55 無名さん
>考えたくないけど、誰か…もう既に浚われたってこと…!?敵の狙いはかつきと#name3#だけとは限らない…皆に伝えるべきか、でも伝えてどうする?
考えが纏まらないまま、ちゃこちゃんと梅雨ちゃんの方へ近付き木々が拓けてくる。

と、急に後ろを走っていた常闇くんの反応が頭の中から消えた。声を上げるより、振り向くより先に何かが肩に当たった感覚がした。

(区切り線)

問題、なし」

あ、れ?

ぱんっと衝撃があって最初に見えたのは、色素の薄いツクツクの髪。

背後の反応は赤色。これやばい、のでは。
いつの間にこんな状況に。

ぐいと片腕を後ろに引かれて、忽ち目の前が真っ暗闇を写した。咄嗟にかつきの背中らしきものを前へ蹴る。

闇の向こう側に僅かに残ったもう片方の手が、誰かに握られて引っ張られた。いや、知ってる、この手。蹴った意味ないじゃない。離して…くれないだろうな。

背後にいる敵のものらしい腕が闇の外側に伸びると、間もなくかつきもこちら側に飲まれてきてしまった。

引き込まれて落ちていく。前にも味わったワープの感覚。

闇の中で、未だ繋がれた手を引いてかつきが近づく。
「着いたら結界張れ」
耳元でぼそりと言われた。はっとして小さく頷き、合宿地全体に行っていた策敵範囲を自分達周辺に切り替える。

ワープ先に排出された。地面に足がつく前に、敵に掴まれていた手を爆破で振り払う。壁を背にとり、臨戦態勢をとるかつき。結界を形成し自分達を囲った。庇うように立ってくれた背中に安心感が沸き上がる。

「お疲れ様、帰ってきたのはこれだけか」
「ああ。どうする?これ。死柄木」

死柄木…!やっぱりこいつが関わってたんだ…!
結界をごんごんと叩きながら、継ぎ接ぎだらけの皮膚をした敵が指示を仰ぐ。ここは敵のアジトってやつか。場末のバー、という表現が似合う場所。ここからどう逃げる…