>【本丸を追放された子】


茴香の正体は、審神者の上位互換である勘解由使（かげゆし）。


勘解由使は呪力を使える者だけが所属できる部署。
呪力は霊力とは比較にならない程の力がある。

遡行軍がゴーストから渡された魔法石を使い、魔力と霊力を合わせた力で攻撃してきた。
霊力では歯が立たず、呪力のみが唯一対抗できた力だった。
呪力を注入された刀装や結界しか効果が無い。
通常の何十倍もの霊力や資源を使わなければ、刀剣男士の手入れどころか、穢れすら祓えなくなった。
呪力なら一瞬で終わる。

魔力対策のために新設された部署が勘解由使。
呪力を持つ者のみが所属できるが、呪力を持つ者は審神者より更に少ない。
勘解由使は、本丸を持たずに政府や審神者から依頼を“自由に”受けて仕事をする。
独立組織であり、政府に保護されているが、政府の依頼すら足蹴にできるし、莫大な依頼料を請求しても咎められない。
権利（保護）は受けるけど、義務（仕事）を果たさなくても文句は言われない。
特権階級の勘解由使。
好き放題されても、文句は言えない。
それだけ霊力と魔力の掛け合わせは厄介だった。


茴香は、十三歳で勘解由使になった。
本丸から審神者を追い出し、依頼料の代わりだに好みの刀剣男士を依頼に来た審神者から奪い、刀剣男士を侍らせてお姫様気取りで贅沢三昧していた。

そして十六歳になる年の春、茴香は正義の審神者に本丸を追い出された。

呪力ってなんだよ