10 無名さん
「――――で? 何があった?」
誰か、助けてください。
help me
今、わたしは、放課後の学校で、尋問を受けています。
相手は、とても目つきが悪くて、怖い男の人です。
終礼のあと、急いで帰ろうとした腕をつかまれ、むりやり席に座らされてしまいました。
目つきのするどい彼が、窓際の席のわたしを、囲うようにしているので、逃げる事なんてできません。
たとえ今逃げることができたとしても、必ず捕まって、よけいに怒られるので、実行なんてしないけれど。
「……何もねェとは言わせねェぞ。今日一日、お前がやらかしたドジを思い出してみろ。どう考えたっておかしいだろ」
「……あ、あのね…、その…」
お願い、すごんだ顔を近づけるの、やめて。
「朝はドアを開けねェで教室に入ろうとしたな? 教室移動すれば階段を踏み外しやがるし、実験に参加すりゃ、アルコールランプを倒すし、昼飯はほとんど食わねェ…」
あ、あれ…、よく見てるね。
そっか、だから朝のドアも、頭ぶつかりそうなところで、開けてくれたし、階段から落ちそうになった時は、体を支えてくれたし、実験の時は、燃え移りそうになった火をすぐに消してくれたし、昼休みに、わたしが大好きな、飲むヨーグルトピーチ味を差し入れしてくれたんだね。
「………いや、今日だけじゃねェな…。ここ最近ずっとだ…」
わ。す、するどい…。
さすが、幼稚園からのつきあいだけあるね…。
「とにかく、今日は、全部吐くまで帰さねェからな」
そんな低い声で脅されても…! こ、こわいよう…っ。
小さいころからずっと知ってるけど、怖すぎるよう…!
「ちょっと、トラ男くん。そんなにすごんだら、逆にセレナが話せないんじゃない?」
…! ナミちゃん…! もしかして、助けてくれるの…?!
「…ナミ屋…、…邪魔するな」
「はいはい。セレナじゃないんだから、そんなに睨まれても怖くないわよ」
「……さっさと帰れ」
誰か、助けてください。
help me
今、わたしは、放課後の学校で、尋問を受けています。
相手は、とても目つきが悪くて、怖い男の人です。
終礼のあと、急いで帰ろうとした腕をつかまれ、むりやり席に座らされてしまいました。
目つきのするどい彼が、窓際の席のわたしを、囲うようにしているので、逃げる事なんてできません。
たとえ今逃げることができたとしても、必ず捕まって、よけいに怒られるので、実行なんてしないけれど。
「……何もねェとは言わせねェぞ。今日一日、お前がやらかしたドジを思い出してみろ。どう考えたっておかしいだろ」
「……あ、あのね…、その…」
お願い、すごんだ顔を近づけるの、やめて。
「朝はドアを開けねェで教室に入ろうとしたな? 教室移動すれば階段を踏み外しやがるし、実験に参加すりゃ、アルコールランプを倒すし、昼飯はほとんど食わねェ…」
あ、あれ…、よく見てるね。
そっか、だから朝のドアも、頭ぶつかりそうなところで、開けてくれたし、階段から落ちそうになった時は、体を支えてくれたし、実験の時は、燃え移りそうになった火をすぐに消してくれたし、昼休みに、わたしが大好きな、飲むヨーグルトピーチ味を差し入れしてくれたんだね。
「………いや、今日だけじゃねェな…。ここ最近ずっとだ…」
わ。す、するどい…。
さすが、幼稚園からのつきあいだけあるね…。
「とにかく、今日は、全部吐くまで帰さねェからな」
そんな低い声で脅されても…! こ、こわいよう…っ。
小さいころからずっと知ってるけど、怖すぎるよう…!
「ちょっと、トラ男くん。そんなにすごんだら、逆にセレナが話せないんじゃない?」
…! ナミちゃん…! もしかして、助けてくれるの…?!
「…ナミ屋…、…邪魔するな」
「はいはい。セレナじゃないんだから、そんなに睨まれても怖くないわよ」
「……さっさと帰れ」