20 無名さん
ギン……どっかの一族の抜け忍。男だらけの現場でヒロインちゃんが貞操を守る為に洞察力で見抜いた一番強いギンに一発やらせて用心棒にしたとか。やったかどうかは実際のところ不明です。寡黙な男なので特に出張りません(笑)
キャンディ・デザートジラソーレ(本名鉄男)
190センチのオネェです。どっかの一族の抜け忍です。お強いですが乙女です。ヒロインの手腕に惚れ込んで一緒にいます。
マダラに出会って報われない恋をする明るいオカマです。マダラよりも千手兄弟よりも身長の高いオカマです。
ちょいちょい挟む予定です。
オリキャラか
キャンディ・デザートジラソーレ(本名鉄男)
190センチのオネェです。どっかの一族の抜け忍です。お強いですが乙女です。ヒロインの手腕に惚れ込んで一緒にいます。
マダラに出会って報われない恋をする明るいオカマです。マダラよりも千手兄弟よりも身長の高いオカマです。
ちょいちょい挟む予定です。
オリキャラか
25 無名さん
【お知らせ】現在、フォレストページ全体に接続出来ない現象が発生しております。こちらに関しては現在、原因について調査中です。ご利用中の皆様には大変ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ございません。復旧まで今暫くお待ち頂きますようお願いいたします。
今朝早くから森繋がらないのにゴミ付きたん凄いね〜
今朝早くから森繋がらないのにゴミ付きたん凄いね〜
26 削除済
29 無名さん
「あ、もしかしてネクタイはいらなかった?」
「後でつける。あちぃ」
「ふぅん。ま、商談に間に合いそうならいいわ。あーまっじで疲れた足痛いもう立てない歩きたくない」
「おい、スーツ代。いくらだ」
「あー、いいよ。可愛い可愛いニアちゃんからのプレゼントにしてあげる喜べ」
「払う。テメェに奢られるのは癪だ」
「ふざけんなチビ。ほら、さっさと仕事に戻ればーか!」
言い逃げよろしく如くシャワー室から飛び出したが直ぐにバテたからノロノロと部署へ戻る。ちょっと休憩をしようと思っただけなのにとんだ休憩だったと余計に疲れ、椅子に項垂れるよう座った。あぁそういえば飲み物が欲しくて出たのに、焦ったから買うの忘れた、また出ていくのも面倒だけど走ったのもあって余計に渇いている。仕方ない、部署に常備されているお茶で我慢しよう。でも座ったばかりだから動きたくない。
「後輩のジャンくんよ、お茶を持ってきてくれないか」
「今、手が離せません」
「先輩の些細な頼みを断らないでよ。階段ダッシュ決めたんだから労って」
「階段って…何したんですか。またリヴァイさんですか?」
「…まぁ色々あってスーツをね汚しちゃったから、買いにいったの。商談あるからって汚したままはダメでしょ?だから飲み物買いにいったのにスーツ買いにいっちゃったのよ、わかる?予想外の出費に心が折れそうだからお茶を持ってきて」
「あー、災難っしたね。でも、営業課の人ってスーツ何着か会社に置いてるって言ってましたよ?俺の担当の奴が言ってたんすけどね。あぁでもリヴァイさんは置きスーツとかしなさそうっすよねぇ」
なん、だと…?おいおい、今の言葉本当か?ジャンくんよ、今の言葉は、本当なのか?それなら私の走りと支払いは必要なかったと?いやいやいや、やめてくれ、いやいやいや、そうだ、ジャンくんの言うとおりあのリヴァイがスーツを置いてるなんて…
「あんのチビッ!先に言えよっ!!」
もう動きたくないと思っていた体は扉を開けてリヴァイがいるであろう営業課の部署へ突っ走っていた。
「後でつける。あちぃ」
「ふぅん。ま、商談に間に合いそうならいいわ。あーまっじで疲れた足痛いもう立てない歩きたくない」
「おい、スーツ代。いくらだ」
「あー、いいよ。可愛い可愛いニアちゃんからのプレゼントにしてあげる喜べ」
「払う。テメェに奢られるのは癪だ」
「ふざけんなチビ。ほら、さっさと仕事に戻ればーか!」
言い逃げよろしく如くシャワー室から飛び出したが直ぐにバテたからノロノロと部署へ戻る。ちょっと休憩をしようと思っただけなのにとんだ休憩だったと余計に疲れ、椅子に項垂れるよう座った。あぁそういえば飲み物が欲しくて出たのに、焦ったから買うの忘れた、また出ていくのも面倒だけど走ったのもあって余計に渇いている。仕方ない、部署に常備されているお茶で我慢しよう。でも座ったばかりだから動きたくない。
「後輩のジャンくんよ、お茶を持ってきてくれないか」
「今、手が離せません」
「先輩の些細な頼みを断らないでよ。階段ダッシュ決めたんだから労って」
「階段って…何したんですか。またリヴァイさんですか?」
