>>14
「事故の前、飛行機は揺れましたか?」
 二回。
「恐かった?」
 やや後、一回。
「その時には、もう落ちると思いましたか?」
 一回。
「大したことはないと思ったんですね」
 二回。
「揺れはだんだん酷くなりましたか?」
 やや後、一回。
「しばらく小さな揺れが続いたんですか?」
 一回。
「それは、つまり……揺れが一度止まった?」
 二回。
「その後、また揺れましたか?」
 二回。
「その後、落ちたのですか?」
 二回。
「辛い事ばかり聞いてごめんね。恐かったでしょう?」
 二回。
「今日はこれぐらいにしておく? 疲れたでしょう?」
 一回。
「まだ話せる?」
 二回。
「それじゃあ、もう少し聞いていい?」
 二回。
「揺れている以外に、何か異常はありましたか?」
 しばし後、二回。
「それじゃあ」
 可美村緋那さんの言葉の途中で、三回。
「どうしたの?」
 三回。
「顎が疲れちゃった?」
 五回。
「震えてるの?」
 四回。
「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」
 六回。間を挟んですぐに五回。
「少し落ち着くまで待ちますね」
 三回。
 しばし休憩。その最中にも、数回。
「もう大丈夫?」
 二回。
「さっきの話の続きね。何か揺れ以外の異常があったのですか?」
 二回。
「エンジン音とかが変だったのですか?」
 一回。
「何か爆発音が聞こえたとか?」
 一回。
「窓から何かが見えました?」
 二回。
「それは何か硬そうなものがぶつかったのが見えたということでしょうか」
 一回。
「もしかして、それは墜落の直接の原因じゃないと思いますか?」
 一回。
「窓から見えたものが墜落の原因ですか?」
 一回。
「それは」
 可美村緋那の言葉の最中、何度も続けて。(回数不明)
「貴代ちゃん、だいじょうぶ? 恐いの?」
 連続。
「もう大丈夫だから、怖がらなくてもいいんですよ。ここは病院だから、落ちたりしませんよ」
 七回。
「さあ、落ち着いて」
 五回。
 しばし後、回復。
「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」
 二回。
「続けられますか?」
 二回。