が聞こえる。ビリビリとする刺激が気持ちいい。
それでも、恥ずかしさにいやいや、と首を振りながら彼の頭を力の入らない手で押した。ふわふわとウサギの耳の毛が擽ったい。
30 無名さん
チッ、と舌打ちが聞こえたかと思うと、彼は太ももを抑えながら、器用に親指で割れ目を拡げ始めた。
ぬるぬるとしたそこが拓かれ、赤く充血した陰核が現れた。そこを包み込む包皮をやさしく剥くと、無防備な薄桃色の先端が姿を現した。そこでふと爆豪くんの顔がこちらに向けられる。
「名字、1度イっとけ」
にっこりと悪魔のような笑顔をみせて彼は薄く口を開いた。嫌な予感がする。まって、やだ、やだ!そんなの舐められたらおかしくなっちゃうよ、やだ、むり!
思わずぎゅっと爆豪くんの髪を握ってしまった。そんな私の抵抗も虚しく、ゆっくりと爆豪くんの顔がそれに向かって近付く。与えられるであろう刺激の強さを想像して先端がずくずくと痛いくらいに疼く。どろりと粘液が垂れ流れる。
そして彼は薄く口を開いたまま、その先端を口に挟んだ。
「んぁあああああああ!やっ、ひぃいい!!!」
そして、ゆっくりと根元まで口の中に包み込むと、舌で優しく舐められた。チロチロと優しく舐めていたかと思うと、舌で押したり舐めたり吸ったり唇で挟んだり、彼の好きなようにめちゃくちゃに嬲られた。
「やっやめっ!ひゃあぅっ!あ!あーーーっ!あっ!もう!イ、んんんんん!も、やあっ!またっ!イくぅんんんんんっ!」
全身に衝撃がはしる。背筋に電流が走ったかのようにビリビリと駆け抜けると、頭の中が爆ぜた。
宙に浮いた足の痙攣が止まらない。頭が真っ白になり目の前がちかちかと何度も光る。
「あっあっあっあっ!!やめ、や、!あっ、あーーーっ!イッ、イってるからあ!!イって、んんんんんぅっ!!」
「うわ、すっげ。次々溢れ出てくんぞ」
止まらない強すぎる快楽に身を捩らせるが、未だ責めが続いている状況では全く意味がなかった。ぎゅっとシーツを握り込み、背を限界まで逸らす。
ぬるぬるとしたそこが拓かれ、赤く充血した陰核が現れた。そこを包み込む包皮をやさしく剥くと、無防備な薄桃色の先端が姿を現した。そこでふと爆豪くんの顔がこちらに向けられる。
「名字、1度イっとけ」
にっこりと悪魔のような笑顔をみせて彼は薄く口を開いた。嫌な予感がする。まって、やだ、やだ!そんなの舐められたらおかしくなっちゃうよ、やだ、むり!
思わずぎゅっと爆豪くんの髪を握ってしまった。そんな私の抵抗も虚しく、ゆっくりと爆豪くんの顔がそれに向かって近付く。与えられるであろう刺激の強さを想像して先端がずくずくと痛いくらいに疼く。どろりと粘液が垂れ流れる。
そして彼は薄く口を開いたまま、その先端を口に挟んだ。
「んぁあああああああ!やっ、ひぃいい!!!」
そして、ゆっくりと根元まで口の中に包み込むと、舌で優しく舐められた。チロチロと優しく舐めていたかと思うと、舌で押したり舐めたり吸ったり唇で挟んだり、彼の好きなようにめちゃくちゃに嬲られた。
「やっやめっ!ひゃあぅっ!あ!あーーーっ!あっ!もう!イ、んんんんん!も、やあっ!またっ!イくぅんんんんんっ!」
全身に衝撃がはしる。背筋に電流が走ったかのようにビリビリと駆け抜けると、頭の中が爆ぜた。
宙に浮いた足の痙攣が止まらない。頭が真っ白になり目の前がちかちかと何度も光る。
「あっあっあっあっ!!やめ、や、!あっ、あーーーっ!イッ、イってるからあ!!イって、んんんんんぅっ!!」
「うわ、すっげ。次々溢れ出てくんぞ」
止まらない強すぎる快楽に身を捩らせるが、未だ責めが続いている状況では全く意味がなかった。ぎゅっとシーツを握り込み、背を限界まで逸らす。
34 無名さん
「はっ、あぁあ!あっ!あっあっ!っやだ!もう、やなのぉっ!辛い!イってるの、辛いからぁっ!!」
何度も意識が飛ぶが、強すぎる快楽にまた意識が戻る。その繰り返しに唯ひたすら声をあげた。
がくがくと身体が震える。その快楽から逃げようと、もがいて退がろうとしたが、彼に腰をがっしりと抱きしめられ身動きすることも出来なくなってしまった。逃げた罰なのか、更に激しく先端を嬲ってきた。
「あっあっあっ!あーーーっ!や、んぁあああああ!!!」
もうやだ、辛い。逃げられない快楽がただひたすら辛い。でもきもちいい!奥の子宮が疼いて仕方がない。早く中に挿れてぐちゃぐちゃに突いて欲しい。もっと刺激がほしい!
その思いが通じたのか、舐っていた先端を歯を立てて噛み付いてきた。
「ーーーーーーーっ!!ーーっ!っひぅーーっ!」
声が出ない程の快楽がただただ苦しい。引き攣った声が口から漏れる。彼から与えられる暴力的な快楽を受け止め、はっはっはっと荒い息を吐き、何度もイき続けることしか出来なかった。
きもちい、きもちいい!ぐりぐりされるのもかまれるのもぜんぶすき!もっともっと、もっとして!きもちよすぎてあたまおかしくなる!でもだめ、やだ、つらい、もうイきたくないっ!
イきたくないのにイき続ける拷問のような快楽に涙が溢れる。頭の中が何度もバチバチとスパークする。ぷしゅっと何か吹き上がる音がしたが、そんなことはもうどうでも良い。ああ、きもちよすぎてしんじゃう!!!
「っそろそろ、っはぁ、俺もキツイ……」
ソコから顔が離された。やっと終わった執拗なまでの責めに、弛んだ身体を投げ出す。荒い呼吸が治らない。
真っ白になった頭に、彼の声が響く。なにか返事をしようとしてもそれは言葉にはならず、びくんびくんと跳ねる身体も制御できなかった。
いつの間に下着を脱いだのか、彼の亀頭を粘つくソコへ何回か擦り付けると、ゆっくりと掻き分けるように私の体内へ押し進めていった。
何度も意識が飛ぶが、強すぎる快楽にまた意識が戻る。その繰り返しに唯ひたすら声をあげた。
がくがくと身体が震える。その快楽から逃げようと、もがいて退がろうとしたが、彼に腰をがっしりと抱きしめられ身動きすることも出来なくなってしまった。逃げた罰なのか、更に激しく先端を嬲ってきた。
「あっあっあっ!あーーーっ!や、んぁあああああ!!!」
もうやだ、辛い。逃げられない快楽がただひたすら辛い。でもきもちいい!奥の子宮が疼いて仕方がない。早く中に挿れてぐちゃぐちゃに突いて欲しい。もっと刺激がほしい!
その思いが通じたのか、舐っていた先端を歯を立てて噛み付いてきた。
「ーーーーーーーっ!!ーーっ!っひぅーーっ!」
声が出ない程の快楽がただただ苦しい。引き攣った声が口から漏れる。彼から与えられる暴力的な快楽を受け止め、はっはっはっと荒い息を吐き、何度もイき続けることしか出来なかった。
きもちい、きもちいい!ぐりぐりされるのもかまれるのもぜんぶすき!もっともっと、もっとして!きもちよすぎてあたまおかしくなる!でもだめ、やだ、つらい、もうイきたくないっ!
イきたくないのにイき続ける拷問のような快楽に涙が溢れる。頭の中が何度もバチバチとスパークする。ぷしゅっと何か吹き上がる音がしたが、そんなことはもうどうでも良い。ああ、きもちよすぎてしんじゃう!!!