「…まぁ色々あってスーツをね汚しちゃったから、買いにいったの。商談あるからって汚したままはダメでしょ?だから飲み物買いにいったのにスーツ買いにいっちゃったのよ、わかる?予想外の出費に心が折れそうだからお茶を持ってきて」
「あー、災難っしたね。でも、営業課の人ってスーツ何着か会社に置いてるって言ってましたよ?俺の担当の奴が言ってたんすけどね。あぁでもリヴァイさんは置きスーツとかしなさそうっすよねぇ」
なん、だと…?おいおい、今の言葉本当か?ジャンくんよ、今の言葉は、本当なのか?それなら私の走りと支払いは必要なかったと?いやいやいや、やめてくれ、いやいやいや、そうだ、ジャンくんの言うとおりあのリヴァイがスーツを置いてるなんて…
「あんのチビッ!先に言えよっ!!」
もう動きたくないと思っていた体は扉を開けてリヴァイがいるであろう営業課の部署へ突っ走っていた。
32 無名さん
48 無名さん
なんで客は喰える前提で話を進めてるんだろう。
ラブホとかいきたくないから「はずかしいけどわたし処女なんです…」って言えば、ほんとに、今時珍しいね、俺が優しくしてあげる。とかいう豚ばっかりで気持ち悪い。処女なんてなとっくにゴミ箱にぐちゃぐちゃに丸めてポイしたわ。
経験人数何歳でやったのラインおしえてすきな体位はどうせ彼氏いるすんでしょどこに住んでるの帰りは何で帰るの昼間はなにしてるの
同じことの繰り返し。おまえらはインコか。
かわいいねーといわれてそんなことないですってかえせばいやいやこんなとこで働く子は自分に自信ある子しかいないから!と笑われる。
おまえらはインコか。
お客様から諭吉をむしり取るために連絡先を交換するものの今度いつあえる(^-^)?お店がお休みの日に会おうよ(^-^)
インコか。
数ヶ月働いてようやく気づく。
「わたしキャバ向いてないわ。そしてデリに移動してきたのでした」
「いやおせーよ」
「でもこれでナンバー入れてたんだよね…我ながら不思議」
「客もおまえも不憫だな」
「なんかかわいそーだよね!アハハ!」
笑えねー。そうつぶやいてブン太はタバコに火をつける。
デリ呼んでる時点でおまえも同じだわ。
ラブホとかいきたくないから「はずかしいけどわたし処女なんです…」って言えば、ほんとに、今時珍しいね、俺が優しくしてあげる。とかいう豚ばっかりで気持ち悪い。処女なんてなとっくにゴミ箱にぐちゃぐちゃに丸めてポイしたわ。
経験人数何歳でやったのラインおしえてすきな体位はどうせ彼氏いるすんでしょどこに住んでるの帰りは何で帰るの昼間はなにしてるの
同じことの繰り返し。おまえらはインコか。
かわいいねーといわれてそんなことないですってかえせばいやいやこんなとこで働く子は自分に自信ある子しかいないから!と笑われる。
おまえらはインコか。
お客様から諭吉をむしり取るために連絡先を交換するものの今度いつあえる(^-^)?お店がお休みの日に会おうよ(^-^)
インコか。
数ヶ月働いてようやく気づく。
「わたしキャバ向いてないわ。そしてデリに移動してきたのでした」
「いやおせーよ」
「でもこれでナンバー入れてたんだよね…我ながら不思議」
「客もおまえも不憫だな」
「なんかかわいそーだよね!アハハ!」
笑えねー。そうつぶやいてブン太はタバコに火をつける。
デリ呼んでる時点でおまえも同じだわ。
49 無名さん
「おまえもう昼職もどれねーじゃんドップリだよドップリ」
「ブン太に言われたくないし」
「おまえ知らねーの?俺今工場で働いてんだぜ」
「ブン太の職の話なんか知らねーよなにさもみんな知ってるみたいに言ってんだよ知らねーからまじで」
「仁王とかから聞いてねーの?」
「あいつは俺ヒモになるから店飛ぶあとで連絡するとか言ってラインから消えた」
「あーそんなことあったな」
そんな前の話だっけ。ブン太がタバコの煙で輪っかをつくってわたしにあててくる。うっとおしい。わたしも吸ってやる。
「あーいけねーんだ仕事しろよ仕事」
「ブン太相手じゃどーしよーもないでしょーが。まさかここで知り合いに会うとはねー。お金はいらないからお話しよ」
ぐりぐりとタバコの火を消したブン太はすこしむっとしたように私を見る。そしてわたしのすいたてのタバコも奪われて消されてしまった。ああ…火種だけ消してくれればまた吸えたのに…。ビンボー性なわたしは少し泣いた。
「おまえ聞いてねーの」
「仁王から?なにを?仁王はしらないって」
「ちげーよ!指名だよ指名!」
「指名…?あ、そういえばここには指名できたんだった。わたしのこと指名したの?」
「そうだよ」
「えっまじで?」
「まじまじ。おれおまえのことすきなんだよ」
「…えっ?」
