60 無名さん
 ごめん。なんか体調悪いから。大丈夫たぶん寝てれば治る。ごめん。本当にごめん。……ひとりにして。寝させて。
 死んだような顔色で無感情に言う妹の姿にさつきはそれでも繰り返し食い下がったが、とうとう鼻先で部屋の扉を閉められ間髪入れずに鍵もかけられ涙目になった。名前。ねえ、名前ってば。何度もノックをして大きめの声で呼びかけてドアノブを鳴らしても――やがて気付いた両親が話を聞いて『そういうことなら寝かせておいてあげなさい』と告げるまで、それは続いた――名前が出てくることはなかった。

ももーいってこんなしつこいヤンデレみたいな性格してたっけ???