「っそろそろ、っはぁ、俺もキツイ……」
ソコから顔が離された。やっと終わった執拗なまでの責めに、弛んだ身体を投げ出す。荒い呼吸が治らない。
真っ白になった頭に、彼の声が響く。なにか返事をしようとしてもそれは言葉にはならず、びくんびくんと跳ねる身体も制御できなかった。
いつの間に下着を脱いだのか、彼の亀頭を粘つくソコへ何回か擦り付けると、ゆっくりと掻き分けるように私の体内へ押し進めていった。
37 無名さん
「っんぁ!」
散々与えられた快楽により降りてきた子宮の入り口に、彼の亀頭がコツンとあたり、思わず声をあげてしまった。ぎゅっと締め付けると、彼の体温がじんわりと暖かく感じられた。あー、気持ちい。
その気持ちの良さに恍惚とした表情で、うっとりと目を瞑った。
「何て顔してん、だっ!」
私の腰を掴むと、ゴツンッと奥を打つように亀頭を子宮に叩きつけた。
「いっ!?ぃぁああああッ!!やっ、やめっ、やぁっ!」
ガツンガツンと乱暴に、それでも的確に私の弱いところを掠めるような腰の動きに、ぐっと力を入れてしまった。
「ひぃあっ!?あっあっあっ!あーーっ!まっ、まって、や、やだっ!」
「っくっそ、っは、ッんな締め付けんな…ッ!」
ぎゅっと締め付けたことにより、余計に彼から与えられる暴力的な快感を感じてしまった。気持ちのいいところを抉られると、反射的に悲鳴をあげ背中を逸らした。その反動で頤が跳ね上がり、彼の眼前に無防備にも首筋を晒してしまった。
それを見た彼は凶暴的な顔付きになると、口を大きく開けて首筋に顔を埋めた。
「………痛った!い、いたい!やめ、痛いからぁっ!」
「っぐぅ、……っは」
千切れそうなほど私の首を噛む彼から逃げるように首を引くが、それを許さないように彼の逞しい腕が私の頭を掴んだ。髪を下に引っ張られ、更に彼へ首筋を晒す形になってしまった。何度も噛み付かれて首筋が痛むが、次第にその痛みさえも気持ちよく感じてきてしまった。
「も、やめて!噛まないで!やだ、やだぁっ!」
「あ?噛まれる度にココ気持ちよさそーに締め付けてんぞ」
嘘ついてんじゃねぇ、と性感帯を擦り上げた。その刺激にまた絶頂して悲鳴をあげた。
「てめぇイキすぎだろ。何度イってんだ、このクソ淫乱女がっ…!」
散々与えられた快楽により降りてきた子宮の入り口に、彼の亀頭がコツンとあたり、思わず声をあげてしまった。ぎゅっと締め付けると、彼の体温がじんわりと暖かく感じられた。あー、気持ちい。
その気持ちの良さに恍惚とした表情で、うっとりと目を瞑った。
「何て顔してん、だっ!」
私の腰を掴むと、ゴツンッと奥を打つように亀頭を子宮に叩きつけた。
「いっ!?ぃぁああああッ!!やっ、やめっ、やぁっ!」
ガツンガツンと乱暴に、それでも的確に私の弱いところを掠めるような腰の動きに、ぐっと力を入れてしまった。
「ひぃあっ!?あっあっあっ!あーーっ!まっ、まって、や、やだっ!」
「っくっそ、っは、ッんな締め付けんな…ッ!」
ぎゅっと締め付けたことにより、余計に彼から与えられる暴力的な快感を感じてしまった。気持ちのいいところを抉られると、反射的に悲鳴をあげ背中を逸らした。その反動で頤が跳ね上がり、彼の眼前に無防備にも首筋を晒してしまった。
それを見た彼は凶暴的な顔付きになると、口を大きく開けて首筋に顔を埋めた。
「………痛った!い、いたい!やめ、痛いからぁっ!」
「っぐぅ、……っは」
千切れそうなほど私の首を噛む彼から逃げるように首を引くが、それを許さないように彼の逞しい腕が私の頭を掴んだ。髪を下に引っ張られ、更に彼へ首筋を晒す形になってしまった。何度も噛み付かれて首筋が痛むが、次第にその痛みさえも気持ちよく感じてきてしまった。
「も、やめて!噛まないで!やだ、やだぁっ!」
「あ?噛まれる度にココ気持ちよさそーに締め付けてんぞ」
嘘ついてんじゃねぇ、と性感帯を擦り上げた。その刺激にまた絶頂して悲鳴をあげた。
「てめぇイキすぎだろ。何度イってんだ、このクソ淫乱女がっ…!」
39 無名さん
何度か中で擦り上げると、仰向けになっていた私の身体を反転させた。そして、うつ伏せになった私の腰を持ち上げると、そのまま脚を左右に開かれ、バックの体制を取らされた。思わず目の前にあった枕を握ってしまった。
また彼のそそり立ったペニスが私の体内にゆっくりと入ってきた。正常位とは違った場所に当たる感覚に唇を噛み締める。
「んっんんんんん!」
「口噛むな。声聞かせろ」
私の背中に覆い被さると、上下に揺れる胸を掴み、ぐにぐにと胸を嬲り始めた。ピンと勃つ乳首を捏ねたり摘んだり引っ張ったりするその刺激に、身体が勝手に反応してしまう。
はっはっ、と荒い息を吐き、彼から与えられる快楽に耐えようと枕に顔を押し付け、シーツを握った。
「っは、この体制良いな」
熱くて硬いペニスが中を掻き分けながらゴツンゴツンと奥を突き上げる。何度かそうしているうちに、ひくついた子宮口が彼の先端を呑み込んだ。今までに感じたことのないその刺激に子宮が痙攣した。
「っぁ!あ、あたってる、からぁ!子宮、あたってる!やめて、やだぁっ!」
「わざとっ、当ててん、だ…っ!」
彼は私の腰を掴むと、お腹側にある私の性感帯を抉りながら子宮まで一気に貫いた。子宮口に熱い先端がめり込むと、そこから与えられた刺激に思考が弾けた。
バチンバチンと頭の中が爆ぜ、目の前が白く霞む。何度も絶頂しては気絶し、目が醒めるほどの刺激で起きるとまた絶頂する。そのループで、もはや口からは言葉にならない喘ぎ声しか出てこなくなってしまった。
「あ゛ーーっ!!あ゛っ、あっー!!ぃひぃいいいーー!やらぁ、も、やらぁあっー!!」
「まだトぶなよっ…!」
その言葉とともに、私の隠れていた陰核を武骨な指でするりと撫で上げた。
「んん、んぁ!んんっ!あ゛ぁああああーーッ!あ゛ーーっ!んっ、んんんんん!!!」
また彼のそそり立ったペニスが私の体内にゆっくりと入ってきた。正常位とは違った場所に当たる感覚に唇を噛み締める。
「んっんんんんん!」
「口噛むな。声聞かせろ」
私の背中に覆い被さると、上下に揺れる胸を掴み、ぐにぐにと胸を嬲り始めた。ピンと勃つ乳首を捏ねたり摘んだり引っ張ったりするその刺激に、身体が勝手に反応してしまう。
はっはっ、と荒い息を吐き、彼から与えられる快楽に耐えようと枕に顔を押し付け、シーツを握った。
「っは、この体制良いな」
熱くて硬いペニスが中を掻き分けながらゴツンゴツンと奥を突き上げる。何度かそうしているうちに、ひくついた子宮口が彼の先端を呑み込んだ。今までに感じたことのないその刺激に子宮が痙攣した。
「っぁ!あ、あたってる、からぁ!子宮、あたってる!やめて、やだぁっ!」
「わざとっ、当ててん、だ…っ!」
彼は私の腰を掴むと、お腹側にある私の性感帯を抉りながら子宮まで一気に貫いた。子宮口に熱い先端がめり込むと、そこから与えられた刺激に思考が弾けた。
バチンバチンと頭の中が爆ぜ、目の前が白く霞む。何度も絶頂しては気絶し、目が醒めるほどの刺激で起きるとまた絶頂する。そのループで、もはや口からは言葉にならない喘ぎ声しか出てこなくなってしまった。
「あ゛ーーっ!!あ゛っ、あっー!!ぃひぃいいいーー!やらぁ、も、やらぁあっー!!」
「まだトぶなよっ…!」
その言葉とともに、私の隠れていた陰核を武骨な指でするりと撫で上げた。
「んん、んぁ!んんっ!あ゛ぁああああーーッ!あ゛ーーっ!んっ、んんんんん!!!」
40 無名さん
ゆるゆると撫でていた陰核を、不意にぎゅうっと潰すように摘ままれた瞬間、一瞬で私の思考を吹っ飛ばした。快感が迸り、何度も強制的に絶頂に追い込まれる。
容赦ない快楽から逃げようと握るシーツに力を入れて前に進もうとするが、それを見た彼は逃さないとでも言うように覆い被さると、がっしりと私の四肢を抱き込んだ。
少しも身動ぐことができなくなった事で、更に与えられる彼からの快楽に最早肩を低く下げ、枕に顔を押し付けるしか出来なかった。
「ぐぅうう!んっ、んんんんっ!んっんっん!」
「っオラ!へばってんじゃねぇ、クソ淫乱女!!」
「ひゃあんっ!?」
バシンッと尻を叩かれ、口から悲鳴が溢れた。腰を掴み、尻を高く持ち上げるとバシンバシンと何度も叩かれた。
「いっ、痛いっ!やだぁ!やめてぇっ!」
「嘘、ついてんじゃ、ねぇぞ!テメェの尻っ、叩く度に、締め付けて、っ離さねぇぞ!」
言葉を区切るごとに容赦なく叩かれた。叩かれる度にきゅっと尻に力が入って、中を擦るペニスがより感じられ、思わず喘ぎ声が溢れてしまった。
「んぁっ!やぁんっ!やっ!っぁ!あん!」
「テメェが被虐趣味のクソド淫乱女だったとはなぁ!!んなのが俺の!彼女かよ!」
「っ、ご、ごめんなひゃぃいいいいっ!いっ、いんらんでぇっ、ごめんなひゃいいっ!!でっ、でもきもちいぃのぉっーー!」
「……ックソが!」
私の胸と陰核を同時に摘むと、乱暴にぎゅっと力強く引っ張り上げた。
「あ゛ーーっ!!あ゛ぁぁあああああっ!!ごめ、なさぁっ!!んぁああああああっ!ぁああああっ!!やめ、しんじゃ、からぁっ!つま、まないでぇっーー!」
背中を逸らして頤が跳ね上がる。やめて、きもちよくて死んじゃいそう!頭おかしくなるからもうやめてーーっ!!
