21 無名さん
とはいっても、いつ敵がこちらに来るか分からないので一応剣は抜いておく。
私自身がそれなりに怪我をしているからか、剣もやっぱりボロボロになっていた。
これでは戦ったとしても、すぐに折れてしまうかもしれない。
ふと三日月さんに視線を戻すと、すでに敵は残り3振りになっていた。
強いな三日月さん。

「しまった。
そちらへ行ったぞ。」
「ちょっ!
今褒めたばっかだったのに!!」

なんということだ。
取り敢えず襲ってきたので、頑張って受け止めてみたがやっぱりレベルが足りない。
受け止めた刃がどんどん私へと近付き、それに伴って身体も地面へと押し付けられていく。

「白山っ!!」

ふいにそれまで掛けられていた力が無くなり、目の前には検非違使の変わりに私と同じ紺色の服が入り込む。
反動で倒れた私は唖然としてその光景を見つめていた。


馬鹿じゃないの?何でちゃんと隠れてなかったの?
厚樫山でレベル1の奴が死ぬ死ぬう!って自覚あるのに中途半端で何やってんのか