23 無名さん
>滑るように、囁くように、リンが杖を振る。数十振りの武器はふわりと宙を舞い、リンを囲むように浮遊していた。刃先は男達に向けたまま、リンは微笑む。こんなもの、魔法使いにとってはただの玩具だ。刃物で傷を付けられるほど、リンは弱くない。それどころか、彼女に傷を負わせること自体がまず不可能なのだけれど。

「な……」
「信じてもらえた?」
「ま、待ってくれ。きみは……本当に迷子?僕らの新しい審神者ではなくて?」
「だから、迷子だと言っただろう。ホグワーツへ戻る途中だったんだよ。全く、ポートキーのメンテナンスはちゃんとしろとあれほど言ったのに」

Finite.
リンがため息とともに呟けば、浮遊していた武器はとたん地面へと落ちる。わざわざ呪文を唱えているのは恐らく目の前の彼らがマグルだからである。無言詠唱のままあれやこれやを使えば、面倒なことを招くのだと、リンは重々に知っていた。

「へえ……すごいな、博物館でしかお目にかかれないような日本刀ばかりだ。三日月宗近、一期一振、こっちは之定か?おぉ、虎徹まであるのか」

一振り一振り、呪文で浮かせては観察していく。目の前で繰り広げられる到底現実とは思えないその光景に、男達はしばし呆然としていた。何をしているのかも分からないが、その瞳に敵意や害意はまるでない。ただ珍しいもの、あるいは美しいものを見る瞳で、見慣れない服装の女が己自身を眺めていた。

刀にも詳しいラノベ主人公で草