霞んだ頭ではやめて欲しいと懇願するが、身体は正直なのか、もっと快楽が欲しいと、自ら身体を前後させて尻を振った。そんな痴態を見下ろした彼は、また私の尻を叩いた。ヒリヒリと痛むが、それもだんだんと気持ちよくなっていく。
容赦ない快楽から逃げようと握るシーツに力を入れて前に進もうとするが、それを見た彼は逃さないとでも言うように覆い被さると、がっしりと私の四肢を抱き込んだ。
少しも身動ぐことができなくなった事で、更に与えられる彼からの快楽に最早肩を低く下げ、枕に顔を押し付けるしか出来なかった。
「ぐぅうう!んっ、んんんんっ!んっんっん!」
「っオラ!へばってんじゃねぇ、クソ淫乱女!!」
「ひゃあんっ!?」
バシンッと尻を叩かれ、口から悲鳴が溢れた。腰を掴み、尻を高く持ち上げるとバシンバシンと何度も叩かれた。
「いっ、痛いっ!やだぁ!やめてぇっ!」
「嘘、ついてんじゃ、ねぇぞ!テメェの尻っ、叩く度に、締め付けて、っ離さねぇぞ!」
言葉を区切るごとに容赦なく叩かれた。叩かれる度にきゅっと尻に力が入って、中を擦るペニスがより感じられ、思わず喘ぎ声が溢れてしまった。
「んぁっ!やぁんっ!やっ!っぁ!あん!」
「テメェが被虐趣味のクソド淫乱女だったとはなぁ!!んなのが俺の!彼女かよ!」
「っ、ご、ごめんなひゃぃいいいいっ!いっ、いんらんでぇっ、ごめんなひゃいいっ!!でっ、でもきもちいぃのぉっーー!」
「……ックソが!」
私の胸と陰核を同時に摘むと、乱暴にぎゅっと力強く引っ張り上げた。
「あ゛ーーっ!!あ゛ぁぁあああああっ!!ごめ、なさぁっ!!んぁああああああっ!ぁああああっ!!やめ、しんじゃ、からぁっ!つま、まないでぇっーー!」
背中を逸らして頤が跳ね上がる。やめて、きもちよくて死んじゃいそう!頭おかしくなるからもうやめてーーっ!!
霞んだ頭ではやめて欲しいと懇願するが、身体は正直なのか、もっと快楽が欲しいと、自ら身体を前後させて尻を振った。そんな痴態を見下ろした彼は、また私の尻を叩いた。ヒリヒリと痛むが、それもだんだんと気持ちよくなっていく。
41 無名さん
自分の良いところを尻や腰を動かして擦り上げる。顔を枕に押し付けて彼から与えられる快楽に酔い痴れた。
「っはあ、イきそ……ッ、」
抜き差しのスピードが徐々に早くなり激しくなり、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が部屋に響く。それに伴い、身体の奥底からくる大きな波に息が詰まった。
「っぁ、名前、イくぞ……っ!」
追い討ちをかけるようにして先端が子宮を突くと、つま先から頭まで強すぎる衝撃が走った。
「っああ゛ぁああーーっ!あ゛ぁーーっ!」
容赦ない快楽の波に絶頂が止まらない。ぱぁん、と破裂するような音が脳内に何度も響き渡る。強烈な快楽の波にはくはくと口を戦慄かせた。がくがくと身体を震わせて、真っ白に染まる頭で私の中で果てた熱を感じた。
「名前っ、名前、好きだ、名前……」
「ぁあっ、っは、はぁ、っはぁ……っ!」
ぬぷ、と音を立てて抜かれると、身体を支えられず、そのまま横に倒れこんだ。目尻から涙が溢れる。
なにも考えられなくなった私は、こちらを見下ろす彼を口を半開きにして見つめることしかできなかった。意思とは関係なしに勝手に身体がびくんびくんと跳ねる。
ゴムを外し、口を縛る様子を見て、この地獄から解放される、と息を吐いた。しかし、そんな私の様子を見た彼は、私のベッドチェストからゴムを取り出すと、まだ硬くそそり立つペニスに被せた。
嘘でしょ……?
はあはあと荒い呼吸をする私を無視して、私の身体へ手を伸ばした。ぐいっと上半身を抱き上げられ、ベッドに座っている彼の太ももの上を跨ぐように座らされた。
「んぁああああああ!!!ふっ、深いぃい!ぁっあっあっきもち、これ気持ちいッーーー!」
「はっ…、ココがイイんだよ、なっ!」
腰を掴まれ、容赦なく下から突き上げお腹側にある私の性感帯を抉った。
「きっひぃああああぁ!!!あ゛ああーーーっ!あ゛ーーーっ!!あ゛ぁーーーっ!」
あまりの快感に後ろに倒れそうになる身体を彼に支えられながら、何度もピンポイントにそこだけを貫かれた。
閉じた瞼の裏側に何度もバチバチとスパークが弾ける。言葉にならない声で悲鳴をあげながら投げ出された脚をピンと攣って絶頂した。
「っはあ、イきそ……ッ、」
抜き差しのスピードが徐々に早くなり激しくなり、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が部屋に響く。それに伴い、身体の奥底からくる大きな波に息が詰まった。
「っぁ、名前、イくぞ……っ!」
追い討ちをかけるようにして先端が子宮を突くと、つま先から頭まで強すぎる衝撃が走った。
「っああ゛ぁああーーっ!あ゛ぁーーっ!」
容赦ない快楽の波に絶頂が止まらない。ぱぁん、と破裂するような音が脳内に何度も響き渡る。強烈な快楽の波にはくはくと口を戦慄かせた。がくがくと身体を震わせて、真っ白に染まる頭で私の中で果てた熱を感じた。
「名前っ、名前、好きだ、名前……」
「ぁあっ、っは、はぁ、っはぁ……っ!」
ぬぷ、と音を立てて抜かれると、身体を支えられず、そのまま横に倒れこんだ。目尻から涙が溢れる。
なにも考えられなくなった私は、こちらを見下ろす彼を口を半開きにして見つめることしかできなかった。意思とは関係なしに勝手に身体がびくんびくんと跳ねる。
ゴムを外し、口を縛る様子を見て、この地獄から解放される、と息を吐いた。しかし、そんな私の様子を見た彼は、私のベッドチェストからゴムを取り出すと、まだ硬くそそり立つペニスに被せた。
嘘でしょ……?
