17 無名さん
毎朝飲んでるコーヒーのにおいが、気持ち悪くて吐いた。
ナースさんが背中をさすってくれて、ラクヨウさんに部屋まで運ばれて。
ベッドの上で診察を受けた結果。
ナースさんが、とんでもないことを口にした。
「おめでたね」
「……はい?」

白ひげ海賊団編 1

……………えっと。
今、なんとおっしゃいましたかね? ナースさん?
「おめでたって…」
「生理は?」
「え」
「最近、生理あった?」
…………………ええと。
「ないのね?」
「………はい」
いや。そりゃあたしかに、ここ数カ月生理はないけれど。
妊娠なんて…、妊娠なんて…。
「そんなバカな…」
頭を抱えて、OH MY GOD。
いや、海賊が神さま信じるなんて、笑い話か。
思い当たることは…、残念ながら、あるのです。
3ヶ月前、モビーで催された大宴会の日。
めずらしく、正体がなくなるまで飲んで飲んで飲みまくって。
翌日起きたら、自分の部屋で寝ていた。
……のはいいんだけれども。
毛布の下は、素っ裸な上、明らかに事後の体であり。
泥酔していた間に、いたしてしまったことは、まちがいなかった。
体に散らされた大量のキスマークがむなしくて、ちょっと泣いた。
お昼すぎに、意を決して部屋から出てみたけれど、みんなの様子は、驚くほど変わらなくて。
1600分の1の相手も名乗り出て来なかったから、きっとわたしとのことは、一晩の過ちとして、忘れたいのだと思った。
だから、わたしもみんなと普通に接した。
ただ、ひとりだけ。