29 無名さん
>密閉させた左耳から布の擦れる音と甘い吐息が漏れる。瞼をきつく閉じるとよく湿った女の膣にエレクトしたペニスを収める。
『あっ・・・きもちいい?』
「あぁ、最高だ・・・」
ゆっくりとしたストロークで動かすと、ぎゅうぎゅうと吸い付くように肉壁が締め付けて粘膜が絡みつく。
どんどん下半身に血液が滾って聞こえる息遣いと心臓の早さに合わせてさらに夢中で腰を振った。
『あっあっあぁ、んうっ』
「あぁ・・・いいぞ・・・・っ」
どんどんピッチを上げて欲望を限界へ引き上げて行く。瞼の中では白い光が飛び交っていた。
『んっ〜〜だめイくっイっちゃう』
「もう少し我慢してくれ、俺と一緒に・・・」
妻が美しくなってから、俺は以前より容易くエクスタシーに迎えるようになっていた。
白い光の実体は掴めないままだ。入れ物は壊してしまっても構わないので遠慮なしに腰を打ちつける。
『あっ、ダメっ、んんっ!』より一層大きな嬌声が耳に届くと共に自分も早く出したくて堪らなくなる。
思い出の中より筋肉がありすぎる硬い尻を鷲掴みにすると一気に奥を貫いて上下に子宮を揺さぶる。
『イくぅ、だめ、んああっ!!!!』
精子を搾る取るように中が締まり上がった。天を仰いで本能のままに叫ぶ。
「うおおおおおおお・・・くッ・・ぅ・・・」
射精による強烈な快楽の中
『トオルくん・・・』と知らない男の名前を呼ぶ妻の声に、ドクドクと更にペニスが跳ね上がった。
驚いてこちらを見ようとした女の頭を乱暴にベットに押し付ける。
「あぁ、愛してる・・・愛してる、名前」
もうどんな柔らかさだったか忘れてしまった手が空を切った。
左耳から甘く気怠げなピロートークが聞こえてくるが相手の声を聞こえない。
不自然な間の後にこの世界で唯一、俺を翻弄して愉悦させてくれる妻の可愛い声が聞こえる。
「ねぇちょっと、」
痛いんだけど。力のままに押さえつけていたおしゃべりな入れ物が声を上げる。
ちょっと待て、俺は今妻との甘く気怠い時間を・・・そう話す前に舌打ちを一つすると声を上げる女を無視してシャワールームへ闊歩する。
シャワーを浴びながらもう一度甘い啼き声を楽しもう。ずっと待っていたんだ、妻の花開く姿を。
いつか妻が知ったら歪んだ愛だと思いきり取り乱して紛糾してほしかった。
今は抑えきれない感情の高ぶりに、滅多に動かない秀一の表情筋がほんの僅か緩んだ。

禁止ワード引っかかるから短めにした。