「とりあえずさっさと風呂はいろうぜ。延長も金ならちゃんとあるからさ」
「えっ?えっ?」
「いっぱい愛し合おうな」
まじで何言ってるかわからない。
でもすごい幸せそうなブン太に、わたしは堪らなくなってこう言うのだった。
「デリは本番禁止だけど…わかってるよ、ね…?」
バサリ。バスタオルを地面に落としたブン太はこの世の終わりのような顔をしていた。
「ブン太に言われたくないし」
「おまえ知らねーの?俺今工場で働いてんだぜ」
「ブン太の職の話なんか知らねーよなにさもみんな知ってるみたいに言ってんだよ知らねーからまじで」
「仁王とかから聞いてねーの?」
「あいつは俺ヒモになるから店飛ぶあとで連絡するとか言ってラインから消えた」
「あーそんなことあったな」
そんな前の話だっけ。ブン太がタバコの煙で輪っかをつくってわたしにあててくる。うっとおしい。わたしも吸ってやる。
「あーいけねーんだ仕事しろよ仕事」
「ブン太相手じゃどーしよーもないでしょーが。まさかここで知り合いに会うとはねー。お金はいらないからお話しよ」
ぐりぐりとタバコの火を消したブン太はすこしむっとしたように私を見る。そしてわたしのすいたてのタバコも奪われて消されてしまった。ああ…火種だけ消してくれればまた吸えたのに…。ビンボー性なわたしは少し泣いた。
「おまえ聞いてねーの」
「仁王から?なにを?仁王はしらないって」
「ちげーよ!指名だよ指名!」
「指名…?あ、そういえばここには指名できたんだった。わたしのこと指名したの?」
「そうだよ」
「えっまじで?」
「まじまじ。おれおまえのことすきなんだよ」
「…えっ?」
「とりあえずさっさと風呂はいろうぜ。延長も金ならちゃんとあるからさ」
「えっ?えっ?」
「いっぱい愛し合おうな」
まじで何言ってるかわからない。
でもすごい幸せそうなブン太に、わたしは堪らなくなってこう言うのだった。
「デリは本番禁止だけど…わかってるよ、ね…?」
バサリ。バスタオルを地面に落としたブン太はこの世の終わりのような顔をしていた。
84 無名さん
メガネを外した柳生は仁王に似ている。
かつらを被って口元にほくろを描けば柳生が仁王になり、かつらを被ってメガネをかければ仁王が柳生になる。
それを利用してテニスの試合で相手を欺いたりしているらしいが、もちろん私には一目で見分けられる。だって柳生のことをずっとずっと見てきたから。
仁王より柳生の方が冷たい目をしているなんて、他に誰が知っていようか。
だから先ほど、視聴覚室で女子生徒を組み敷いていたのは仁王の姿をした柳生なのだ。
別に柳生とは単なる幼馴染でしかないから、彼がいつどこで誰を抱こうが私には関係ない。
ただ、仁王の姿を借りて女を抱くなんて卑怯だと思う。仁王ならどこで誰を抱いていたと噂されても不思議じゃない上、柳生の名前に傷が付かない。紳士と称される柳生にしては姑息なやり方だ。
「あんたはそれでいいの?」
隣で読書をしている柳生の姿をした仁王に話しかけた。仁王はわざとらしくメガネを直す仕草をする。
「私は構いませんよ」
「私しかいないんだから柳生の真似やめてよ」
「プリッ」
仁王は形だけで読みもしない本を放り投げて机に突っ伏した。いくら慣れてるとはいえ、長時間柳生として過ごすのは疲れるらしい。ずっと柳生として生活していれば仁王の猫背も治りそうだ。
「あんなの続けてたら、いつか同じ女を抱いて穴兄弟になるよ。もうなってたりして」
メガネの下からジロリと睨まれる。だがその目は色素が薄く、下まつ毛が長い。この目を見てもこいつを仁王と気付かず柳生として接している周囲の人間は総じてアホだと思った。
「欲求不満なんか?抱いてやろうか」
「やだ」
喉の奥で笑う仁王の声を聞きながら、先ほどの柳生の姿を思い出す。
女に自身を咥えさせているというのに、ひどく無表情に女のつむじを見下ろしていた。時折女の頭を無理やり股間に押し込めたりして、かなり手荒に扱っていた。
やがて女の体を押し倒し、覆いかぶさって乱暴に腰を振る。その動きに合わせて女の悩ましげな艶のある吐息が漏れ聞こえてきて、私は逃げるようにその場を離れてここに駆け込んだ。
優等生の見本でクソ真面目な柳生が、あんなふうに男を剥き出しにしたsexをするなんて。
私が見てきた柳生は彼の強靭な理性によって創造された理想の姿に過ぎず、本当の柳生ではない。
そして多分、私が本当の柳生と相対することは一生ないんだろう。
かつらを被って口元にほくろを描けば柳生が仁王になり、かつらを被ってメガネをかければ仁王が柳生になる。
それを利用してテニスの試合で相手を欺いたりしているらしいが、もちろん私には一目で見分けられる。だって柳生のことをずっとずっと見てきたから。
