32 無名さん
網の上に置かれた肉は音を立て
徐々に色を変えながら肉汁を網の下へと
滴らせる。食欲をそそる白い煙が
あたしの鼻腔を刺激するが、すぐに腹の底から
こみ上げる吐き気へと姿を変えてしまう。
ところどころ赤の残る肉を取り、
箸を口に運ぼうとしたが、皿に戻した。
「どうしたんだい?」
心配した表情であたしの顔を覗き込む太宰さんに、なんだか申し訳ない気持がして、
あたしはテーブルの下で握りしめた手へと
視線を逃がした。
「もしかして、焼き肉、嫌いかい?」
「いえ、ただ・・・
もう、9時だなって・・・」
さっきまでの威勢が嘘のようになくなって、
情けなく思いつつも、
お父様に怒られてしまうわ、とぽつり呟けば、
太宰さんは何でもないことのように笑う。
「大丈夫だよ、私が送っていくから」
「だめよ・・・。本当は、こうして会うのも
いけないの・・・」
「・・・じゃあ、帰らなければいいじゃないか」
「?どういうことですか?」
太宰さんのおっしゃっていることが
わからなくて首を傾げても、妖しい笑みを
浮かべた太宰さんは
何も答えてくださらない。
「ねえ、ねえ・・・」
「ふふ、後のお楽しみだよ・・・
ほら、あーん」
口の中に広がる甘味に、なにも知らない
あたしは頬が緩んだ。
友達のと差がwww
徐々に色を変えながら肉汁を網の下へと
滴らせる。食欲をそそる白い煙が
あたしの鼻腔を刺激するが、すぐに腹の底から
こみ上げる吐き気へと姿を変えてしまう。
ところどころ赤の残る肉を取り、
箸を口に運ぼうとしたが、皿に戻した。
「どうしたんだい?」
心配した表情であたしの顔を覗き込む太宰さんに、なんだか申し訳ない気持がして、
あたしはテーブルの下で握りしめた手へと
視線を逃がした。
「もしかして、焼き肉、嫌いかい?」
「いえ、ただ・・・
もう、9時だなって・・・」
さっきまでの威勢が嘘のようになくなって、
情けなく思いつつも、
お父様に怒られてしまうわ、とぽつり呟けば、
太宰さんは何でもないことのように笑う。
「大丈夫だよ、私が送っていくから」
「だめよ・・・。本当は、こうして会うのも
いけないの・・・」
「・・・じゃあ、帰らなければいいじゃないか」
「?どういうことですか?」
太宰さんのおっしゃっていることが
わからなくて首を傾げても、妖しい笑みを
浮かべた太宰さんは
何も答えてくださらない。
「ねえ、ねえ・・・」
「ふふ、後のお楽しみだよ・・・
ほら、あーん」
口の中に広がる甘味に、なにも知らない
あたしは頬が緩んだ。
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