47 無名さん
「1つ、正直な意見を言っても良いかな?」
「う、うん」
「俺はズルをする人はあまり好きじゃないな」
「え?」

どきりと心臓が高鳴った。彼を怒らせることをしただろうか。私は眉尻を下げ、続く言葉を待った。

「人脈とか人気って色々な人か欲してるものだと思う。そのために頑張る人もいる。なのに丘上さんは努力をしないで手に入れたんでしょ? ズルいなって思って」

私は目を見開いた。

「…私の言ったこと、信じてくれるの?」

私の言葉に幸村くんは優しげに目を細める。

「俺は信用するって決めた人はとことん信じるよ」

幸村くんははっきりとそう言った。私は丘上さんから同じ話をされた時、すぐには信用できなかった。何かの冗談だろうと思っていた。だって逆ハーレム補正なんてあり得ないことだ。想像をはるかに越えている。それなのに幸村くんは信じてくれた。

「幸村くんってすごいね」
「すごいのは手島さんの方だよ。そんな環境の中でも笑ってられるんだから。それに丘上さんに対して嫌悪感も抱いてない。それってすごいことだよ」

「自分に自信を持って」幸村くんの言葉が、謙也くんの言葉と被る。四天宝寺に戻れば、また寂しさを感じるだろう。どんなに頑張っても、盛り上げても、私を評価してくれる人は少ない。可愛い丘上さんが評価される。それがだんだんと辛く感じてきていた。最初の頃よりもずっと。でもまだやれそうだと思った。我慢できそうだと感じた。


本当八方美人だなこの夢主