仁王より柳生の方が冷たい目をしているなんて、他に誰が知っていようか。
だから先ほど、視聴覚室で女子生徒を組み敷いていたのは仁王の姿をした柳生なのだ。
別に柳生とは単なる幼馴染でしかないから、彼がいつどこで誰を抱こうが私には関係ない。
ただ、仁王の姿を借りて女を抱くなんて卑怯だと思う。仁王ならどこで誰を抱いていたと噂されても不思議じゃない上、柳生の名前に傷が付かない。紳士と称される柳生にしては姑息なやり方だ。
「あんたはそれでいいの?」
隣で読書をしている柳生の姿をした仁王に話しかけた。仁王はわざとらしくメガネを直す仕草をする。
「私は構いませんよ」
「私しかいないんだから柳生の真似やめてよ」
「プリッ」
仁王は形だけで読みもしない本を放り投げて机に突っ伏した。いくら慣れてるとはいえ、長時間柳生として過ごすのは疲れるらしい。ずっと柳生として生活していれば仁王の猫背も治りそうだ。
「あんなの続けてたら、いつか同じ女を抱いて穴兄弟になるよ。もうなってたりして」
メガネの下からジロリと睨まれる。だがその目は色素が薄く、下まつ毛が長い。この目を見てもこいつを仁王と気付かず柳生として接している周囲の人間は総じてアホだと思った。
「欲求不満なんか?抱いてやろうか」
「やだ」
喉の奥で笑う仁王の声を聞きながら、先ほどの柳生の姿を思い出す。
女に自身を咥えさせているというのに、ひどく無表情に女のつむじを見下ろしていた。時折女の頭を無理やり股間に押し込めたりして、かなり手荒に扱っていた。
やがて女の体を押し倒し、覆いかぶさって乱暴に腰を振る。その動きに合わせて女の悩ましげな艶のある吐息が漏れ聞こえてきて、私は逃げるようにその場を離れてここに駆け込んだ。
優等生の見本でクソ真面目な柳生が、あんなふうに男を剥き出しにしたsexをするなんて。
私が見てきた柳生は彼の強靭な理性によって創造された理想の姿に過ぎず、本当の柳生ではない。
そして多分、私が本当の柳生と相対することは一生ないんだろう。
85 無名さん
「テニス部以外で俺と柳生の入れ替わりを見抜けるのは小波くらいじゃ」
「でしょうねえ」
「そんなに柳生が好きか」
私は答えなかった。好きという感情くらい身に覚えがあるはずなのに、それを柳生と結びつけるのが怖くてたまらない。
「小波さん」
柳生の声で呼ばれて弾かれたように顔を上げると、やはりそれは仁王で。
「小波さん」
背筋がぞくりとする。
柳生の顔をした仁王が柳生と同じ微笑みをたたえて私に手を伸ばし、触れるだけのキスをした。
いつもの仁王の香水の代わりに、爽やかな洗剤の匂いがほのかに漂う。
見た目も声も匂いも、もう完全に柳生だ。
呆然とする私の唇に舌を差し込んだ仁王は、恐ろしいほど官能的でいやらしいキスをしてきた。
舌はねっとりと湿って柔らかいのに、実に繊細に動き回って私の口内を動き回る。このまさに愛で撫でる愛撫に、抵抗だとか言い訳だとか一切の思考が溶けて無くなる。
仁王にはそれも全部わかっているんだろう。クスリと笑った。それは柳生がたまに見せる笑顔そのものだ。
仁王は椅子に座ったままズボンのベルトに手をかける。金属音がやけに響き、男性器が現れた。
「さあ跪いて」
狂気じみた言葉なのに柳生の顔で微笑みながら言われると、何も間違ってないように思ってしまう。
仁王の足元にお尻も膝も床につけてぺたりと座り、私は自分の意思で仁王の男性器を口に含んだ。
太ももの間に頭を埋めるようにして口の中に導くと、みるみるうちに膨らんで硬くなっていく。頭を数往復させる頃には完全に勃起していた。
「お上手ですよ」
頭を撫でられお褒めの言葉をもらう。柳生もこんな冷たい手をしているのだろうか。
つるりとした先端を舌先でちろちろと舐めると、仁王の腰がぶるりと震えて私の頭を撫でる手に力が入る。やりすぎない程度に舐めて、再び前後に動くことに専念した。
「出る」
その声に咥えたまま顔を上げると、仁王と目が合った。
肉欲に満ちギラギラした扇情的な目。
柳生とは似ても似つかなかった。柳生はもっと冷めた無感動な目で女に咥えさせてたはずなのに。
「でしょうねえ」
「そんなに柳生が好きか」
私は答えなかった。好きという感情くらい身に覚えがあるはずなのに、それを柳生と結びつけるのが怖くてたまらない。
「小波さん」
柳生の声で呼ばれて弾かれたように顔を上げると、やはりそれは仁王で。
「小波さん」
背筋がぞくりとする。
柳生の顔をした仁王が柳生と同じ微笑みをたたえて私に手を伸ばし、触れるだけのキスをした。
いつもの仁王の香水の代わりに、爽やかな洗剤の匂いがほのかに漂う。
