61 無名さん
「あんたみたいな可愛くもない子に好かれて、昴くんがかわいそうーー!!ねぇ?どうやって昴くんのこと口説いたのぉ?お金?それとも……身体?」
「昴さんは、そんな酷い人じゃありません……」
「そんなの亜香里が一番知ってるよー?でも、あんたみたいな子が恋人なんてほんと信じられないって言ってるの、わかる?メイクも服もすっごく昴くん好みじゃないし、スタイルだって全然よくないじゃん。亜香里のほうがぜったい可愛いもん!」


 亜香里さんに言われなくても、自分の容姿については一番自分がわかっている……。化粧も下手、着ている服だって地味な物ばかり、目の前にいる彼女とは真逆で可愛くもない。言われなくても分かっているが、改めて言われてしまうと心が痛む……そして同時にどうして彼は私なんかを選んだのだろうか、とも疑問に思ってしまった。彼は優しい人だから断れなかったのかもしれない……私を傷つけまいと今まで嘘を貫き、最近余所余所しくなってきたのは、もうこの関係に疲れてしまったのだろう。今まで無理をさせてしまってごめんなさい、昴さん……。亜香里さんは俯く私を見て、高笑いをしていると彼を運び終わった男が彼女に声をかけた。


「亜香里、おまえ酔ってるからって誰彼構わず絡むな!帰るぞ!!」
「べつに亜香里、よってないもぉん!!」
「それが酔ってるんだよ……。ごめんねぇ、騒がしくして……まだ飲みの席に残してきたやつらいるから、俺達帰るね」
「っ、あ、はい……!わざわざ、すみませんでした……」
「いいよ、気にしないで。ほら帰るぞ!」
「あ!もう、ひっぱんないでよぉー!!」

モブの癖が凄い