はあはあと荒い呼吸をする私を無視して、私の身体へ手を伸ばした。ぐいっと上半身を抱き上げられ、ベッドに座っている彼の太ももの上を跨ぐように座らされた。
「んぁああああああ!!!ふっ、深いぃい!ぁっあっあっきもち、これ気持ちいッーーー!」
「はっ…、ココがイイんだよ、なっ!」
腰を掴まれ、容赦なく下から突き上げお腹側にある私の性感帯を抉った。
「きっひぃああああぁ!!!あ゛ああーーーっ!あ゛ーーーっ!!あ゛ぁーーーっ!」
あまりの快感に後ろに倒れそうになる身体を彼に支えられながら、何度もピンポイントにそこだけを貫かれた。
閉じた瞼の裏側に何度もバチバチとスパークが弾ける。言葉にならない声で悲鳴をあげながら投げ出された脚をピンと攣って絶頂した。
42 無名さん
止まらない絶頂に思考が止まる。唯ひたすら与えられる快楽を受け止め、口から涎を垂らしながら喘いだ。
「はっ、名前…っ!名前……ッ!」
「んっ、ばく、っちゅ、ごっ……ちゅ、っぁ」
ぎゅっと抱きしめ何度も名前を呼ぶと、私の顎を掴んでキスをした。下唇を舐められたのを合図に、小さく口を開くと彼の舌が強引に割って入ってきた。
「んんんっ、っあ、んっ、んんっ!」
歯列をなぞり、舌を扱くように絡ませると、私の上顎をねっとりと舐った。
誰のかも分からない唾液が口から溢れ流れる。時たま腔内にたまった唾液をこくんこくん、と飲み込む。
閉じていた目を薄っすらと開けると、彼も目を開けていたのか、欲情に濡れた赤い目が合った。
「名前、好きだ」
起き上がっていた上半身をベッドに縫い付けると、子宮まで届くくらいに深く繋げ、激しく腰を振った。
「ばくごっ、んっ!」
彼の名前を呼ぼうとすると、それを遮るように唇を塞がれてしまった。顔を少し離すと、違ぇ、と耳を噛んだ。
「俺の、名前を呼べ…っ!」
耳元で彼の余裕のない掠れた声が響く。言われたことに一瞬呆けたが、それを理解した瞬間繋がっているところに思わずぎゅっと力が入ってしまった。
「っ勝己…!勝己、かつきぃ、すき……ッ!」
「……ッ名前!っは、ぁ、名前、愛してる」
大きく何度か腰を動かし、ぐっと子宮を打つと、そのまま彼の熱を放った。彼の熱を感じながら私も絶頂した。彼の陰茎が収縮を繰り返す度に私の性感帯を抉り、口から悲鳴が溢れる。
「も、やだっ、もう無理ぃ……!」
半開きになった口から涎がだらだらと溢れる。
ぐちゃぐちゃと音を立てながら出ていく彼の熱を感じると、そのまま四肢を投げ出した。
ああ、気持ちよかった。
ゴムを捨てた彼は、私に目を向けた。
「はっ、名前…っ!名前……ッ!」
「んっ、ばく、っちゅ、ごっ……ちゅ、っぁ」
ぎゅっと抱きしめ何度も名前を呼ぶと、私の顎を掴んでキスをした。下唇を舐められたのを合図に、小さく口を開くと彼の舌が強引に割って入ってきた。
「んんんっ、っあ、んっ、んんっ!」
歯列をなぞり、舌を扱くように絡ませると、私の上顎をねっとりと舐った。
誰のかも分からない唾液が口から溢れ流れる。時たま腔内にたまった唾液をこくんこくん、と飲み込む。
閉じていた目を薄っすらと開けると、彼も目を開けていたのか、欲情に濡れた赤い目が合った。
「名前、好きだ」
起き上がっていた上半身をベッドに縫い付けると、子宮まで届くくらいに深く繋げ、激しく腰を振った。
「ばくごっ、んっ!」
彼の名前を呼ぼうとすると、それを遮るように唇を塞がれてしまった。顔を少し離すと、違ぇ、と耳を噛んだ。
「俺の、名前を呼べ…っ!」
耳元で彼の余裕のない掠れた声が響く。言われたことに一瞬呆けたが、それを理解した瞬間繋がっているところに思わずぎゅっと力が入ってしまった。
「っ勝己…!勝己、かつきぃ、すき……ッ!」
「……ッ名前!っは、ぁ、名前、愛してる」
大きく何度か腰を動かし、ぐっと子宮を打つと、そのまま彼の熱を放った。彼の熱を感じながら私も絶頂した。彼の陰茎が収縮を繰り返す度に私の性感帯を抉り、口から悲鳴が溢れる。
「も、やだっ、もう無理ぃ……!」
半開きになった口から涎がだらだらと溢れる。
ぐちゃぐちゃと音を立てながら出ていく彼の熱を感じると、そのまま四肢を投げ出した。
ああ、気持ちよかった。
ゴムを捨てた彼は、私に目を向けた。
43 無名さん
「……名前。……まだだ。まだ治んねぇ」
眼球だけ動かして彼を見ると、彼の言う通り、まだ熱が治っていないのか、臍に付きそうなほど勃っていた。
私の弛む身体を抱き起こすと、半開きになった口に無理矢理突っ込んだ。口の中に苦く青臭い味が広がり、その大きさにもおえ、と嘔吐いた。
「名前。……もう少し、付き合え」
その死刑宣告に、私は気が遠くなった。
*
「もうしばらくしない」
やっと終わった地獄に、2人でベッドに寝転んだ。ガンガン痛む頭を手で抑えながら、掠れた声で訴えた。
「だから個性のせいだっつってんだろ。……しっかしまぁ、1日中ヤり続けるとか。あのオッサンの個性、頭可笑しいんじゃねぇのか?」
「もう2度と他の人の個性にかかんないで」
「……わぁーってるわ」
ぎゅっと私を抱きしめると、唇に啄ばむような口付けを落とし小さく好きだ、と囁いた。それに対して私も好き、と返してから目を瞑った。
もう一度口付けをされると、彼からおやすみ、という声がしたので、眠気で回らない口でもごもごとおやすみ、と呟いた。
眼球だけ動かして彼を見ると、彼の言う通り、まだ熱が治っていないのか、臍に付きそうなほど勃っていた。
私の弛む身体を抱き起こすと、半開きになった口に無理矢理突っ込んだ。口の中に苦く青臭い味が広がり、その大きさにもおえ、と嘔吐いた。
「名前。……もう少し、付き合え」
その死刑宣告に、私は気が遠くなった。
*
「もうしばらくしない」
やっと終わった地獄に、2人でベッドに寝転んだ。ガンガン痛む頭を手で抑えながら、掠れた声で訴えた。
「だから個性のせいだっつってんだろ。……しっかしまぁ、1日中ヤり続けるとか。あのオッサンの個性、頭可笑しいんじゃねぇのか?」
「もう2度と他の人の個性にかかんないで」
「……わぁーってるわ」
ぎゅっと私を抱きしめると、唇に啄ばむような口付けを落とし小さく好きだ、と囁いた。それに対して私も好き、と返してから目を瞑った。
もう一度口付けをされると、彼からおやすみ、という声がしたので、眠気で回らない口でもごもごとおやすみ、と呟いた。
54 無名さん
「こんな時間に悪いなー!だがお前なら起きてると思ったぜ!さすが闇夜を照らすフラッシュ・ガールだな!」
「……こんばんは山田さん、そしてさようなら」
「待て待て!!」
玄関先で豪快に笑う山田さんの姿に反射的に扉を閉めようとすれば、足を挟まれて阻止されてしまう。思わず舌打ちが出た。
「HAHAHA!足が長くてまいったぜこりゃー!」
「本当に何なんですかこんな時間に……ッ!嫌ですよ無理ですよ私今録り溜めてた海外ドラマ観てるんです。あと山田さん声でかいのでもう少し小声で喋って下さい、近所迷惑です。つーかこんな時間にアポなしで女の部屋に来るの止めて下さいってこれ言うの何度目だと思ってるんですか……!」
「こいつぁシヴィーーーーぜ!!仮にも俺先輩だろ、もっと優しくしろよ!それにまだ何も言ってねえじゃねえか!」
「たしかにヒーローの先輩としては尊敬してますけど、この時間に山田さんがうちへ来る時は何かしらの厄介事を抱えてるって嫌というほど思い知ってるんですよ……!なのでお引取り下さい」
「オーケーオーケー!次から気を付ける!だから今はとりあえず話だけでも聞いて!」
そう言うと山田さんは片足ぶんしか開いてなかった扉を力づくで開放させて、強引に玄関内へ踏み込んだ。
「ちょっと!?誰も話を聞くだなんて言ってな…………え?」
山田さんに肩を抱かれて現れたのは、山田さんと同じく先輩ヒーローであるイレイザー・ヘッドだった。
イレイザー・ヘッドはぐったりと項垂れて、すだれのように垂れ下がった黒髪の隙間からたまに唸り声をあげており、明らかに普通の状態ではない。
「イ、イレイザー・ヘッド!?こんなになるだなんて一体どうしたんですか!?もしや敵にやられたんですか……って、くさッ!?酒くっさ!!!」
「いやー、さすがのイレイザー・ヘッドも数ヶ月ぶりに飲んだ酒には敵わなかったみたいだな!てかぶっちゃけ飲ませすぎた!HAHAHA」
「HAHAHAじゃないでしょーよ!」
「……こんばんは山田さん、そしてさようなら」
「待て待て!!」
玄関先で豪快に笑う山田さんの姿に反射的に扉を閉めようとすれば、足を挟まれて阻止されてしまう。思わず舌打ちが出た。
「HAHAHA!足が長くてまいったぜこりゃー!」
「本当に何なんですかこんな時間に……ッ!嫌ですよ無理ですよ私今録り溜めてた海外ドラマ観てるんです。あと山田さん声でかいのでもう少し小声で喋って下さい、近所迷惑です。つーかこんな時間にアポなしで女の部屋に来るの止めて下さいってこれ言うの何度目だと思ってるんですか……!」
「こいつぁシヴィーーーーぜ!!仮にも俺先輩だろ、もっと優しくしろよ!それにまだ何も言ってねえじゃねえか!」
「たしかにヒーローの先輩としては尊敬してますけど、この時間に山田さんがうちへ来る時は何かしらの厄介事を抱えてるって嫌というほど思い知ってるんですよ……!なのでお引取り下さい」
「オーケーオーケー!次から気を付ける!だから今はとりあえず話だけでも聞いて!」
そう言うと山田さんは片足ぶんしか開いてなかった扉を力づくで開放させて、強引に玄関内へ踏み込んだ。
「ちょっと!?誰も話を聞くだなんて言ってな…………え?」
山田さんに肩を抱かれて現れたのは、山田さんと同じく先輩ヒーローであるイレイザー・ヘッドだった。
イレイザー・ヘッドはぐったりと項垂れて、すだれのように垂れ下がった黒髪の隙間からたまに唸り声をあげており、明らかに普通の状態ではない。
「イ、イレイザー・ヘッド!?こんなになるだなんて一体どうしたんですか!?もしや敵にやられたんですか……って、くさッ!?酒くっさ!!!」
「いやー、さすがのイレイザー・ヘッドも数ヶ月ぶりに飲んだ酒には敵わなかったみたいだな!てかぶっちゃけ飲ませすぎた!HAHAHA」
「HAHAHAじゃないでしょーよ!」
55 無名さん
ただの飲み過ぎかよ!
