31 無名さん
>>30の続き
ローが、島でめいっぱい羽を伸ばすためには、わたしがいない方がいいかなって思ってたっていうか。
一緒にいても、夜中こっそり抜け出されて、娼館に行かれたら、それこそショックだし。
「次の島も、次の島でもそうだったよな?」
……う。いや、だからそれは。
「―――何か言う事は?」
ローが顔をのぞき込んで来た。
そろりと視線を上げると、ニヤリと笑ったローの顔が見える。
そ、そりゃあ、どうやら何だか、全部がわたしの勘違いだったような気がしないでもない。
でも、ローだって、わたしがひとりで島に遊びに行っても、かまわず別行動を取ったじゃないか。
そう訴えてみれば、「先に断ったのはお前だろう。特に最近は、おれに誘わせもしなかったしな」なんて、おっしゃる通りなことを言われて。
何だかもう、逃げ場を全部塞がれた気分になり、意を決して口を開く。
「…………ご……」
「……ん?」
「ごめんなさい……」
膝に顔を埋めてそう言えば、体にローの腕がふわりとまわった。
顔を上げれば、ローからのキスの雨が降って来て。
くすぐったさに身をよじると、そのままソファに押し倒された。
「……悪いと思っているなら…、……わかるな…?」
耳元でささやかれて、それから一晩中、彼の腕の中に閉じ込められた。
そして翌日。
朝早くから起こされて、手を引かれるままに歩いて行くと、海が見える見晴らしのよい丘に着いた。
紫色のチューリップが、まるで絨毯のように丘に敷き詰められていて、その奥に真っ白い鐘が見えた。
「………ここって…」
この前、ガイドのおねいさんが説明してくれた、「恋人岬」…?
何でわざわざここに…?
ここで鐘を鳴らした恋人は、将来結ばれるって言われてるんだよ?
わかってて、わたしを連れて来たの…?
謎は残るけど、ほらって、紐を持たせようとするローの顔がやさしかったので、とりあえず、二人で鳴らしておいた。
カラン、カラン…。
青空に鐘の音が大きく鳴り響いて、次第に吸い込まれて行く。
そっと紐を離したら、腰を引き寄せられて、びっくりする間もなく、ローの唇が降ってきた。
鐘の音が鳴り終わるころに、ようやく、そっと唇が離されて、やさしく微笑まれれば、キスなんて何回もしてるのに、わたしの顔はゆでだこ状態で。
うれしそうに何度もキスをしてくるローを、受け止めるだけで、もういっぱいいっぱいだった。
Fin
ローが、島でめいっぱい羽を伸ばすためには、わたしがいない方がいいかなって思ってたっていうか。
一緒にいても、夜中こっそり抜け出されて、娼館に行かれたら、それこそショックだし。
「次の島も、次の島でもそうだったよな?」
……う。いや、だからそれは。
「―――何か言う事は?」
ローが顔をのぞき込んで来た。
そろりと視線を上げると、ニヤリと笑ったローの顔が見える。
そ、そりゃあ、どうやら何だか、全部がわたしの勘違いだったような気がしないでもない。
でも、ローだって、わたしがひとりで島に遊びに行っても、かまわず別行動を取ったじゃないか。
そう訴えてみれば、「先に断ったのはお前だろう。特に最近は、おれに誘わせもしなかったしな」なんて、おっしゃる通りなことを言われて。
何だかもう、逃げ場を全部塞がれた気分になり、意を決して口を開く。
「…………ご……」
「……ん?」
「ごめんなさい……」
膝に顔を埋めてそう言えば、体にローの腕がふわりとまわった。
顔を上げれば、ローからのキスの雨が降って来て。
くすぐったさに身をよじると、そのままソファに押し倒された。
「……悪いと思っているなら…、……わかるな…?」
耳元でささやかれて、それから一晩中、彼の腕の中に閉じ込められた。
そして翌日。
朝早くから起こされて、手を引かれるままに歩いて行くと、海が見える見晴らしのよい丘に着いた。
紫色のチューリップが、まるで絨毯のように丘に敷き詰められていて、その奥に真っ白い鐘が見えた。
「………ここって…」
この前、ガイドのおねいさんが説明してくれた、「恋人岬」…?
何でわざわざここに…?
ここで鐘を鳴らした恋人は、将来結ばれるって言われてるんだよ?
わかってて、わたしを連れて来たの…?
謎は残るけど、ほらって、紐を持たせようとするローの顔がやさしかったので、とりあえず、二人で鳴らしておいた。
カラン、カラン…。
青空に鐘の音が大きく鳴り響いて、次第に吸い込まれて行く。
そっと紐を離したら、腰を引き寄せられて、びっくりする間もなく、ローの唇が降ってきた。
鐘の音が鳴り終わるころに、ようやく、そっと唇が離されて、やさしく微笑まれれば、キスなんて何回もしてるのに、わたしの顔はゆでだこ状態で。
うれしそうに何度もキスをしてくるローを、受け止めるだけで、もういっぱいいっぱいだった。
Fin