65 無名さん
>>55
安室のコメントに喉を詰まらせかけたナナシは急いでコーヒーを飲み込み、「なにか隠し味があるんですか」と話題を逸らした。
「ほう、どうしてそう思ったんです?」
「なんだかその、マヨネーズが普通のよりもマイルドな気がして……あ、いえ、間違ってたらすみません」
ナナシはすぐ我に返り、自分はなにを偉そうに言っているんだと顔の前で手を振ったが、安室は一瞬目を丸くした後「気付きましたか」と笑みを浮かべる。
「実はマヨネーズに味噌を混ぜてるんです。 いやあ、気付いたのはナナシさんが初めてですよ。良い舌をお持ちのようだ」
「あ、ありがとうございます……?」
初めての褒められ方に喜びよりも恥ずかしさがこみ上げた。なんだこれはと彼女が動揺していると、「お腹も満たされたことですし」とふいに安室が背筋を伸ばした。
そうだ。本来なら緊張や恐怖に背筋が凍っていてもおかしくない状況なのに、すっかり和んだ雰囲気になってしまっていた。気付いたナナシが慌てて居ずまいを正す。
安室という男は他人のペースを崩して自分のペースへと持ち込むタイプなのかもしれない。もっと言えば、きっとかなりのマイペースだ。

赤ペン先生したよ!皆もしよう
原文はあんまり尊重できなかったよ