心配して損した、と内心安堵しつつ、イレイザー・ヘッドの身体を支えながら床へ座らせる。
ぐったりとした彼の姿に、あのイレイザー・ヘッドがこんなになるまで飲むだなんて珍しいこともあるもんだ、と意外だった。
山田さんに誘われて何度か一緒に飲んだことがあるけど、自分の限度を知っている飲み方をしていたし、そもそもいくら飲んでも顔色一つ変えない強者だったので、てっきりザルかと思っていた。
そんな思いをつい口に出せば、山田さんは「こいつにだって潰れるくらい飲みたくなる時があるんだろ」と、満面の笑みで返される。いや笑えねえよ。
「ど、どうするんですかこの状況……」
ニヤリと笑う山田さんに、嫌な予感がする。
「よろしく頼んだぜなまえ!」
「無理です」
ホワィ?なんて両手を広げる山田さんに殺意しか浮かばない。
「あったり前だろうが……!!いい加減にぶん殴りますよアンタ……!!!」
「ヒュー!クレイジーな性格が垣間見えてるぜなまえ!」
「茶化すのもいい加減にして下さい……!アンタらいい歳した大人でしょうが!潰れるまで飲むって学生じゃないんだから……!自分のケツくらい自分で拭いて下さい!」
「歳下に説教されるとはなかなかヘヴィーだな。まぁそう言ってやるなよ。こいつ普段は理屈でモノ考えてる分、感情の赴くままに行動することができねえ、ってかしねえ野郎だからな。たまには何も考えずに突っ走るってのもいいんじゃねえかと焚きつけてやったわけ。結果これよ!HAHAHA」
「だからHAHAHAじゃねーよ!」
心配して損した、と内心安堵しつつ、イレイザー・ヘッドの身体を支えながら床へ座らせる。
ぐったりとした彼の姿に、あのイレイザー・ヘッドがこんなになるまで飲むだなんて珍しいこともあるもんだ、と意外だった。
山田さんに誘われて何度か一緒に飲んだことがあるけど、自分の限度を知っている飲み方をしていたし、そもそもいくら飲んでも顔色一つ変えない強者だったので、てっきりザルかと思っていた。
そんな思いをつい口に出せば、山田さんは「こいつにだって潰れるくらい飲みたくなる時があるんだろ」と、満面の笑みで返される。いや笑えねえよ。
「ど、どうするんですかこの状況……」
ニヤリと笑う山田さんに、嫌な予感がする。
「よろしく頼んだぜなまえ!」
「無理です」
ホワィ?なんて両手を広げる山田さんに殺意しか浮かばない。
「あったり前だろうが……!!いい加減にぶん殴りますよアンタ……!!!」
「ヒュー!クレイジーな性格が垣間見えてるぜなまえ!」
「茶化すのもいい加減にして下さい……!アンタらいい歳した大人でしょうが!潰れるまで飲むって学生じゃないんだから……!自分のケツくらい自分で拭いて下さい!」
「歳下に説教されるとはなかなかヘヴィーだな。まぁそう言ってやるなよ。こいつ普段は理屈でモノ考えてる分、感情の赴くままに行動することができねえ、ってかしねえ野郎だからな。たまには何も考えずに突っ走るってのもいいんじゃねえかと焚きつけてやったわけ。結果これよ!HAHAHA」
「だからHAHAHAじゃねーよ!」
56 無名さん
原因アンタじゃねーか!
頭痛がしてきた……。
具合が悪そうなイレイザー・ヘッドを余所に、山田さんは「今度飯奢ってやるから!」と悪びれもなく放ち、家を出て行こうとする。
「ちょちょちょ!本当に無理ですダメですってば……!理由は山田さんだって知ってるでしょう!?」
何が悲しくて泥酔した想い人の介抱をしなければならないんだ、と目で訴えても山田さんはペースを崩さない。それどころか、どこかでこの状況を楽しんでいる様子がうかがい知れた。
「けど今から他の女のところに担ぎ込んでもなあ。もう2時前だし迷惑だろ」
「そうだよクソ迷惑だよ!!てかなんで選択肢が女しかいないんですか……!山田さんちに連れて帰ればいいだけの話でしょう!?」
「俺は明日朝から音楽イベントのMCの仕事が入ってるから無理だ!」
「自分が無理なことを人に押し付けないで下さい!」
長い長い溜め息が出た。
こうなった山田さんが譲らないことは嫌というほど知っている。
ちくしょう、ご飯奢ってもらう時はめちゃくちゃ高いお店を選んでやるんだから。
山田さんは「頼んだぜなまえー!」というセリフとイレイザー・ヘッドを残して、深夜2時とは思えないテンションで帰って行ったのだった。
玄関でぐったり項垂れているイレイザー・ヘッドに再び溜め息しつつ、そっと肩を揺さぶった。
「大丈夫ですか?しっかりして下さいイレイザー・ヘッド。とりあえずベッドまで運びますね」
「…………悪い」
頭痛がしてきた……。
具合が悪そうなイレイザー・ヘッドを余所に、山田さんは「今度飯奢ってやるから!」と悪びれもなく放ち、家を出て行こうとする。
「ちょちょちょ!本当に無理ですダメですってば……!理由は山田さんだって知ってるでしょう!?」
何が悲しくて泥酔した想い人の介抱をしなければならないんだ、と目で訴えても山田さんはペースを崩さない。それどころか、どこかでこの状況を楽しんでいる様子がうかがい知れた。
「けど今から他の女のところに担ぎ込んでもなあ。もう2時前だし迷惑だろ」
「そうだよクソ迷惑だよ!!てかなんで選択肢が女しかいないんですか……!山田さんちに連れて帰ればいいだけの話でしょう!?」
「俺は明日朝から音楽イベントのMCの仕事が入ってるから無理だ!」
「自分が無理なことを人に押し付けないで下さい!」
長い長い溜め息が出た。
こうなった山田さんが譲らないことは嫌というほど知っている。
ちくしょう、ご飯奢ってもらう時はめちゃくちゃ高いお店を選んでやるんだから。
山田さんは「頼んだぜなまえー!」というセリフとイレイザー・ヘッドを残して、深夜2時とは思えないテンションで帰って行ったのだった。
玄関でぐったり項垂れているイレイザー・ヘッドに再び溜め息しつつ、そっと肩を揺さぶった。
「大丈夫ですか?しっかりして下さいイレイザー・ヘッド。とりあえずベッドまで運びますね」
「…………悪い」
58 無名さん
あ、意識ははっきりしてるんだ。
そのことに安堵しつつ、相変わらず具合の悪そうなイレイザー・ヘッドの肩を担いで移動する。
とりあえず今夜は彼にベッドを貸して、私はソファーで寝るとしよう。
細身とはいえ筋肉のついた長身の成人男性を運ぶのは案外骨の折れる作業だった。四苦八苦しながら辿り着いたベッドの上にイレイザー・ヘッドを転がり落とせば、達成感から息が漏れた。
「今夜はそこ使って下さい。お水持って来ますね。あと何か欲しいものがあればコンビニ行ってきますけど」
「……いや、いい……。それよりも、お前に訊きてえことがある」
「え?」
怪訝さからベッドに仰向けになるイレイザー・ヘッドに身を寄せれば、突如襲いかかった衝撃と共に腕を引かれて、気付けば彼の胸元へ抱き寄せられていた。
「……!?」
「なんであいつのことは名前で呼ぶのに、俺のことは頑なにヒーロー名でしか呼ばない?」
「……はい?」
咄嗟に見たイレイザー・ヘッドの瞳は、普段よりも一層気怠さを纏って見えた。
っていうか近い近い近い近い。無理、この状況ほんと無理。心臓の音が伝わっちゃう。
「あのっ、何を言っているか全然分からないんですけど、とりあえず離してもらえませんか」
「全然分からない?……ああ、そうか、それもそうだな。そもそも何故俺はここにいる?マイクと飲んでたはずだが……まぁいいか」
「自己完結するのはいいですけどね!?とりあえず離しませんか!?」
掴まれていた腕を離されて安心したのも束の間、ぐるりと視界が反転した。
私を見下ろす気怠い瞳に、私を取り巻くすべての時間が止まった。
「……こうなりゃ既成事実を作るほうが合理的だ」
な に が ?
