77 無名さん
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桜たんの兄が行方不明になってから両親が前を向こうって話すシーン

>父さんも、母さんも、昨日まであんなに、……あんなに、悲しんでいたのに…。
昨日までとは打って変わって明るく振る舞う両親に、サクラはなんとも言えない不安を感じた。

「どうしたの、サクラ?早く座りなさい?」
「カナ、サクラは驚いてるんだ。俺達がいきなり普通の生活をしてるから」
「あ、そうね。ユウキの言う通りだわ」

そう言って母親のカナはサクラの前にしゃがむと、続けて言った。

「いい?サクラ、よく聞いて。マサルは……、きっと天国で幸せに暮らしていると思うのよ」
「……は…?」

…最初は母親が何を言っているのかわからなかった…。

「けど私達がいつまでも悲しんでいると、マサルもきっと悲しむと思うの」

…でも、話を聞いているうちに理解してしまった…。

「だからね、父さんと決めたの。今日から三人で、マサルの分まで明るく生きましょうって!」

…あぁ。この二人は、諦めてしまったんだな、と…。

「マサルもきっと、あなたにも笑顔で…」
「…どうして?」
「……え?」
「どうして、そんなこと言うの…?」
「ど、どうしてって…」
「どうして、諦めるようなこと言うの…?」

もう、無理だった。
もう、我慢がならなかった。
もう、誰も信じられないとさえ思った。