1 無名さん
めきもき自己中緑魚たん73
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12 無名さん
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14 無名さん
お題「デート『あなたを守りたい 番外編』」
お相手:ロー
重々しい音楽が、スピーカーを通して、せまい空間に鳴り響く。
『きゃああああああああ!!!』
スクリーンの中の女性が振り向いた先は、窓。
そして、その向こうに、血走った眼でほくそえみながらのぞきこむ、女の霊。
霊は、手を伸ばすと、まるで窓ガラスなどないかのように、部屋の中に侵入する。
『いやあああああ!!!』
絶望と戦いながら、逃げ惑う女性に、霊は、狂ったような笑い声をあげながら、近づいて行き――。
―――――なーんて映画を、つい30分前まで観てました。はい。
今は、すでに忌まわしき映画館を出て、近くの喫茶店で休憩中。
運ばれて来たコーヒーも、飲む気が起きず、机の上にべた〜っと上半身を寝かせている状態。
たまに、わたしを見て不思議そうにしている視線を感じるけれども、もはや外聞などを気にしている余裕もないのですよ、うん。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない〜…」
ローの問いかけに、声をしぼり出して答えた。
「お前が、そこまでホラーを怖がるとは、思わなかった」
……ああ…、そうでしょうねえ…。
たいていの人は誤解をするのですが、霊感が強いのと、ホラー好きは、イコールではないのですよ。
そういった人もいるのかもしれませんがね。
ホラー好きな人のところには、霊が集まって来たりもするので、個人的には、できる限り接触は避けたいと思ってます。
……って、あれ。
「ローって、ホラー好きだったっけ?」
「………いや」
え。
「じゃあなんで…」
………あ。もしかして。
ローも、誤解してた一人だったりする?
「そ、そっか…。わたし、てっきりローが観たいんだと思って…」
「……悪かったな…」
「あ、ううん。わたしも苦手って言わなかったのが悪いし」
「まあ、あれだけ怖がってもらえれば、映画を作った奴はうれしいだろうな」
お相手:ロー
重々しい音楽が、スピーカーを通して、せまい空間に鳴り響く。
『きゃああああああああ!!!』
スクリーンの中の女性が振り向いた先は、窓。
そして、その向こうに、血走った眼でほくそえみながらのぞきこむ、女の霊。
霊は、手を伸ばすと、まるで窓ガラスなどないかのように、部屋の中に侵入する。
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―――――なーんて映画を、つい30分前まで観てました。はい。
今は、すでに忌まわしき映画館を出て、近くの喫茶店で休憩中。
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たまに、わたしを見て不思議そうにしている視線を感じるけれども、もはや外聞などを気にしている余裕もないのですよ、うん。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない〜…」
ローの問いかけに、声をしぼり出して答えた。
「お前が、そこまでホラーを怖がるとは、思わなかった」
……ああ…、そうでしょうねえ…。
たいていの人は誤解をするのですが、霊感が強いのと、ホラー好きは、イコールではないのですよ。
そういった人もいるのかもしれませんがね。
ホラー好きな人のところには、霊が集まって来たりもするので、個人的には、できる限り接触は避けたいと思ってます。
……って、あれ。
「ローって、ホラー好きだったっけ?」
「………いや」
え。
「じゃあなんで…」
………あ。もしかして。
ローも、誤解してた一人だったりする?
「そ、そっか…。わたし、てっきりローが観たいんだと思って…」
「……悪かったな…」
「あ、ううん。わたしも苦手って言わなかったのが悪いし」
「まあ、あれだけ怖がってもらえれば、映画を作った奴はうれしいだろうな」
15 無名さん
「……そうかもねえ…」
ホラー映画って、人を怖がらせるために作られてるからね。
現実に霊と対峙するよりも、はるかに怖い時があるのさ。
「それより、…ごめんね。映画観てる時、ずっとローにしがみついてて」
そうなんです。
怖くて怖くて、わたし、ローの腕に両腕をがっちり回して、ホールドしてたんです。
そうしたら、ローが、ちょっと笑って、頭をなでてくれて。
それで、すこし気持ちが落ち着いたのは……、内緒にしておこうかな。
………あ。
思い出したら、ちょっと元気になった気が。
試しに、起き上がって、コーヒーを飲んでみる。
……うん、大丈夫だ。
「ありがとうロー。復活できそう」
「そうか」
ローが、ほっと息をついて、アイスコーヒーに口をつけた。
……ん? ローのコーヒー、全然量が減ってない…。
もしかして、わたしが回復するまで、待っててくれた?
………やっぱり、ローはやさしいなあ…。
これからは、わたしも、せめて大切な人には思いやりを持てる人間になろう。
アイスコーヒーをこくこく飲みながら、そんなことを考えていたわたしなのでした。
ホラー映画って、人を怖がらせるために作られてるからね。
現実に霊と対峙するよりも、はるかに怖い時があるのさ。
「それより、…ごめんね。映画観てる時、ずっとローにしがみついてて」
そうなんです。
怖くて怖くて、わたし、ローの腕に両腕をがっちり回して、ホールドしてたんです。
そうしたら、ローが、ちょっと笑って、頭をなでてくれて。
それで、すこし気持ちが落ち着いたのは……、内緒にしておこうかな。
………あ。
思い出したら、ちょっと元気になった気が。
試しに、起き上がって、コーヒーを飲んでみる。
……うん、大丈夫だ。
「ありがとうロー。復活できそう」
「そうか」
ローが、ほっと息をついて、アイスコーヒーに口をつけた。
……ん? ローのコーヒー、全然量が減ってない…。
もしかして、わたしが回復するまで、待っててくれた?
………やっぱり、ローはやさしいなあ…。
これからは、わたしも、せめて大切な人には思いやりを持てる人間になろう。
アイスコーヒーをこくこく飲みながら、そんなことを考えていたわたしなのでした。