そのことに安堵しつつ、相変わらず具合の悪そうなイレイザー・ヘッドの肩を担いで移動する。
とりあえず今夜は彼にベッドを貸して、私はソファーで寝るとしよう。
細身とはいえ筋肉のついた長身の成人男性を運ぶのは案外骨の折れる作業だった。四苦八苦しながら辿り着いたベッドの上にイレイザー・ヘッドを転がり落とせば、達成感から息が漏れた。
「今夜はそこ使って下さい。お水持って来ますね。あと何か欲しいものがあればコンビニ行ってきますけど」
「……いや、いい……。それよりも、お前に訊きてえことがある」
「え?」
怪訝さからベッドに仰向けになるイレイザー・ヘッドに身を寄せれば、突如襲いかかった衝撃と共に腕を引かれて、気付けば彼の胸元へ抱き寄せられていた。
「……!?」
「なんであいつのことは名前で呼ぶのに、俺のことは頑なにヒーロー名でしか呼ばない?」
「……はい?」
咄嗟に見たイレイザー・ヘッドの瞳は、普段よりも一層気怠さを纏って見えた。
っていうか近い近い近い近い。無理、この状況ほんと無理。心臓の音が伝わっちゃう。
「あのっ、何を言っているか全然分からないんですけど、とりあえず離してもらえませんか」
「全然分からない?……ああ、そうか、それもそうだな。そもそも何故俺はここにいる?マイクと飲んでたはずだが……まぁいいか」
「自己完結するのはいいですけどね!?とりあえず離しませんか!?」
掴まれていた腕を離されて安心したのも束の間、ぐるりと視界が反転した。
私を見下ろす気怠い瞳に、私を取り巻くすべての時間が止まった。
「……こうなりゃ既成事実を作るほうが合理的だ」
な に が ?
59 無名さん
な、何を言っているのか分からねーと思うが私も以下略。まだ酔っ払っているのかこの人……というか合理的って何だっけ?もう合理的がどんな意味を持っているのかすら分からなくなってきたぞ……!?
わなわなと混乱に震える私を見下ろしたまま、イレイザー・ヘッドは前髪を掻き上げる仕草をする。不覚にも心臓が速度をあげた。だめだ、このままじゃ雰囲気に呑まれてしまう。
現状打破のためにまず浮かんだ案は個性を使用することだけど、強烈な光を出すという私の個性をこの距離で使ってしまえば最悪イレイザー・ヘッドを失明させてしまう恐れがあるし、そもそも個性を消されてしまったら意味がない。
かといって肉弾戦は避けたいところだ。男女の差は然り、対敵との戦闘を繰り返してきたイレイザー・ヘッドと人命救助をメインに活動している私とじゃ、どちらに利があるかは考えるまでもないだろう。
……って、あれ?これ、現状打破できないね……?
絶望に打ちひしがれていると、不意にイレイザー・ヘッドの無骨な手が私の顎に触れた。
「なまえ」
おもむろに距離を詰める彼に、私は身を固くしたまま何も出来なかった。
思わず両目を閉じれば、視覚を失った中でそっと唇に柔らかな感触と熱、そしてアルコールの匂いを感じた。
初めは押し付けるだけだったそれも、次第についばむようなものへと変わり、しまいには割り込まれた舌先によって口内をねっとりと犯される。
時折聞こえる低い吐息に、興奮を抱かずにはいられなかった。
気付いた時には、彼に応えるようにして私も同じようにキスを繰り返していた。
あのイレイザー・ヘッドとキスをしているだなんて、こんな日が来るなんて想像したこともなかった。夢だと思いたい気持ちとは裏腹に、口元に触れるイレイザー・ヘッドの無精髭がやけに現実味を帯びて私をくすぐった。
どれくらいの間そうしていただろう。頭がくらくらする。私の顎に触れていた指先は輪郭をなぞるように移動していき、愛しむような手つきで優しく髪を撫でる。とても心地良い。この頃には私の理性なんてものはなくなっていたのかもしれない。甘いお菓子を与えられた子どものように、彼とのキスに夢中だった。
わなわなと混乱に震える私を見下ろしたまま、イレイザー・ヘッドは前髪を掻き上げる仕草をする。不覚にも心臓が速度をあげた。だめだ、このままじゃ雰囲気に呑まれてしまう。
現状打破のためにまず浮かんだ案は個性を使用することだけど、強烈な光を出すという私の個性をこの距離で使ってしまえば最悪イレイザー・ヘッドを失明させてしまう恐れがあるし、そもそも個性を消されてしまったら意味がない。
かといって肉弾戦は避けたいところだ。男女の差は然り、対敵との戦闘を繰り返してきたイレイザー・ヘッドと人命救助をメインに活動している私とじゃ、どちらに利があるかは考えるまでもないだろう。
……って、あれ?これ、現状打破できないね……?