見た目も声も匂いも、もう完全に柳生だ。
呆然とする私の唇に舌を差し込んだ仁王は、恐ろしいほど官能的でいやらしいキスをしてきた。
舌はねっとりと湿って柔らかいのに、実に繊細に動き回って私の口内を動き回る。このまさに愛で撫でる愛撫に、抵抗だとか言い訳だとか一切の思考が溶けて無くなる。
仁王にはそれも全部わかっているんだろう。クスリと笑った。それは柳生がたまに見せる笑顔そのものだ。
仁王は椅子に座ったままズボンのベルトに手をかける。金属音がやけに響き、男性器が現れた。
「さあ跪いて」
狂気じみた言葉なのに柳生の顔で微笑みながら言われると、何も間違ってないように思ってしまう。
仁王の足元にお尻も膝も床につけてぺたりと座り、私は自分の意思で仁王の男性器を口に含んだ。
太ももの間に頭を埋めるようにして口の中に導くと、みるみるうちに膨らんで硬くなっていく。頭を数往復させる頃には完全に勃起していた。
「お上手ですよ」
頭を撫でられお褒めの言葉をもらう。柳生もこんな冷たい手をしているのだろうか。
つるりとした先端を舌先でちろちろと舐めると、仁王の腰がぶるりと震えて私の頭を撫でる手に力が入る。やりすぎない程度に舐めて、再び前後に動くことに専念した。
「出る」
その声に咥えたまま顔を上げると、仁王と目が合った。
肉欲に満ちギラギラした扇情的な目。
柳生とは似ても似つかなかった。柳生はもっと冷めた無感動な目で女に咥えさせてたはずなのに。
86 無名さん
動くのをやめると、仁王は眉間に皺を寄せて私の頭を自身に押し込んだ。
喉の奥が先端にぐりっと押され、息ができない苦しさと嘔気に仁王の太ももを叩くが、構わず腰を振られる。
仁王の噛み殺した声と同時に生臭い苦味が鼻腔を抜け、どろりとした喉ごしの悪い液体が食道を落ちていった。
「全部吸い出して、飲んでください」
鼻先が陰毛に埋まるほど頭を押し付けられる。
萎んだ男性器を吸い、尿道の出口を刺激し、出てくる残滓を全部飲み込むとゆっくり解放された。
喉に絡まる精子の不快感にゲホゲホと咳き込む私の背中を仁王がさすってくる。それを手で振り払い、垂れてくる涎や鼻水を拭って彼を睨んだ。
仁王は優しすぎる。
詐欺師だ何だと人を食ったような態度をとるけど、根本は優しくて繊細で弱い男。いくら姿形や声色を真似て柳生と同じ行動をしても、結局冷たくなりきれない。それが柳生との決定的な違いだとどうして気づかないのだろう。
柳生は模範的な優等生の皮を被り、心の奥底では人を見下して嘲笑して利用することしか考えていない。上滑りの紳士的言動で周囲を騙し、裏では仁王の姿を借りて本性を出す。卑怯で嘘つきな男。
柳生のことをずっと見ていた私は、皮肉にもそれに気づいてしまった。仁王は自ら柳生を演じて私を満たそうとした。二人ともとんだ大馬鹿だ。
鞄を手に立ち上がると、仁王に腕を掴まれた。
「俺じゃだめか」
柳生になってることなんて完全に忘れている、仁王そのものの声だった。辛くて悲しい顔をしている。
喉の奥が先端にぐりっと押され、息ができない苦しさと嘔気に仁王の太ももを叩くが、構わず腰を振られる。
仁王の噛み殺した声と同時に生臭い苦味が鼻腔を抜け、どろりとした喉ごしの悪い液体が食道を落ちていった。
「全部吸い出して、飲んでください」
鼻先が陰毛に埋まるほど頭を押し付けられる。
萎んだ男性器を吸い、尿道の出口を刺激し、出てくる残滓を全部飲み込むとゆっくり解放された。
喉に絡まる精子の不快感にゲホゲホと咳き込む私の背中を仁王がさすってくる。それを手で振り払い、垂れてくる涎や鼻水を拭って彼を睨んだ。
仁王は優しすぎる。
詐欺師だ何だと人を食ったような態度をとるけど、根本は優しくて繊細で弱い男。いくら姿形や声色を真似て柳生と同じ行動をしても、結局冷たくなりきれない。それが柳生との決定的な違いだとどうして気づかないのだろう。
柳生は模範的な優等生の皮を被り、心の奥底では人を見下して嘲笑して利用することしか考えていない。上滑りの紳士的言動で周囲を騙し、裏では仁王の姿を借りて本性を出す。卑怯で嘘つきな男。
柳生のことをずっと見ていた私は、皮肉にもそれに気づいてしまった。仁王は自ら柳生を演じて私を満たそうとした。二人ともとんだ大馬鹿だ。
鞄を手に立ち上がると、仁王に腕を掴まれた。
「俺じゃだめか」
柳生になってることなんて完全に忘れている、仁王そのものの声だった。辛くて悲しい顔をしている。
87 無名さん
「私のこと全力で殴れるならいいよ」
「……好きな女を殴るなんて、無理じゃ」
「じゃあだめ」
部屋を出て廊下を歩いていると、向こうから仁王の姿をした柳生が歩いてきた。
