46 無名さん
関心しながらノートをペラペラッとめくって見ていると、泣きそうな顔をした出久がやって来た。
「あ、出久」
「あっ、癒月ちゃん…なんでここに…」
「これ、出久のでしょ?落ちてきた。」
「あ、それ…ごめん…」
「まぁ別にいいんだけど。それより、このノート凄いね、良くまとめてある」
言いながら、ノートを勝手に見てしまったのは申し訳ない気がしてきた。もし中に『私は名も無き神』とか『闇の力が云々』とかの中二病的なことが書いてあるノートだとしたら、出久は明日から学校に来なかった事だろう。
「そ、そんなことないよ。これは好きでやってることで…」
「でも今日デビューしたヒーローの、強い点や特徴、注意点まで考察してあるでしょう?なかなか出来ることじゃないよ」
「そ、そうかな…」
「ねぇ出久。
さっきあんなに酷いことを言った手前全く説得力がないかもしれないんだけど、これだけ強く思える夢があるのに「これで良かったんだ」って一生自分を騙し続ける方がもっと怖いと思うの。今からじゃ雄英、間に合わないかもしれないけど…少しは努力、体鍛えるとかさ、してみたら?」
「……ッ!僕は…」
「それじゃ、出久。また明日ね」
偉そうな口を叩いているが、私も雄英志望者。特待生制度の申し出があったとはいえ、そう簡単に受かる高校では無いのだから努力を怠る訳にはいかない。

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