13 無名さん
>>12の続き
「ちょっと待って。セレナは、あんたと付き合ってないって言ってるけど?」
ああ、ナミちゃんが言ってくれた、ありがとう…!
わたしも、こういう時、ぱっと自分の意見が言えたらいいのに…。
早口で次々に言われちゃうと、何を話せばいいのかわからなくなっちゃう…。
「あれ〜? セレナちゃん、やっぱり照れてる?」
「……! ちが…!」
「―――――そうだな。違うよな、セレナ」
? ローくん…? あれ、何でわたし、ローくんに抱きしめられてるの?
そして、その挑発的な目は…、ひねた笑いは…、ローくんが何か、悪いことをたくらんでいる時の…。
「……何だ、お前…」
デュバルくんが、ローくんを睨みつけてる。……いったい、どうなっちゃうの…?
ローくんは…、何をするつもりなの…?
「―――おれが、セレナの彼氏だ」
!?
「「「「「「はぁっ?!」」」」」」
ちょ、ちょっと待って、ローくん…! 彼氏って…!
「…お前、それ嘘だろう?」
ひゃ、デュバルくんの顔がさっきよりも険しく…! こわい、けど…、ちょっとだけ。
ローくんが抱きしめてくれてるから、思ったよりも平気。
「どうしてそう思う?」
「ここにいる奴ら、誰も、お前とセレナちゃんが付き合ってるって、思ってねェみてェだし」
「今初めて言ったからな」
「………」
「恋人がいれば、……あきらめるんだろ?」
そうだ、確かに、そんなようなことを言われた…。だからローくんは。
「セレナちゃん、本当か? 本当にこいつと付き合ってんのか?」
「……え…」
……、付き合って、ない。けど……。でも、これはきっとローくんが出してくれた、助け舟だから……。
うなずいちゃえっ。こくこくこくっ。
「……! ……そぉかー……そりゃあ…、残念だべなー…」
? ん?
「ほんだったなら、おらァ、帰るべっちゃ〜…、お幸せになぁ〜…」
へ? いきなり変な言葉づかいに…。どうして…?
でも、帰ってくれた…。よかった……。
「あ、ありがとう、ローくん」
「……ああ。…怖かったか?」
「すこし…。でも、平気だよ」
「……そうか。…お前、このあと、用事があるのか?」
「? ないよ? どうして?」
「さっき、終礼が終わったら、急いで帰ろうとしてただろ?」
「あ、あれは…、あの人が来る前に、帰りたかったから……」