30 無名さん
赤司を灰崎と勘違いしてるんじゃないか?


今日も予約したレストランで好きでもない女と食事をし、ホテルに行って抱く。

ただそれだけ。

そこに快楽以外の感情なんてものはない。

みんな俺の容姿と地位に魅せられ、それだけで近寄ってくる雌。
昔からそうだったから、ずっと特別な女なんて作りたいとも思わなかった。
女なんて只の快楽を満たす駒。

今目の前にいるこの女もそう。

新しくうちの会社に入った女らしい。
偶然を装って待ち伏せしていた。
まあまあの容姿だし、良いだろうと思い誘いに乗った。どうせ一夜限りだ。

俺は基本同じ女は抱かない。
何度も抱くと勘違いして面倒なことになるから。
31 無名さん
あまり遊んだことのない女はこうだから困る。
誘いに乗れば、付き合ってくれると思っている。


おまえ程度の人間が俺をものにしようなんて烏滸がましいんだよ。


この女とは一緒に居たくなくて着替えをした。
女は茫然とそれを見ているようだった。
そして、部屋を出ていく時、

「ああ、そうだ、おまえ面倒くさいからな。もう会社にも来なくて良い。」


俺は一言そう言った。


どうせ、将来婚約者を用意され、好きでもない女を抱き、偽りの家庭を作るんだ。

なら、いいだろ?自由がないなら。この馬鹿な女たちを手駒に取って遊んだって。
勝手に寄ってくる方が悪い。

――――俺が歪んだ瞬間だった。

それからは何人もの女と関係を持った。
最初は罪悪感と自分に対しての嫌悪感があったが、人は慣れるものだ、次第に何とも思わなくなった。
中学、高校、それは、社会人になった今でも変わらない。

だが、一度だけ俺が変になったときがあった。

そう、******…彼女に会ってから。


誰だよこれ