猫背から歩き方まで完璧な仁王で、「よう」と声をかけられる。
「柳生」
「全く、あなたには敵いませんね」
漂ってくる仁王の香水を嗅ぎながらその目を見つめると、柳生がふっと嘲笑う。
「柳生、私のこと全力で殴って」
柳生はほんの一瞬目を丸くしたが、すぐにお決まりの微笑を顔に貼り付けた。
「出来ません」
「どうして」
「女性に手をあげるなど、」
「嘘つき」
黙ったまま向かい合っていると、最終下校時刻を告げるチャイムが鳴った。
「やはりあなたには敵いません」
すれ違いざまに私の頭の上にぽんと手のひらを乗せ、柳生は図書室へと歩いて行った。
私はその場にうずくまって泣いた。しゃくりあげるとさっき飲んだ仁王の残滓が戻ってきて、口に精子の味が広がった。
終
「……好きな女を殴るなんて、無理じゃ」
「じゃあだめ」
部屋を出て廊下を歩いていると、向こうから仁王の姿をした柳生が歩いてきた。
猫背から歩き方まで完璧な仁王で、「よう」と声をかけられる。
「柳生」
「全く、あなたには敵いませんね」
漂ってくる仁王の香水を嗅ぎながらその目を見つめると、柳生がふっと嘲笑う。
「柳生、私のこと全力で殴って」
柳生はほんの一瞬目を丸くしたが、すぐにお決まりの微笑を顔に貼り付けた。
「出来ません」
「どうして」
「女性に手をあげるなど、」
「嘘つき」
黙ったまま向かい合っていると、最終下校時刻を告げるチャイムが鳴った。
「やはりあなたには敵いません」
すれ違いざまに私の頭の上にぽんと手のひらを乗せ、柳生は図書室へと歩いて行った。
私はその場にうずくまって泣いた。しゃくりあげるとさっき飲んだ仁王の残滓が戻ってきて、口に精子の味が広がった。
終
94 無名さん
部屋から見える大木は春になると満開の桜を咲かす。と言っても今はもう桜など見れる季節ではない。目の前に広がるのは手入れされないまま鬱陶しい程に覆い尽くされた緑葉だけである。暑苦しい空気に包まれる中俺はそんな情緒もクソもない景色をただぼうっと眺めていた。蝉の鳴き声に混じりボヤけた声が言う。その木見てて楽しい?
「黙れさっさとエアコンつけろ」
「だから壊れてるって言ってんじゃん。暑いのが嫌ならココじゃなくて図書館にでも行けば」
「修理頼めよ。この家にはタウンページもねェのか」
「いきなり人んち押し掛けてきて何なの?これあげるから帰ってくんない」
達筆で「祭」と大きく書かれたうちわを手渡され、思わず体が疼きそうになるがそこは平静を装った。仕方なく祭りうちわを受け取り風を送ると、生温い風が顔に当たり更に不快な気分になった。
「ていうか本気で何しに来たの…私今から出かけるんだけど」
「勝手に行けよ」
「だから出てけよ」
名前は俺以上に不快な顔をしている。腕時計を填め、キーケースを手に取ると本格的に外出する準備をし始めた。それより何でこいつこんな薄着なわけ。夏だからか。
「どこ行くんだよ」
「友達に会いに行く」
「俺はどうするんだ」
「いや知らないし。海パンで浮き輪つけて町内一周でもしてくればいいよ」
反論しようとした所で大きな振動音が鳴り響いた。チッと舌打ちをして携帯を取り出す。聞こえる声は近い。
「んだよ今忙し」
「もしもし?うん。ごめんね今出るところ」
「……」
鳴ったのは俺の携帯ではなかった。どこにも繋がっていない無音の携帯を耳に当てたまま、微動だにしない間抜けな俺が正面の鏡に映る。うん。それじゃ15分後にあの信号の前で。俺との会話中では絶対に見せないような柔らかい表情と口調。ハッキリとは聞こえないが通話相手の声のトーンは明らかに低い。通話を終えパタンと携帯を閉じると名前は、呆れた顔をしながら横目で俺を見た。
「黙れさっさとエアコンつけろ」
「だから壊れてるって言ってんじゃん。暑いのが嫌ならココじゃなくて図書館にでも行けば」
「修理頼めよ。この家にはタウンページもねェのか」
「いきなり人んち押し掛けてきて何なの?これあげるから帰ってくんない」
達筆で「祭」と大きく書かれたうちわを手渡され、思わず体が疼きそうになるがそこは平静を装った。仕方なく祭りうちわを受け取り風を送ると、生温い風が顔に当たり更に不快な気分になった。
「ていうか本気で何しに来たの…私今から出かけるんだけど」
「勝手に行けよ」
「だから出てけよ」
名前は俺以上に不快な顔をしている。腕時計を填め、キーケースを手に取ると本格的に外出する準備をし始めた。それより何でこいつこんな薄着なわけ。夏だからか。
「どこ行くんだよ」
「友達に会いに行く」
「俺はどうするんだ」
「いや知らないし。海パンで浮き輪つけて町内一周でもしてくればいいよ」
反論しようとした所で大きな振動音が鳴り響いた。チッと舌打ちをして携帯を取り出す。聞こえる声は近い。
