27 無名さん
 道端に咲いた花を見て、綺麗だねと純粋にそう言える彼を、私は天然記念物だと思っている。だって恥ずかしいじゃない。そんな歌詞みたいな、ドラマみたいな台詞。
 夕方に帰ってきた章大は、キッチンにいた私を見つけると、ただいまと言って後ろから私の腰に手を回した。
「おかえり、早かったね」
「だって頑張ったもん。はよ名前に会いたかったから」
「ふふ、お腹は?」
「ぺこぺこ」
「じゃあ、テーブル拭いてきてもらっていい? もうすぐ出来るから」
「はぁい」
 拭き終えて戻ってきた章大に、これ持っていってと切った野菜と鶏肉、それと水餃子をのせた大皿を渡すと、鍋やぁ! と笑顔でリビングに消えていった。もうとっくにそんな季節は過ぎてるんだから文句の一つくらい言ってくれてもいいのに。

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