61 無名さん
「じゃ、じゃあ、僕は……ヒーローに…なれるかな?」
「うーん……それは難しいんじゃないかなぁ」
頭が一瞬で真っ白になった。
「……えっ」
「出久は無個性でしょ。どう足掻こうとその事実は変わらない。私は“無個性”がヒーローになれない理由にはならないとは思ってる。けどさ、それって普通の人じゃあまず無理ってくらい究極的な話で、他の人の何倍も努力した人だけが辿り着ける領域だよね?」
「………」
それは、正論だった。
夢に憧れるのはいい。けれどそこからどうすればいいのか出久には分からなかった。出久はそっと自分の腕を見る。余りに細い、憧れオールマイトとはかけ離れた小さな体。
「個性を持っている人だって、ヒーローになろうと常に努力してる。無個性なら尚更他の人の何倍も頑張らなくちゃいけない。
それで、出久は今までヒーローになるために何をしてきたの?」
──何も、してこなかった。
ヒーローになりたかった。個性があればと何度も思った。けれど、そこまで。思っただけで、満足していしまっていた。
改めて目の前の癒月と爆豪を見る。
引き締まった身体に鍛えられた筋肉。二人とも個性を駆使し技術を高めてきたためか所々にかすり傷が見える。
目の前の二人は、無個性の自分よりも何倍も努力していた。
(ああ、そうか……)
それは、今まで訊いてきた中でも一番胸を抉る言葉だった。
ただ否定するのではなく、話を訊いた上で正論で否定された。
「出久がヒーローになれないって、そう1番思ってたのは、他ならぬ出久自身なんじゃないの?」
だから、そう。結局のところ──
「憧れだけでヒーローになれる程、甘い世界じゃあないよ」
「うーん……それは難しいんじゃないかなぁ」
頭が一瞬で真っ白になった。
「……えっ」
「出久は無個性でしょ。どう足掻こうとその事実は変わらない。私は“無個性”がヒーローになれない理由にはならないとは思ってる。けどさ、それって普通の人じゃあまず無理ってくらい究極的な話で、他の人の何倍も努力した人だけが辿り着ける領域だよね?」
「………」
それは、正論だった。
夢に憧れるのはいい。けれどそこからどうすればいいのか出久には分からなかった。出久はそっと自分の腕を見る。余りに細い、憧れオールマイトとはかけ離れた小さな体。
「個性を持っている人だって、ヒーローになろうと常に努力してる。無個性なら尚更他の人の何倍も頑張らなくちゃいけない。
それで、出久は今までヒーローになるために何をしてきたの?」
──何も、してこなかった。
ヒーローになりたかった。個性があればと何度も思った。けれど、そこまで。思っただけで、満足していしまっていた。
改めて目の前の癒月と爆豪を見る。
引き締まった身体に鍛えられた筋肉。二人とも個性を駆使し技術を高めてきたためか所々にかすり傷が見える。
目の前の二人は、無個性の自分よりも何倍も努力していた。
(ああ、そうか……)
それは、今まで訊いてきた中でも一番胸を抉る言葉だった。
ただ否定するのではなく、話を訊いた上で正論で否定された。
「出久がヒーローになれないって、そう1番思ってたのは、他ならぬ出久自身なんじゃないの?」
だから、そう。結局のところ──
「憧れだけでヒーローになれる程、甘い世界じゃあないよ」
62 無名さん
普通の人じゃあまず無理ってくらい究極的な話で、他の人の何倍も努力した人だけが辿り着ける領域だよ
究極的に無理と否定しておいて努力すればたどり着けるかもしれないとかあやふやな言葉が正論…?
究極的に無理と否定しておいて努力すればたどり着けるかもしれないとかあやふやな言葉が正論…?