「んだよ今忙し」
「もしもし?うん。ごめんね今出るところ」
「……」
鳴ったのは俺の携帯ではなかった。どこにも繋がっていない無音の携帯を耳に当てたまま、微動だにしない間抜けな俺が正面の鏡に映る。うん。それじゃ15分後にあの信号の前で。俺との会話中では絶対に見せないような柔らかい表情と口調。ハッキリとは聞こえないが通話相手の声のトーンは明らかに低い。通話を終えパタンと携帯を閉じると名前は、呆れた顔をしながら横目で俺を見た。
95 無名さん
「…何やってんの?鳴ってないよソレ。鳴ったの私の携帯」
「っるせえ分かってんだよ」
言われて乱暴に携帯をしまう。勝手に家まで押し掛けて、散々文句を垂れた上にこんな間抜けな有り様を晒して俺は本当に何しにここへ来たのだろうと改めて思う。特に用があったわけではない。罵りに来たわけでもない。だったら何しに来たのかと問われても返事のしようがないのだ。俺自身が分かっていないのだから。
「いい加減早く出てってよ」
「…誰だよ今の」
「だから友達」
「男の声だったろ」
「伊東くん男だもん」
「いと、あァ!?」
意外な人物の名前に思わず声を上擦らせた。何でココで隣のクラスのインテリ眼鏡が出てくるんだ。野郎とこいつが友達、まるで接点が分からない。
「何で、伊東なんだよ」
「隣のクラスとの合同授業で同じグループになってその時に仲良くなった。今日はそれの勉強会」
合同授業。全く記憶にない。聞き慣れない単語だ。思い出そうと頭を捻るが一向にその時の記憶が出てこない。真剣に記憶を引き出そうとする俺の様子に気付いてか声が掛かる。考えても無駄だと思う。だって高杉教室移動するの面倒くさいとか言っていつもサボってたもん。ああ、道理で。などと納得してる場合ではない。
「他は」
「は?」
「他に誰がいる」
「いないけど」
「は、おま、アイツと二人で…アイツと二人で?アイツと二人きりで会うつもりか!二人で!アイツと!」
「うっさ!何エキサイトしてんの」
「…今日は絶対ココから出させねえからな」
「出させねえってココ私のうちなんだけど」
「ごちゃごちゃ言ってねえで携帯貸せ!」
「ぎゃっ何すっぐふ!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ名前の頭を掴み横にあったベッドに顔面から無理矢理押さえつけた。左手で頭を押さえたまま、右手で乱暴に携帯を開く。履歴から伊東の文字を見つけると躊躇なく発信ボタンを押した。
コールして間もなく聞こえてきた低い声に自然と眉間に皺が寄る。出んの早すぎだろ死ねよ。なかなか言葉を発さないでいるとふと名前を呼ばれた。勿論俺じゃないコイツの名前。もしもし、もしもし、と何度も耳障りな声が響く。苛立ちは更に募る。
「っるせえ分かってんだよ」
言われて乱暴に携帯をしまう。勝手に家まで押し掛けて、散々文句を垂れた上にこんな間抜けな有り様を晒して俺は本当に何しにここへ来たのだろうと改めて思う。特に用があったわけではない。罵りに来たわけでもない。だったら何しに来たのかと問われても返事のしようがないのだ。俺自身が分かっていないのだから。
「いい加減早く出てってよ」
「…誰だよ今の」
「だから友達」
「男の声だったろ」
「伊東くん男だもん」
「いと、あァ!?」
意外な人物の名前に思わず声を上擦らせた。何でココで隣のクラスのインテリ眼鏡が出てくるんだ。野郎とこいつが友達、まるで接点が分からない。
「何で、伊東なんだよ」
「隣のクラスとの合同授業で同じグループになってその時に仲良くなった。今日はそれの勉強会」
合同授業。全く記憶にない。聞き慣れない単語だ。思い出そうと頭を捻るが一向にその時の記憶が出てこない。真剣に記憶を引き出そうとする俺の様子に気付いてか声が掛かる。考えても無駄だと思う。だって高杉教室移動するの面倒くさいとか言っていつもサボってたもん。ああ、道理で。などと納得してる場合ではない。
「他は」
「は?」
「他に誰がいる」
「いないけど」
「は、おま、アイツと二人で…アイツと二人で?アイツと二人きりで会うつもりか!二人で!アイツと!」
「うっさ!何エキサイトしてんの」
「…今日は絶対ココから出させねえからな」
「出させねえってココ私のうちなんだけど」
「ごちゃごちゃ言ってねえで携帯貸せ!」
「ぎゃっ何すっぐふ!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ名前の頭を掴み横にあったベッドに顔面から無理矢理押さえつけた。左手で頭を押さえたまま、右手で乱暴に携帯を開く。履歴から伊東の文字を見つけると躊躇なく発信ボタンを押した。
