26 無名さん
>>26の続き
プルルルル、プルルルル、ガチャ。
「あ、ペンギン?」
「リリアか、どうした?」
「あのさ、船番がね、他の人は七日なのに、わたしだけ十日になってるんだけど、どういうことかなって」
「ああ〜、それな。最終的に決めたの、船長だから」
「へ?」
ローが? どうして?
「もしかして、船長とケンカしたか?」
「してないよ」
するわけない。ていうか、できないし。
「そうか…。でもまあ、そういう事だから、今回は諦めてくれ」
たとえ道理が引っ込もうが、船長がルール。それが、ハート海賊団の掟。
「わかった…」
電話を切って、カバンに仕舞いこむ。
……そう言えば、昨日、わたしを抱く手がすこし…、いや最後の方はかなり…、荒かったかもしれない。
でも、怒らせるようなこと、何もしてないと思うんだけど……。
もしかして、やつあたりとか?
あれこれと考えてみるものの、結局、理不尽なシフトの裏にどんな理由があろうと、わたしには、ローに従う以外の選択肢なんてないわけで。
だったら、悩むだけ時間のムダだ。
……たとえ日数が削られようと、要は楽しめばいいんだ、楽しめば。
わたしは、半ば無理やり開き直ると、観光案内所、という看板がかかっているログハウスのドアを開けた。