55 無名さん
 彼女を"拾った"のは、三日前のことだった。
 その日は忍術学園全員で花見をした日で、半助は小さな忘れ物をしていた。面倒だったが、夜桜見物も悪くないだろうと柄にもなく風流なことを考え、桜の木を目指した。
 昼はどんちゃん騒ぎで賑わっていた桜並木も、夜は不気味なほど静まり返って、恐怖すら感じるほどだった。
 夜、つまりは忍びにとってのゴールデンタイムだ。それなのに桜の花のあまりの立派さに恐怖を感じるなんて、「自分も忍びとしてはまだまだだな…」と、半助は自嘲した。

すっごい作文!