絶望に打ちひしがれていると、不意にイレイザー・ヘッドの無骨な手が私の顎に触れた。
「なまえ」
おもむろに距離を詰める彼に、私は身を固くしたまま何も出来なかった。
思わず両目を閉じれば、視覚を失った中でそっと唇に柔らかな感触と熱、そしてアルコールの匂いを感じた。
初めは押し付けるだけだったそれも、次第についばむようなものへと変わり、しまいには割り込まれた舌先によって口内をねっとりと犯される。
時折聞こえる低い吐息に、興奮を抱かずにはいられなかった。
気付いた時には、彼に応えるようにして私も同じようにキスを繰り返していた。
あのイレイザー・ヘッドとキスをしているだなんて、こんな日が来るなんて想像したこともなかった。夢だと思いたい気持ちとは裏腹に、口元に触れるイレイザー・ヘッドの無精髭がやけに現実味を帯びて私をくすぐった。
どれくらいの間そうしていただろう。頭がくらくらする。私の顎に触れていた指先は輪郭をなぞるように移動していき、愛しむような手つきで優しく髪を撫でる。とても心地良い。この頃には私の理性なんてものはなくなっていたのかもしれない。甘いお菓子を与えられた子どものように、彼とのキスに夢中だった。
60 無名さん
髪を撫でているものとは逆の手が、そっと脇腹を撫でる。隙間から服の中へ侵入し、肌の上を滑らせながら上へ上へと移動していく。
その間もキスによって唇は塞がれていて、肌を撫でる指先の感覚に声を漏らすこともできず、くぐもった音色だけが鼻を抜けていった。
胸元へ辿り着いた手は不意に背中へ回り、流れるような手つきでブラを外された。
な、慣れてる!?いや、慣れてなさすぎるのも嫌だけど……。
そんなショックを受けたのも一瞬で、あっという間に身ぐるみを剥がされて上半身を晒されてしまう。
胸を揉みしだく無骨な手のひらは、普段敵を拘束する時の乱暴な仕草とは程遠いとても優しいもので戸惑った。
いつの間にか唇は離されていて、今度は耳元から首筋にかけてを執拗に舌が這った。耳元から首筋、そして更に下へと移動していき、ついには胸元の先端まで。
舌先でなぞられたり、強弱をつけて吸われたり、優しく扱われていたかと思えば軽く歯をたてられたり。ただでさえ敏感な部分を翻弄されて、もう限界だった。
「っは、あっ……イ、イレイザー・ヘッド……!こ、これ以上はもう……!」
顔を上げたイレイザー・ヘッドは、相変わらず気怠げな瞳でこちらを見つめてくる。
思わず顔を背けたくなったけど、有無を言わせない視線がそれを許してくれなかった。
「……この歳にもなると頭で考えることが染みついちまってな。ずる賢い大人になったもんだよ。だからこそ惹かれたってのもあるんだろうな」
「……な、何を言っているんですか……」
「単刀直入に言う。俺はお前を抱きたい」
「っ!?」
「だが、お前が嫌ならこれ以上は止めておく」
熱くなる私とは対照的に、イレイザー・ヘッドは普段と変わらない様子でそう言った。
「ほ、本当にずるいですよ……!こんな状況で……」
「だろうな。……で、どうする?」
襲いかかる羞恥心から思わずきつく目を瞑った。
そのセリフを吐き出す時、心臓が大きく震えるのが分かった。
その間もキスによって唇は塞がれていて、肌を撫でる指先の感覚に声を漏らすこともできず、くぐもった音色だけが鼻を抜けていった。
胸元へ辿り着いた手は不意に背中へ回り、流れるような手つきでブラを外された。
な、慣れてる!?いや、慣れてなさすぎるのも嫌だけど……。
そんなショックを受けたのも一瞬で、あっという間に身ぐるみを剥がされて上半身を晒されてしまう。
胸を揉みしだく無骨な手のひらは、普段敵を拘束する時の乱暴な仕草とは程遠いとても優しいもので戸惑った。
いつの間にか唇は離されていて、今度は耳元から首筋にかけてを執拗に舌が這った。耳元から首筋、そして更に下へと移動していき、ついには胸元の先端まで。
舌先でなぞられたり、強弱をつけて吸われたり、優しく扱われていたかと思えば軽く歯をたてられたり。ただでさえ敏感な部分を翻弄されて、もう限界だった。
「っは、あっ……イ、イレイザー・ヘッド……!こ、これ以上はもう……!」
顔を上げたイレイザー・ヘッドは、相変わらず気怠げな瞳でこちらを見つめてくる。
思わず顔を背けたくなったけど、有無を言わせない視線がそれを許してくれなかった。
「……この歳にもなると頭で考えることが染みついちまってな。ずる賢い大人になったもんだよ。だからこそ惹かれたってのもあるんだろうな」
「……な、何を言っているんですか……」
「単刀直入に言う。俺はお前を抱きたい」
「っ!?」
「だが、お前が嫌ならこれ以上は止めておく」
熱くなる私とは対照的に、イレイザー・ヘッドは普段と変わらない様子でそう言った。
「ほ、本当にずるいですよ……!こんな状況で……」
「だろうな。……で、どうする?」
襲いかかる羞恥心から思わずきつく目を瞑った。
そのセリフを吐き出す時、心臓が大きく震えるのが分かった。
61 無名さん
「……わ、私も……貴方としたいです……」
張り詰めていた緊張感がほんの少し和らいだ気がした。
不意に名前を呼ばれて、ゆるゆると目を開ける。
そこにはどこか穏やかな雰囲気を纏ったイレイザー・ヘッドの姿があった。
「相互利益が一致したってわけだ」
「うう……その言い方は止めて下さい……」
「悪い、つい癖でな。……で、お前はなんで俺のことを名前で呼ばない?」
「へ!?」
さっきもそれ言ってましたよね!?
一体何が彼をそこまで駆り立てるのか分からないけど、イレイザー・ヘッドはさっきまでの気怠げな瞳の色を変えて、敵を拘束する時のように据わった目で迫ってきた。
「名前を知らねえわけじゃないだろ」
「……あ……うう……」
「なあ、」
「……ッ!は、恥ずかしいからですよ……!」
弾かれたような私の声に、イレイザー・ヘッドは怪訝そうに表情を変える。
「な、名前を呼んだら、嫌でも意識してしまいそうで……」
気持ちを抑えきれそうになかったから。
この合理性を貫く男に恋心を抱いてしまうだなんて、きっと彼からすれば不合理極まりない行為だろう。
私にだって分かっていた、この恋が実らないことくらい。
だからこれ以上深いところまで沈まないようにと、ささやかな抵抗を続けることしかできなかった。
だけど、
張り詰めていた緊張感がほんの少し和らいだ気がした。
不意に名前を呼ばれて、ゆるゆると目を開ける。
そこにはどこか穏やかな雰囲気を纏ったイレイザー・ヘッドの姿があった。
「相互利益が一致したってわけだ」
「うう……その言い方は止めて下さい……」
「悪い、つい癖でな。……で、お前はなんで俺のことを名前で呼ばない?」
「へ!?」
さっきもそれ言ってましたよね!?
一体何が彼をそこまで駆り立てるのか分からないけど、イレイザー・ヘッドはさっきまでの気怠げな瞳の色を変えて、敵を拘束する時のように据わった目で迫ってきた。
「名前を知らねえわけじゃないだろ」
「……あ……うう……」
「なあ、」
「……ッ!は、恥ずかしいからですよ……!」
弾かれたような私の声に、イレイザー・ヘッドは怪訝そうに表情を変える。
「な、名前を呼んだら、嫌でも意識してしまいそうで……」
気持ちを抑えきれそうになかったから。
この合理性を貫く男に恋心を抱いてしまうだなんて、きっと彼からすれば不合理極まりない行為だろう。
私にだって分かっていた、この恋が実らないことくらい。
だからこれ以上深いところまで沈まないようにと、ささやかな抵抗を続けることしかできなかった。
だけど、
62 無名さん
「……なまえ。名前、呼べ」
抵抗なんて、できるわけないじゃないか。
「……あ、い……ざわ、さん……」
「……まあ最初なら頑張ったほうか」
思わず顔を覆った手の隙間から見た相澤さんは、どこか嬉しそうに口元を緩めていた。
**********
「……一睡も出来なかった……」
昨晩の度重なる行為を思い返して身悶える。
ヒーローとしての先輩は人生での先輩でもあり、ありとあらゆる面での先輩でもあった。色々凄かった。
隣で眠っている相澤さんは普段よりも少し幼く見えてきゅんとする。かわいいなぁ。
しばらく相澤さんの寝顔を観察していると、不意にその目蓋がゆっくりと持ち上がっていった。
半分ほど開いたところで、彼の瞳が私を捕らえた。
「……おはよう」
「お、おはようございます」
相澤さんはおもむろに上体を起こすと、ぼうっとした様子で後ろ髪を掻く。
「……あのー、昨日のこと覚えていますか?」
「……まあ、だいたいは」
「そ、そうですか……」
覚えてるんかい。
途端に沈黙が訪れた。
気まずい、気まず過ぎる。
酒の勢いでこんなことになっただなんて、相澤さんは後悔しているだろうか。そう考えると、少し怖かった。
「……あー、まあその、なんだ。とりあえず昨日は急に押しかけて悪かった」
「い、いえ」
「あと……酒が入った状態でこんなことしちまったのも、悪かったと思ってる」
言葉は淡々と紡がれていく。
それ以上先を聞くのが、怖い。
抵抗なんて、できるわけないじゃないか。
「……あ、い……ざわ、さん……」
「……まあ最初なら頑張ったほうか」
思わず顔を覆った手の隙間から見た相澤さんは、どこか嬉しそうに口元を緩めていた。
**********
「……一睡も出来なかった……」
昨晩の度重なる行為を思い返して身悶える。
ヒーローとしての先輩は人生での先輩でもあり、ありとあらゆる面での先輩でもあった。色々凄かった。
隣で眠っている相澤さんは普段よりも少し幼く見えてきゅんとする。かわいいなぁ。
しばらく相澤さんの寝顔を観察していると、不意にその目蓋がゆっくりと持ち上がっていった。
半分ほど開いたところで、彼の瞳が私を捕らえた。
「……おはよう」
「お、おはようございます」
相澤さんはおもむろに上体を起こすと、ぼうっとした様子で後ろ髪を掻く。
「……あのー、昨日のこと覚えていますか?」
「……まあ、だいたいは」
「そ、そうですか……」
覚えてるんかい。
途端に沈黙が訪れた。
気まずい、気まず過ぎる。
酒の勢いでこんなことになっただなんて、相澤さんは後悔しているだろうか。そう考えると、少し怖かった。
「……あー、まあその、なんだ。とりあえず昨日は急に押しかけて悪かった」
「い、いえ」
「あと……酒が入った状態でこんなことしちまったのも、悪かったと思ってる」
言葉は淡々と紡がれていく。
それ以上先を聞くのが、怖い。
63 無名さん
「……こういう職業だ。死と隣り合わせである以上、元々女や帰る場所を作るつもりはなかった」
「は、はい……」
「だがこうなっちまったもんは仕方ねえ。といっても後悔なんてなくて、むしろ清々しくさえ感じている」
「……?そ、そうですか」
「つーわけ、だ」
「はい?」
じっとこちらを見つめる相澤さんに戸惑ってしまう。
「責任はとるって言ってんだ」
「せ、責任ですか?」
えっと……つまりこれは、責任をとって付き合おうということ……?