コールして間もなく聞こえてきた低い声に自然と眉間に皺が寄る。出んの早すぎだろ死ねよ。なかなか言葉を発さないでいるとふと名前を呼ばれた。勿論俺じゃないコイツの名前。もしもし、もしもし、と何度も耳障りな声が響く。苛立ちは更に募る。
96 無名さん
「急用で行けなくなった。つか本人が行きたくないって言ってる。だから、インテリ眼鏡死ね」
ブチ。相手に有無を言わさず一方的に用件を伝え携帯を閉じた。それをそのまま手足をバタつかせ未だ抵抗している名前の頭上へ落下させる。
「ぶふ!苦しい死ぬ!痛!てゆうか今!何!痛い!」
左手の力を弱めた瞬間名前は息荒くベッドから飛び上がった。両手で喉を押さえ後頭部を擦り忙しく動いている。そして慌ててベッドに転がる携帯を手に取った。もう一度奴に電話を掛けようとしているらしい。させてたまるかと再び携帯を奪い、おもいきり壁に向かって投げつけた。
「ぎゃああ!何すんのあほ!」
「好きだ」
「はあ!?」
「俺が彼氏になってやる」
「はああ!?」
「だから行くな」
手首を強く掴み淡々と言う。あまりに突然の告白に驚愕し慌てふためいているのはお互い様だった。いきなり何言い出してんの意味わからん!俺もだ。何このタイミング!同感だ。落ち着きなくぎゃんぎゃん喚いていたと思うと、段々声が小さくなりついには押し黙ってしまう。黙られると困る。かなり困る。
ただでさえ暑苦しい部屋の気温が更に上がった気がした。斜め上に設置されている機能しないポンコツのエアコンに向かって頭の中で必死に復活の呪文を唱えている間に、室内温度は最高潮に達していたと思う。いつの間にか耳まで赤く染め上げ涙目になっている名前の顔を見て、俺は掴んでいた手首をゆっくりと離した。
「た、高杉」
「帰る」
「はあ!?」
「伊東との勉強会は代わりに俺が行ってやる」
「ええええ想像したら何かきもちわ」
「あとタウンページ貸してやるからちょっと待ってろ」
「は、ちょ」
逃げるように部屋を出た。もう自分が何を考え、何を喋っているのかも理解出来なかった。
人間というのはパニックに陥ると自分では想像すらしていないような言葉がすらすらと口をついて出てしまうらしい。好きだと言った後にタウンページ貸してやるって何だよ。
ただただ後悔しかない。理由もなくここまで来た意味がようやく分かり、途端に身体の中からじわじわと熱が込み上げてくるのが分かった。間違いなく暑さで脳が狂っている。とりあえず俺は今からタウンページを探しに家へ戻ろうと思う。
ブチ。相手に有無を言わさず一方的に用件を伝え携帯を閉じた。それをそのまま手足をバタつかせ未だ抵抗している名前の頭上へ落下させる。
「ぶふ!苦しい死ぬ!痛!てゆうか今!何!痛い!」
左手の力を弱めた瞬間名前は息荒くベッドから飛び上がった。両手で喉を押さえ後頭部を擦り忙しく動いている。そして慌ててベッドに転がる携帯を手に取った。もう一度奴に電話を掛けようとしているらしい。させてたまるかと再び携帯を奪い、おもいきり壁に向かって投げつけた。
「ぎゃああ!何すんのあほ!」
「好きだ」
「はあ!?」
「俺が彼氏になってやる」
「はああ!?」
「だから行くな」
手首を強く掴み淡々と言う。あまりに突然の告白に驚愕し慌てふためいているのはお互い様だった。いきなり何言い出してんの意味わからん!俺もだ。何このタイミング!同感だ。落ち着きなくぎゃんぎゃん喚いていたと思うと、段々声が小さくなりついには押し黙ってしまう。黙られると困る。かなり困る。
ただでさえ暑苦しい部屋の気温が更に上がった気がした。斜め上に設置されている機能しないポンコツのエアコンに向かって頭の中で必死に復活の呪文を唱えている間に、室内温度は最高潮に達していたと思う。いつの間にか耳まで赤く染め上げ涙目になっている名前の顔を見て、俺は掴んでいた手首をゆっくりと離した。
「た、高杉」
「帰る」
「はあ!?」
「伊東との勉強会は代わりに俺が行ってやる」
「ええええ想像したら何かきもちわ」
「あとタウンページ貸してやるからちょっと待ってろ」
「は、ちょ」
逃げるように部屋を出た。もう自分が何を考え、何を喋っているのかも理解出来なかった。
人間というのはパニックに陥ると自分では想像すらしていないような言葉がすらすらと口をついて出てしまうらしい。好きだと言った後にタウンページ貸してやるって何だよ。
ただただ後悔しかない。理由もなくここまで来た意味がようやく分かり、途端に身体の中からじわじわと熱が込み上げてくるのが分かった。間違いなく暑さで脳が狂っている。とりあえず俺は今からタウンページを探しに家へ戻ろうと思う。