う、嘘みたいだ。あの相澤さんの彼女になれる日が来るだなんて。嬉しくないわけない。けど……
「あの、相澤さんが責任を感じてそう言っているのなら、別に気にしないで下さい。昨日はアルコール入ってましたし、私も一夜限りのこととして忘れますから……」
「……オイオイ、まさかお前は誰かれ構わず寝るような女なのか?」
「!?ちっ、違いますけど!?」
昨夜のことは貴重な一夜限りの経験として、これを期に彼への想いも忘れてしまおう。お互いにとってそれが最善だ。
そんな私のセリフに、相澤さんは小さく溜め息を吐いた。
「分かんねえのか、お前は」
「な、何がです?」
「その一夜限りにしたくねえって言ってんだ」
「へ?」
「……察しろ。これ以上は言わせんな」
その意味を理解した途端、顔面に熱が集中した。
相澤さんは普段と変わらない気怠い様子で後ろ髪を掻いている。
不意に浮かんだのは、昨日山田さんが残していったセリフだった。
「こいつ普段は理屈でモノ考えてる分、感情の赴くままに行動することができねえ、ってかしねえ野郎だからな。たまには何も考えずに突っ走るってのもいいんじゃねえかと焚きつけてやったわけ。結果これよ!HAHAHA」
なんてことだ、すべて山田さんの手のひらの上だったということだろうか。
してやったりと笑う山田さんの顔が浮かんで、私は声にならない声をあげて再び身悶えた。
「は、はい……」
「だがこうなっちまったもんは仕方ねえ。といっても後悔なんてなくて、むしろ清々しくさえ感じている」
「……?そ、そうですか」
「つーわけ、だ」
「はい?」
じっとこちらを見つめる相澤さんに戸惑ってしまう。
「責任はとるって言ってんだ」
「せ、責任ですか?」
えっと……つまりこれは、責任をとって付き合おうということ……?
う、嘘みたいだ。あの相澤さんの彼女になれる日が来るだなんて。嬉しくないわけない。けど……
「あの、相澤さんが責任を感じてそう言っているのなら、別に気にしないで下さい。昨日はアルコール入ってましたし、私も一夜限りのこととして忘れますから……」
「……オイオイ、まさかお前は誰かれ構わず寝るような女なのか?」
「!?ちっ、違いますけど!?」
昨夜のことは貴重な一夜限りの経験として、これを期に彼への想いも忘れてしまおう。お互いにとってそれが最善だ。
そんな私のセリフに、相澤さんは小さく溜め息を吐いた。
「分かんねえのか、お前は」
「な、何がです?」
「その一夜限りにしたくねえって言ってんだ」
「へ?」
「……察しろ。これ以上は言わせんな」
その意味を理解した途端、顔面に熱が集中した。
相澤さんは普段と変わらない気怠い様子で後ろ髪を掻いている。
不意に浮かんだのは、昨日山田さんが残していったセリフだった。
「こいつ普段は理屈でモノ考えてる分、感情の赴くままに行動することができねえ、ってかしねえ野郎だからな。たまには何も考えずに突っ走るってのもいいんじゃねえかと焚きつけてやったわけ。結果これよ!HAHAHA」
なんてことだ、すべて山田さんの手のひらの上だったということだろうか。
してやったりと笑う山田さんの顔が浮かんで、私は声にならない声をあげて再び身悶えた。
94 無名さん
「はっ、あぁあ!あっ!あっあっ!っやだ!もう、やなのぉっ!辛い!イってるの、辛いからぁっ!!」
何度も意識が飛ぶが、強すぎる快楽にまた意識が戻る。その繰り返しに唯ひたすら声をあげた。
がくがくと身体が震える。その快楽から逃げようと、もがいて退がろうとしたが、彼に腰をがっしりと抱きしめられ身動きすることも出来なくなってしまった。逃げた罰なのか、更に激しく先端を嬲ってきた。
「あっあっあっ!あーーーっ!や、んぁあああああ!!!」
もうやだ、辛い。逃げられない快楽がただひたすら辛い。でもきもちいい!奥の子宮が疼いて仕方がない。早く中に挿れてぐちゃぐちゃに突いて欲しい。もっと刺激がほしい!
その思いが通じたのか、舐っていた先端を歯を立てて噛み付いてきた。
「ーーーーーーーっ!!ーーっ!っひぅーーっ!」
声が出ない程の快楽がただただ苦しい。引き攣った声が口から漏れる。彼から与えられる暴力的な快楽を受け止め、はっはっはっと荒い息を吐き、何度もイき続けることしか出来なかった。
きもちい、きもちいい!ぐりぐりされるのもかまれるのもぜんぶすき!もっともっと、もっとして!きもちよすぎてあたまおかしくなる!でもだめ、やだ、つらい、もうイきたくないっ!
イきたくないのにイき続ける拷問のような快楽に涙が溢れる。頭の中が何度もバチバチとスパークする。ぷしゅっと何か吹き上がる音がしたが、そんなことはもうどうでも良い。ああ、きもちよすぎてしんじゃう!!!
「っそろそろ、っはぁ、俺もキツイ……」
ソコから顔が離された。やっと終わった執拗なまでの責めに、弛んだ身体を投げ出す。荒い呼吸が治らない。
真っ白になった頭に、彼の声が響く。なにか返事をしようとしてもそれは言葉にはならず、びくんびくんと跳ねる身体も制御できなかった。
いつの間に下着を脱いだのか、彼の亀頭を粘つくソコへ何回か擦り付けると、ゆっくりと掻き分けるように私の体内へ押し進めていった。
KIMOI
何度も意識が飛ぶが、強すぎる快楽にまた意識が戻る。その繰り返しに唯ひたすら声をあげた。
がくがくと身体が震える。その快楽から逃げようと、もがいて退がろうとしたが、彼に腰をがっしりと抱きしめられ身動きすることも出来なくなってしまった。逃げた罰なのか、更に激しく先端を嬲ってきた。
「あっあっあっ!あーーーっ!や、んぁあああああ!!!」
もうやだ、辛い。逃げられない快楽がただひたすら辛い。でもきもちいい!奥の子宮が疼いて仕方がない。早く中に挿れてぐちゃぐちゃに突いて欲しい。もっと刺激がほしい!
その思いが通じたのか、舐っていた先端を歯を立てて噛み付いてきた。
「ーーーーーーーっ!!ーーっ!っひぅーーっ!」
声が出ない程の快楽がただただ苦しい。引き攣った声が口から漏れる。彼から与えられる暴力的な快楽を受け止め、はっはっはっと荒い息を吐き、何度もイき続けることしか出来なかった。
きもちい、きもちいい!ぐりぐりされるのもかまれるのもぜんぶすき!もっともっと、もっとして!きもちよすぎてあたまおかしくなる!でもだめ、やだ、つらい、もうイきたくないっ!
イきたくないのにイき続ける拷問のような快楽に涙が溢れる。頭の中が何度もバチバチとスパークする。ぷしゅっと何か吹き上がる音がしたが、そんなことはもうどうでも良い。ああ、きもちよすぎてしんじゃう!!!
「っそろそろ、っはぁ、俺もキツイ……」
ソコから顔が離された。やっと終わった執拗なまでの責めに、弛んだ身体を投げ出す。荒い呼吸が治らない。
真っ白になった頭に、彼の声が響く。なにか返事をしようとしてもそれは言葉にはならず、びくんびくんと跳ねる身体も制御できなかった。
いつの間に下着を脱いだのか、彼の亀頭を粘つくソコへ何回か擦り付けると、ゆっくりと掻き分けるように私の体内へ押し進めていった。
KIMOI